2015年03月20日

オウム事件 17年目の告白

オウム事件 17年目の告白
上祐 史浩 有田 芳生 (検証)
扶桑社
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オウム事件 17年目の告白
上祐史浩/著、有田芳生/検証 (扶桑社) 2012年
1,600円+税



【概要】
特別指名手配犯全員逮捕。地下鉄サリン事件発生から17年、麻原の側近が語れなかった真実を初めて綴った。「オウム事件」を取材してきたジャーナリストで参議院議員の有田芳生が徹底検証。(「BOOK」データベースより)


【動機】
地下鉄サリン事件から今日でちょうど20年目である。


【所感】
オウム事件の背景などが克明に描かれている。


【抜粋】
●私は、2007年に麻原を信仰する「アレフ」を脱会し、今は「ひかりの輪」という団体の代表を務めています。ひかりの輪は、宗教的な学習や実践はしますが、何か特定の人物や神仏を絶対者とする、いわゆる宗教団体ではありません。新しい智恵を学ぶ場です。(p.14)

☆オウム真理教の反省を教訓として、新しい思想と実践の場を創造することで、贖罪の一部としたいと考えているようである。


●出家するには、就職したばかりの宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)を辞めなければならない。長らく育ててくれた母親も失望させねばならないため、自分なりに苦しい決断だった。(p.38)

☆上祐氏はJAXAに勤めてたのか。知らなかった。


●極厳修行を終えた私は、「解脱者」と認められ、「マイトレーヤ(弥勒菩薩)」という宗教名をもらい、教団内で「マイトレーヤ大師」と呼ばれるようになった。機関誌に、私の修行と解脱の体験談が載った。
 しかし、自分自身は、少々失望していた。以前より霊的体験が多くなって、霊的に敏感になったのは確かだが、自分が期待したような悟りや超能力を体得できたとは思えなかったからだ。(p.40)

☆実際に「解脱者」になってみたら、そんなにたいしたことがない、まやかしに過ぎないということが見えてくる。
ちなみに、先輩の解脱者である石井久子は解脱者らしく振る舞う「演技の修行」をしていたようだ。


●教団は高僧たちに多額の寄付をしていたのだ。私が出家した当初から、麻原は宣伝を企図して、高僧と面会し、権威付けを得る方針だった。(p.44)

☆インドやチベットの高僧に賞賛してもらう。それが権威付けになり益々信者が集まる。でもその裏には多額の寄付があったという。
ダライ・ラマ法王には少なくとも100万ドル以上の寄付をしていたというから驚きだ。


●麻原は私のことを「菩薩」などと言って、極めて高く賞賛した。弟子たちは麻原に誇大妄想的な自尊心を満たされ、自分でも気づかないうちに、麻原を信じたいと思う気持ちになっていた。つまり、正しいから信じるのではなく、自分を高く評価するものを信じたいという心理である。 (中略)
 また、少数の勝ち組やエリートでさえ、社会の上層部にいくには、長い年月の地道な努力が必要だ。悪くいえば、みんなが、自分の価値を見いだしにくい社会の歯車の一つ、群衆の一人なのかもしれない。
 そうした若者たちの心の渇きを、麻原の言葉は、悪い形で満たした。麻原に帰依すれば、ほかではあり得ないほどに「偉大な自分になれる」と錯覚させたのだ。(p.46-47)

☆こういう才能は麻原は天才的なものがあるのだろう。
人の心を掴むのがうまい。
結果として多くのエリートたちがコロッとだまされている。

正しいから信じるのではなく、自分を高く評価するものを信じたいという心理はたしかにあるかもしれない。


●テレビ出演では、私が、麻原より多く話すこともあったので、テレビ局員が驚いていたことを覚えている。この辺から、自分がこうした弁明に長けているという自覚が生じていったかもしれない。(p.66)

☆隠れた才能が開花したような感じだったのか。知らなかった。


●実際に、地下鉄サリン事件前に、麻原は「戦いか破滅か」というタイトルの信者向けビデオ番組を制作させていた。その中に、教団は米国に毒ガス攻撃で密かに弾圧されており、戦わなければ滅ぼされるとの主張がある。そして、弟子たちに「闘いはすでに始まっている」として、教団がすでに密かに闇の権力と交戦状態にあると主張した。(p.79)

☆今、平和だと思っていたらわざわざ争いのタネをまこうとは思わないけど、やらなければやられると思うとモチベーションが上がる。わざと火をつけることでモチベーションを上げられるかもしれない。


●当時から麻原の脳波は、理工系の大学院の博士課程まで修めた男性幹部信者が採取していた。 (中略)
「麻原の脳波を採取していた当時、気になっていたことがある。それは、麻原の脳波は解脱者のものではなく、私が知っていた精神異常の脳波のタイプとよく似ている」(p.130)

☆地下鉄サリン事件で逮捕された後、10年以上経って上祐氏にそう告白したそうだ。



●私がロシアにいた間に、教団は、国の行政組織を模した省庁制を採用した。麻原が「神聖法皇」と名乗り、あたかも国家のような体制を取った。(p.136)

☆上祐氏がロシアに行ってる間だったのか。
そういえば、組織図を見ても、上祐氏は○○省とかではなく、ロシア支部長となっている。


●水俣病の被害者認定の申請をしたが認められなかったこと。 (中略)自分たち兄弟は初めは目がちゃんと見えていたこと、自分が捕ってきた、水銀に汚染された魚介類を麻原が好んで食べたので責任を感じていること、 水俣病特有の症状である手足のしびれが当時はあったこと、などをいろいろと語ってくれたという。(p.158)

☆麻原兄弟は水俣病患者のようだ。だが、認定を受けられず、国家への憎しみを深めていく。こういったところに、テロを起こした動機がありそうだ。



【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
オウム真理教や地下鉄サリン事件について詳しく知りたい時に。

posted by macky at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 体験記・手記 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする