上阪徹
日経BP社
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『
リブセンス〈生きる意味〉』
上阪徹/著 (日経BP社) 2012年
1,400円+税
【概要】
お金よりも幸せ。成功よりやりがい。「ごく普通の25歳」が最年少上場を果たせた理由とは? 大学1年での創業から5年でマザーズ上場。快進撃を続けるトップの素顔に迫る。(「BOOK」データベースより)
【動機】
村上氏は以前から気になっていてずっと読みたいと思っていた本である。
史上最年少上場社長の秘密を探る。
【所感】
人あたりのよさ、そしてしっかりとした考え方などテレビで観るまんまの印象だった。
ライターが書いているので文章はとても読みやすい。
【抜粋】
●アルバイトを採用したい企業は、ジョブセンスのサイトに、なんと「
無料」で募集広告を出すことができる。広告を出す際に料金を払う必要は一切ない。(p.19)
☆今まで当たり前のように有料とされていたところを無料にして、他のところで利益を出すやり方。
●紙のアルバイト情報誌を作るためには、印刷費や流通コスト、広告の制作費用などが必要になる。掲載する広告が増えれば増えるほど、それに比例してコストも増える。(p.24)
☆1のものを100にしたら100倍近くのコストが掛かるが、インターネットだと100にしてもコストはほぼ1のまま。これがインターネットの最大の魅力だろう。
●リブセンスは現在、アルバイト情報サイトのほか、正社員採用の「ジョブセンスリンク」、派遣社員採用の「ジョブセンス派遣」、賃貸不動産情報サイトの「DOOR賃貸」、中古車情報サイトの「Morters-net」などを展開している。(p.33)
☆そんなにあるのか。ちょっとやってみたい。
●村上が早稲田大学の付属である早稲田高等学院に進学したのは2001年のことだ。上場のちょうど10年前になる。(p.39)
☆早稲田高等学院なんて知らなかった。偏差値が75もあるらしい。
●「毎朝7時には学校に着いていました。そうしないと朝の練習ができないからです。通学時間が1時間ちょっとありましたから、6時前には家を出ないといけない。起きるのは毎朝5時です。これを3年生で引退するまで続けました。(p.43)
☆高校時代、テニス部の朝練のため早起き。規則正しい生活を続ける。
●試験の2週間前になると、村上は生活を一変させ、試験の準備をするのである。
必要なことをすべて洗い出し、2週間にわたって綿密にスケジュールを組んで、それをやり遂げる。それぞれの科目の難易度や勉強のために必要な時間を見極めて、何にどれくらいの時間をかけるのかを決め、それを実行していくのだ。(p.45)
☆成功者はやっぱりこういうのが習慣として身についているんだなぁ。
試験勉強を通して起業に必要な段取り力を学んでいく。
●「テレビも本も、自分だったらこうするのになと思いながら、見たり読んだりしていました」(p.48)
☆自分に関係があるかないかだけで見ているが、もっと当事者意識を持とう。自分だったらどうする?
といっても、時間に限りがあるので関係のない分野までがっつりやるのはなかなか厳しいが。
●不便を解決するのがビジネスだと思っていましたから、これを解決すればいいんじゃないかと考えるようになっていったんです」(p.63)
☆不便を解決するのがビジネス。不便に感じた事を書きためていけばビジネスの種になるかも。
●高校時代までの話を聞けば、村上の持ち味として、コミュニケーションや段取りの良さ、人に信頼されるところ、決してあきらめない精神力などが挙げられるだろう。(p.68)
☆大人相手に物怖じしない。試験勉強で鍛えた段取り力。決めたことはやる。自分ならできるという自信、など。
●プレゼンテーションのスライドのデザインにも気を配った。通常は、パワーポイントなどのソフトを使うが、村上はそうしなかった。
「パワーポイントで作ると、デザインが野暮ったくなるんですよ。スマートにならない。だから、イラストレーターを使って、スライド用の企画書を作りました」
☆パワーポイントやイラストレーターなどを当たり前のように使えないといけないのか。どこかに基礎的な講座がないかな?
●コンテストで優勝し、夏休みを迎えた村上には、ひとつの危機感があった。起業にすぐ役立つものを学ばなければならない。まず何が必要になるのかを考えた。
「営業です。事業を興したら、お客様を獲得しないといけない。では、どうやって営業するのか。それを、営業のアルバイトをして身に付けようと思ったんです」(p.82)
☆まず何が必要になるのか――。こうやって考えていく。
●村上は、創業まで綿密な準備を行っている。営業のアルバイトだけではない。実際に必要になってくるさまざまな作業を洗い出し、段取りをじっくりと考えているのである。(p.84)
☆行きあたりばったりではない!
●そういえば、と面白い話を村上がしてくれた。起業するときは、成功パターンと失敗パターンの両方をシミュレーションするように、とベンチャー講座では教わったという。だが村上は、失敗パターンを一切考えなかった。絶対にこのビジネスでモデルでうまくいく、と信じていたのである。(p.89)
☆絶対に成功すると信じることも大事。
●2006年の末のことである。村上は起業してから8ヶ月間踏ん張ってきた。メンバーも休みゼロで頑張ってくれていた。(p.121)
☆早稲田に行ってコンテストで優勝して優秀な仲間を集めて朝から晩まで年中無休で働いて、それでも最初の8ヶ月ほとんど収入がないとは厳しい。
●売却をしないという村上の選択は正解だった。
なぜなら、その年明けから、リブセンスは爆発的な成長を見せていくからである。(p.124)
☆そんなタイミングで売却してたら一生後悔していただろう。
●ネットサービスの場合、展開を拡大するからといって、営業所が必要になるわけではない。すでに、全国に店舗があるナショナルチェーンの広告主をたくさん獲得していた。関東以外のエリアの求人もやります、と伝えるだけで良かった。(p.125)
☆ネットサービスなら全国展開すべき。
●ジョブセンスに続く新規事業として立ち上がったのは、同じ「成功型報酬」「採用祝い金」のシステムで正社員を採用する「ジョブセンスリンク」だった。(p.160)
☆軌道に乗るまでかなり時間が掛かったというが、「ジョブセンスリンク」って名前が悪いのでは? 正社員を採用するサイトだと一目で見てわからない。
●転機は、村上がいつも強調する「仕組み」をかたちにしたことにあった。どこに不便があり、どうすれば不満を持っている人を満足させられるのか。それを解決する仕組みを作ることができたのである。(p.162)
☆不便、不満はビジネスの種。不平不満は儲けの種。
●「事業がうまくいくためには、新しい仕組みが必要になります。新しい仕組みを作るためには、既存の仕組みをどのくらい知っているかがカギになります」(p.167)
☆よく言われることだが、常識を打ち破るには常識を知らないといけない。
●村上の興味や関心が伸びるよう、両親は心を配ってくれていたようである。(p.175)
☆子どもの育て方。欲しがるものを買い与えた方がいいのか、それとも我慢を覚えさせる方がいいのか。
●「1階が画廊のお店になっていて、2階に従業員の事務所がありました。なるほど、お店はこういうふうになっているんだ、社長というのはこうやって従業員と接したりしているんだ、と子ども心におもいましたね」(p.177)
☆こういうのを読むときは、普通の人とどこが違うのかに注目して読んでいる。そしてそこが成功の秘訣だったりする。自分がうまく振舞えるかどうかを気にするあまり周りがどう動いているかまではなかなか細かく見る余裕がないものだが、多くの成功者は観察力が鋭く、周りをよく見ている気がする。
そういえば、以前、観光地を歩いているとすごいいでたちの人とすれ違った。一緒に歩いていた方が「今、○○さんだったね」と言われた。「えっ?」全く気が付かなかった。有名人と真正面からすれ違ったのに、すごいいでたちの人に気をとられてその横にいた有名人に全く気が付かなかったのだ。いやほんとに見てる人はちゃんと見てるんだなと痛感した。
●村上に聞いて驚いたのは、父親がどこまで意識していたかはわからないとはいうが、自分の息子が小さいころから大人の世界に連れて行っていたことだ。(p.180-181)
☆村上氏の一番の強みはこれかもしれない。正月のがっちりマンデーとかで大人に混じっててもあまり違和感がない(笑)
●一方、母親も起業に大きな影響を及ぼしている。村上がビジネスや経営に興味がありそうだと気づいた母親は、『ガイアの夜明け』 や 『プロジェクトX』 『ワールドビジネスサテライト』 などの経済番組を、一緒に見るように勧めてくれたというのである。(p.181-182)
☆大人の場に積極的に連れて行く、経済番組を見せる、など。たしかに効果がありそうだ。
●村上は、高校の推薦入試を選択する。彼の成績だったら、国立の難関大学を目指す進学校を受験することもあり得た。だが、一発勝負の受験を避け、それまでの努力が実る推薦を選んだのである。(p.191)
☆なんだ推薦だったのか。こんな裏技があったとは。これが地域格差なのかもしれない。そういえば、大学に入りたての頃、地方から来た人が優秀だという話を聞いてピンと来なかったが、地元の人はこんなにラクできてたのか。そこでラクできた分、好きな勉強に打ち込めるし、ますます格差が広がるわけだ。そういう事実を今この本で初めて知ったというのもおもしろい。
もちろん高校から推薦で大学へというのは知っていたけど、公立中学から高校にも推薦があって、しかもそのままエスカレーターで一流大学に行けるというのは知らなかった。さすがにこれはズルイ気がするな。そうか、それでドラマで都会の子は内申点とか気にしてたのか。ちなみに田舎だと、たとえオール5でも自己満足に過ぎないようだ。
●実際、アメリカでも日本でも、社会企業を成功させているのは、多くが高い学歴を持ち、コンサルティング会社などで豊富な経験を積んだスーパーエリートたちである。営利を追求する術をよく理解した人たちだからこそ可能なのだ。(p.202-203)
☆社会企業は、営利を追求する民間企業以上に難しいようだ。
●「お金のために人は働かない。それはもはや大きな流れです」
そう確信するに至った本もある。アメリカのベストセラー作家、ダニエル・ピンクが書いた 『
モチベーション3.0』 (講談社)だ。(p.206)
☆ダニエル・ピンクって与沢翼氏も言ってた気がする。
年功序列が終わり、成果主義も失敗に終わり、次はモチベーション3.0(「自立性」「マスタリー(熟練)」「目的」)だというわけだ。
自分で物事を決め、自分から積極的に関わってより良いものを求め、人生の意義を問うこと。
●目標を達成するために、「自分は特別だ」と暗示をかけて自分を奮い立たせるのではなく、「自分は普通だ」と認識して自分を生かそうとする。(p.209)
☆これがなかなかできない。どうしても自分は特別だと思ってしまうから何でもできそうな気がしてしまう(そうやって結局何もできないのだ)が、自分を平凡だと思うことで、「平凡な自分が成功するためには戦略的に自分を生かさなければならない」と考えられる。これは画期的だ。
【アクションプラン】
・ 『
渋谷ではたらく社長の告白』 を読む。
【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
最年少で上場を果たした村上氏がどんな少年時代を過ごしていたかを知りたいときに。
子育ての参考に。起業を考えている人に。
【結論】
「人に喜んでもらうことが子どものころから好きでした。だから、このサービスがあって良かったっていわれるようなものを作りたい」
こういう人がいっぱい増えれば世の中はもっと良くなる!