2016年02月03日

長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?

長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?
長尾和宏/著 (ブックマン社) 2015年
1,300円+税


【動機】
ガン関連の本を乱読中。

ネットで「《972》 口と喉のがんの治療と抗がん剤」 - 町医者だから言いたい! - アピタル(医療・健康) という著者の記事を読んで。
(現在は削除されているようだ)


「近藤誠理論」に対する反論本ということで。

人間ドックは受けた方がいいのか?

レントゲンなどがガンの原因になるか?




【概要】
今、がん治療で迷っているすべての人に読んでほしい。
日本一わかりやすい、絶対後悔しないがん治療§_。
ステージWで助かる人もいる。転移後に長生きする人もたくさんいる。がんを放置したほうがいい人もいる。
近藤誠理論には、概ね正しいところと、明らかに間違っているところ、そして未知のところが混在している。
二元論で切り捨てられる話ではない。そして彼が、現代医療に鳴らした警告とは? 
近藤誠理論を通して、がんとは何か? がん治療とどう向き合うのが正しいか? を、わかりやすくお話しします。

―――近藤誠氏と医療界、長尾は一体、どっちの味方やねん!? と思われる方もいるに違いない。
特に、医療者の方が読んだのであるならば。はっきり言おう。僕は、どっちの味方でもない。悩める患者さん側に立ちたいだけだ。
あくまで現場の視点から患者さんに、勧めるべきこと、勧められないことをつぶさに検証していくしかない。
本当に選ぶべき道は、二元論ではなくて、中庸にある。僕はずっと中庸論を言い続けてきた。
極論ばかりがまかり通る世の中で、中庸論は目立たないけど、真実はそこにしかないから―――    長尾和宏(本書より抜粋)



長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?
長尾 和宏
ブックマン社 (2015-07-31)
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【抜粋】
●結局、途中で間違いに気が付いた人は、その後は近藤氏と決別し、セカンドオピニオン外来にも行かないわけですから、ただ単に、近藤氏がそういう患者さんを診る機会がないだけでしょう。町医者の僕のように、長い付き合いにはほとんどならないでしょうからね。(p.64)

☆確かにそういう面はあるかもしれない。わざわざ高いお金を払って文句を言いに来る人はいないだろうから。
「抗がん剤治療を受けて後悔している人はたくさんいる一方、近藤先生に従って放置療法をした人で、治療を受ければよかったと後悔している人は一人もいない」ということに対する反論。



●「長尾先生は、現状の免疫療法についてどうお考えでいらっしゃいますか? 近藤医師は、現在我が国で行われている免疫療法は詐欺同然だと断言しています。キラーT細胞を患者の体内に戻す自己リンパ球移入療法も、樹状細胞がんワクチン療法も、ほとんど効果がないのにもかかわらず、数千万円も搾取されるケースがあるから、詐欺同然だというわけです」

――そこは完全に同意します。先の患者さんと接していると、免疫療法を勧める医師をはじめ、さまざまな人々が、ステージWにたかっているようにさえ感じる。何よりも値段が高いのが問題でしょう。(p.67-68)

☆免疫療法ってニンニクやショウガなどで免疫力をアップさせるほとんどタダでできるものかと思ってた。
そう思っていたから、免疫療法と聞くといいイメージを持っていたけど、数千万円もする免疫療法は全く違うものだった。
そういうことなら気軽に免疫療法に賛成とは言えないな。



●その4カ月間に私がした医療行為といえば、たった一つだけ。補中益気湯という漢方薬を、飲んでもらっていました。僕が処方し、多くのがん患者さんに飲んでいただいている漢方です。(p.77)

☆補中益気湯という漢方薬が効くらしい。ステージWの肺がんがこれだけで改善したらしい。
また治療をやめることを選択したことでストレスから解放された可能性があるとの指摘も。



●大腸がん → がんが大腸の奥の方にある場合には、便潜血が陰性となることもあります。また、大腸カメラは、ポリープ等がある人は半年ないし1年ごとに行いますが、病変が無かった人は、その後は2年ごとの検査で十分だと思います。(p.92)

☆大腸がんの検査は2年に1回でいいのか。



●肺がん → 胸部単純レントゲンだけでは、見落とす場合があります。できればCTで、と言いたいところですが、CT被ばくの問題があります。しかし喫煙が最大のリスクですから、喫煙者は、いずれ肺がんだけでなく食道がんにもなる可能性があると考えて、毎年必ず、胸部X線、胃カメラ、腹部エコーを受けてください。(p.92)

☆レントゲンは被ばくの可能性ないのかな? 毎年行っていた検査が原因でがんになったという人がよくいるけど。



●……病院は皆、そう言いますよ。今すぐ手術をしなければ手遅れになるとね。だけど、あなたはまだステージUAでしょう? 2週間や1カ月で、病状が大きく変わるということは、ほぼないはずです。そもそもがんがこうして発見されるまでに、がん細胞が体内に生まれてから5年や10年も経っていると考えられています。(p.126)

☆がん告知が行われたら、すぐに治療に入るか放置するか、治療に入るならどの治療を選択するか、それらの判断を一瞬のうちにしないといけないような錯覚に陥る。
だが、慌てて治療に入る必要もないということがわかっただけでも、この本を読む価値はあるかもしれない。

「一刻を争います」というのは病院側の都合だったのだ。



●しかしその先に彼が提示した「大阪都構想」なるものは、現状を上回るほどのデメリットが待っていることは誰の目から見ても明らかだった。(p.142)

☆「大阪都構想」の誰の目にも明らかなデメリットって何だろう?

近藤先生を橋下徹氏にたとえているけど、「大阪都構想」に全員が反対しているかのような書き方はどうかと思う。
医学を政治と一緒に論じると余計ややこしくなるような気がする。



●iPS細胞は、無限に増殖をしたりはしない。いろんな組織や臓器に形を変えていく万能細胞です。(p.187)

☆iPS細胞とSTAP細胞は何が違うのか。山中教授と小保方さんは何が違うのか? がん治療に生かせないのか?


●――「がん幹細胞」に、転移する能力があるか否かは現時点ではまだよくわかっていません。たとえばtMKという本物のがんのマーカーになるかもしれない有力候補が論文発表されていますが、まだ実用化には至っていません。もしtMKによる識別が本当に可能になれば、 <がんもどき> 理論は、トンデモ仮説から大発見に格上げになる可能性はあります。
(中略)
早期から転移能力の有無を100%の精度で識別できる方法が一般化できたら、それこそノーベル医学賞候補だろうね。(p.198-199)

☆転移しそうなのがあらかじめわかっていれば、それだけを手術で取り除けばいい。無駄な治療をしなくてすむようになる。



渡邊 手術して1カ月で、すぐ抗がん剤治療となりました。でもその頃、ダンピング症候群っていうのがあって…。

長尾 胃を全摘しているから、食べた物が直接小腸に入り込みます。それで、小腸がびっくりしてしまい、消化管ホルモンがたくさん分泌されるようになる。すると冷や汗が出たり、気分が悪くなったりするんです。胃を全摘した人はほとんどそうなりますね。(p.219)

☆ダンピング症候群というのは初めて聞いた。
賞味期限がだいぶ過ぎた冷凍のサバかなにかを大丈夫かなと恐る恐る食べていたら、どっと冷や汗が出てきて食べるのをやめたってことがあったけど、あれも危険な食べ物ということで消化管ホルモンがたくさん分泌されたのかも。


●TS-1は経口薬(飲み薬)。一方、シスプラチンというのは、白金(プラチナ)から製造された点滴の薬。30年以上前からある古いお薬だけど、未だ抗がん剤の代表選手と言ってもいい。
(中略)
髪の毛が抜けたり、吐き気や、腎臓の機能低下があったり。腎臓を弱らせないために、たくさんお水を摂らないといけません。あと、骨髄にも支障が出ることで知られています。(p.221)

☆シスプラチンはよく聞く名前だけど、プラチナからできてたのか。副作用がきつい抗がん剤の代表選手らしい。

今の抗がん剤は10年前と違って進歩していますからねと言われると確かにちょっと試してみようかと言う気になるが、
いまだにシスプラチンなどの抗がん剤が主流で、実際はあまり進歩がないように見える。




【所感】
近藤先生のすべてに反論しているわけではなかった。

例え話が飛躍しすぎてたりしてちょっと突っ込みどころが多いかも。


また、安保先生の免疫力を否定するものではなかった。

これは安心した。



肺がんを告げられた女性記者が長尾先生のもとへ飛び込んだ。
この本は、その時のインタビューをまとめたものである。
その後、彼女がどうなったのか気になるところだが、
おそらく架空の話だろう。




【アクションプラン】
・レントゲンで被ばくの可能性は無いのか? もっと調べてみる必要がある。

・『抗がん剤 10の「やめどき」』 を読んでみたい。



【Amazonレビューより】
・逸見さんの手術 2015年10月4日
「20年前の逸見さんの例を取り上げるのはもうやめましょう」について。

確かに20年前の話ですが、近藤誠先生が、逸見さんの治療に対して異議を唱えなければ、今でも逸見さんのような例はなくならなかったかもしれません。

そういう視点から見れば、「もういい加減にやめにしませんか」という発言はどうかと思います。

近藤誠先生のがん治療に対して、さまざまな考え方があるのは理解できます。

一番大切なことは、近藤先生ががん治療に一石を投じなければ、もしかしたら今も同じような治療が続いていたかもしれないということです。

以上のようなことから、長尾先生の「やめにしませんか」には、?です。(Mさん)


☆読んだ時に感じていた違和感はたぶんこれだ。
医者なら当然知ってるという姿勢でずっと書かれている。
(近藤先生の理論が間違えているというのではなく、何も目新しいことじゃないという反論が多い)




【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
がんになったらどうすればいいか迷ったときに。



【結論】
若くしてがんを早期発見した時は放置せずに治療したほうがいいかも。
抗がん剤が合わなければやめればいい。

(これが近藤理論との違い。近藤先生は若くても早期発見でも基本は放置である)


近藤先生だと、命には限りがあるのだから、生きている間に精一杯生きようと思うし、

長尾先生だと、たとえがんになってもとりあえず治療してみて苦しかったらやめたらいいじゃん!
10年前と違って抗がん剤も進歩してるんだし!

ということで、どちらも前向きになれる。


ただし、実際はいまだにシスプラチンなどの抗がん剤が主流で、あまり進歩がないように見える。
また、苦しかったらやめればいいというが、近藤先生によれば、たった1回の抗がん剤治療で腎機能障害など取り返しのつかないことになることもあるという。

 試しに一回うけてみることの最大の問題は、その一回で回復不能の副作用をこうむる恐れがあることでしょう。
(中略)
抗がん剤によっては、一回の注射・点滴で脳障害をきたしてぼけてしまったり、腎不全になって透析生活を送るはめになる人がいるのです。( 『患者よ、がんと闘うな』 p.26)


それについての反論はなかった。やっぱり気軽に抗がん剤治療はできないので慎重に選択すべきである。

posted by macky at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする