2011年03月30日

ウーマン アローン

ウーマン アローン

ウーマン アローン
廣川まさき/著 (集英社) 2004年


【概要】
女性一人でカナダからアラスカのユーコン川をカヌーで下る冒険小説。
1500キロ以上、44日間の旅の記録である。

第二回開高健ノンフィクション賞受賞作品。



【動機】
以前読んだ、 『私の名はナルヴァルック』 が面白かったので同じ著者の処女作ということで気になっていた。



【所感】
読むと、生きる力がわいてきます。



【抜粋】
●カナダの牧場へ戻ると、さっそく図書館へ行き 『アラスカ物語』 を借りて帰り、牧場の仕事も手につかないほどに、この物語の世界にのめり込んでいった。物語を読み終えた時私は、たんたんとした日常の中で埋もれていた小さな勇気に火が灯され、何かが奮い立つ思いがした。
(中略)
アラスカの大地で繰り広げられた日本人、安田恭輔の物語を私は追いかけだした。
(中略)
こういったリスクを受け止めながら、それでも私がひとりで行こうと思ったのは、私自身の知恵と勇気、体力と精神力をフルに活用し、自分がどれだけできるのかということを知ってみたいと思ったからだ。
こんなに自分を知ることのできる好機はない。こんなに自分が試されることなんて人生のなかでそうそうあることではないのだから。(p14〜20)

☆過酷な旅の動機が綴られている。なんとなく思っていても、なかなかそれを行動に移すはできない。


●熊除けのために弾いていたギターは、毎日みるみる上達し、旅の終わる頃には、イーグルスのヒット曲、「ホテルカリフォルニア」を弾けるようになっていた。(p44)

☆ギターもカヌーも全くの初心者で、やりながら実践で覚えたようである。すごい。
熊対策に銃ではなく、ギターをチョイスするところもおもしろい。
熊は人間がいることがわかっていればわざわざ近づかないそうである。
ギターだと寂しさを紛らわすのにもいいかも。
それに大自然の中だと大音量でかき鳴らしても誰にも迷惑かからないし。


●油を摂取しなければならないと、パイロットブレッド(乾パン)にバターをたっぷりとぬって食べるが、あまりの手の痛さに、アカギレでガサガサしている手にバターをぬってみた。すると、干からびた手が見る見る艶を得ていく。しかも、なんともいい匂い。(p51)

☆うーん、ワイルド!
家だと、手にちょっとでもバターがついたらすぐにでも洗いたくなるけど、こういうところだと全く気にならないんだろうな。それにしても、パイロットブレッドってちょっとカッコいい言い方だ。バターを塗って食べてみたくなった。


●その夜のディナーのメニューは、生野菜のシーザーサラダとココナッツ風味の鶏肉カレーライス。ワイン。そしてデザートにチーズケーキまで作っていたのだ。あっぱれ。おばちゃんたち。
(中略)
ユーコンの川旅のアドバイスをある男性から聞いたとき、食べ物は、ほとんどインスタントラーメンと保存食のパイロットブレッドだったという。今まで、私もそれに倣ってきたところがあって、パイロットブレッドやスモークソーセージなど保存食ばかりをかじり、たまに料理をすると、インスタントラーメンやフリカケご飯ばかりを食べていたのが急に恥ずかしくなった。
そんな私に、看護師のアリスさんが言った。「ダメよ、そんな食事じゃ。女性ならユーコンの荒野にいてもちゃんと料理しなさい」(p78)

☆旅の途中で一緒になった5人組のおばちゃんたちとの豪華な食事。死と隣り合わせの中、必死で生き抜こうとしている著者も魅力的だが、旅を楽しんでいるおばちゃんたちの姿もまた魅力的に思える。こういう人たちとの出会いが旅を楽しいものにするんだろうな。



●ドーソンシティで、20リットルタンクにいっぱいの水を汲んでカヌーに積んだために、カヌーはずっしり重かった。優に80キロを超えている。
(中略)
ユーコン川の水を飲んでは、ビーバーフィーバーという高熱をだす病気になってしまう。また、ゴールドラッシュの頃に、金の精製に使った水銀によって川が侵されてしまったという話も聞いていた。ユーコン川中流以降に住むインディアンの人たちにとっても、ユーコン川の水は生活水ではなかった。そのため私のカヌーには大量の水が積まれたというわけだ。(p108)

☆こういうのを読んで改めて思うのが水の大切さ。
蛇口をひねれば水が出るのがありがたいと思わなければならない。
そして料理を覚えたいということ。自宅で当たり前のように料理ができないといざというときにアウトドアで料理ができないだろう。


●鮭をもらって勇気が出た。気力を失い、寒さで凍え、3日間ろくに食べずに、テントにこもり、ウイスキーで身体を温めていた私は、外に出て、ガソリンコンロのポンピングをし、火をつけ料理をする気になった。
(中略)
久しぶりの温かい食事だ。しかも、その食事が白いご飯に焼き鮭、味噌汁と日本の健全な朝食のような食卓だ。
(中略)
自分の背中で吹きすさぶ風を避け、寒さに震えながら、霜焼けの中で動きの悪い手でむさぼるように食べた食事だった。「明日は、また漕ぎ出そう」 温かいご飯は、体の底から力を湧き上げさせた。(p178〜179)

☆迷路のようなユーコンフラッツ。荒い川から命からがら上陸を果たした後、疲労と恐怖と寒さで三日間テントに篭っていたときの話。
流木が湿っていて火がつかず、焚き火もできない。
この男の人が見に来てくれなければどうなっていたんだろう。
けっこうヤバイ状況なんじゃないのか? 空腹と寒さで無気力になってたし。ウイスキーも底をついてたし。


●旅の後、長い1500キロ以上あった私の川旅の中で、どこが一番楽しかった? という質問に私はいつも、それはユーコンフラッツと答えた。そして、どこが一番辛かった? という質問に、それもユーコンフラッツと答えた。ユーコンフラッツの中には、すべてがあった。今まで知ることができなかった自分の限界、体力、精神力、私が知りたかった、本当の私。(p212)

☆自分の限界を知りたいと思うことはあるが、その為には死ぬ一歩手前までの体験が必要となる。つらいときこそ、これが限界かと自分に問い詰めればよい。そうすれば、いやまだまだこんなもんじゃないと力がわいてくるだろう。


●フーッと、息もととのい、落ち着いた息が吐けるようになると、「生きるって、こういうことなのか」 大きな吐く息とともに出た言葉だった。今まで、死んでもいいという覚悟でなんでもやってきた。だが、そんな無責任な覚悟は、きっと覚悟ではない。生きてやる。生きてやる覚悟。それが、よくわかった。(p223)

☆死と隣り合わせの経験から出た重みのある言葉。


【アクションプラン】
・サバイバル術の勉強

・料理
カンパンにバター(p51)、5人組に料理を(p78)。

・体力づくり

・ギター
 (ホテルカリフォルニア)(P44)

・新田二郎 『アラスカ物語』 を読んでみたい。(フランク安田こと安田恭輔の物語)


【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
サバイバルが好きな人はもちろん、やりたいことが見つかってるのにまだ迷っている人、なかなか踏み出せない人に。


本を読みながら気付いたことや感じたことを書き留めたり、疑問に思ったことを調べたりするのがとても楽しい。
本は呼び水である。...

posted by macky at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする