2013年04月06日

津波災害

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)
河田 惠昭
岩波書店
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【概要】
<わが国では、津波のメカニズムは、工学や理学研究科の大学院博士前期過程の「海岸工学特論」や「海洋物理学」の講義で学ぶ。社会の防災力の知識は、情報学研究科などの「災害論」や「危機管理」に関する科目で得ることになる。しかし、津波防災・減災対策を進めるには、津波のメカニズムと防災力に関する知識が必要であり、これを提供できる文理融合型の研究・教育組織はわが国のみならず、世界的にも皆無であった。

それでは、どうすれば人びとは津波災害に関する“役に立つ”知識を手に入れることができるのだろうか。その答えが本書の出版である。> (本書「まえがき」より)



【動機】
東日本大震災のあとテレビに引っ張りダコだった河田先生の本を読んでみたいと思っていたが、
震災から2年が経って、やっと手に取った。


【所感】
何より驚いたのは、この本が震災の3ヵ月後ではなく、3ヶ月前に出版されたことである。



【抜粋】
●浸水深が深くなり浮いた家具が一階の天井に当たるようになると、急激に浮力が働き、家全体が浮上し流失されやすくなることがそのときわかった。家に働く力を理論的に求め、これと現地調査結果を突き合わせると、たとえば、浸水深が2メートルになり、その時の流速がおよそ毎秒4メートルを超えると、住宅は浮上し、流され始めることが見出された。(p.56)

☆津波で家が流されるというのが不思議だったが、どのラインを超えると流されるのかというのがここには書かれている。


●上町台地の北端に当たる天満橋では、潮流の最大流速は毎秒数メートルに達した。大阪の古地名は「浪速(なにわ)」と書くが、その根拠となる値であると推定された。現在、大阪港の満潮と干潮の差は1.5メートル以上あり、天満橋での潮流もこのように激しかったと考えられる。(p.83)

☆浪速と津波の関連についてもっと詳しく調べてみたい。


●1755年リスボン地震津波で、死者は6万2000人から9万人に達した。(中略)当時のリスボンの人口は27万5000人と推定されており、市民数人に一人が犠牲になったことがわかる。この災害は、ポルトガルの弱体化を一層進め、以後はイギリスとフランスに西ヨーロッパの政治・経済の主導権が移行した。(p.85-86)

☆ポルトガル衰退の原因が津波だったとは。



(参考) 表2-2 三陸海岸沖でくり返し発生してきた大津波の年表(p.87)
三陸沖の津波


●西進する太平洋プレートの速度が年平均10センチメートル程度と大きく、かつこのプレートと北米プレートのカップリング(相性)がよいからである。すなわち、両プレートの結合度が高く、強くくっついて、固着域(アスペリティ)がなかなかはがれないのである。震源域が推進8000メートル級の日本海溝となっているのはそのせいである。二枚の陸のプレートが衝突して、衝立状になっているのがエベレスト山脈であり、ここが8000メートル級の山脈となっていることと符合する。(p.87-88)

☆三陸沖で大津波が発生しやすいメカニズムが述べられている。陸のプレートの衝突がエベレストだというのは知らなかった。


●地震マグニチュードが6.0以下あるいは震源の深さが100キロメートルより深ければ、被害をもたらすような津波は発生しないと考えてよいようである。(p.99)

☆過去の130例の経験則から導き出された基準。マグニチュードの大きさはもちろんであるが、深さも重要で、震源が浅いほど津波が大きくなる。マグニチュードが8と巨大であっても、震源の深さが100キロより深ければ津波は発生しないそうだ。ちなみに、東日本大震災は、マグにチュード9.0。震源の深さ約24kmであった。というわけで、これからは震源の深さにも注目したい。


●わが国では、津波の高さが2メートルを超える恐れがあるとき、警報が発令される。さらに、3メートル以上になる危険性があるときには、大津波警報が発令される。(p.119)

☆津波の高さが2メートルを超えると犠牲者が発生する。また、浸水深が2メートルを超えると住宅が全壊する。


●明治維新後、鉄道が敷設される過程で、大きな駅の用地が旧市街地内に確保できず、その縁辺に作られた。たとえば、JR東京駅の「八重洲」や大阪駅の「埋田(今は梅田というように漢字が変わってしまった)」はそれを如実に示している。(p.136-137)

☆水は昔を覚えている。それは地名を見てもわかる。



【評価】
評価:★★☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
津波のメカニズムはなかなか難しくて、一度読んだだけではわかりにくいけど、
津波について本格的に学びたいなら目を通しておいたほうがよさそう。
posted by macky at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 災害・サバイバル | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする