2016年02月18日

シッダールタ

シッダールタ
ヘッセ/著、高橋健二/訳 (新潮社) 1971年
400円+税


【動機】
インドに興味を持っていたので。



【所感】
最初は翻訳が読みにくくて退屈だなぁと思っていたけど、我慢して読み続けていたらだんだん慣れてきて、終盤から一気に面白くなった。
2回目は最初からめちゃめちゃ面白い。




【概要】
求道者が悟りの境地に至るまでの苦行や経験を描いた小説。



シッダールタ (新潮文庫)
ヘッセ
新潮社
売り上げランキング: 7,265




【抜粋】
●「あなたは読み書きができますの?」
「たしかにできます。そのぐらいのことのできる人はいくらもいます」
「大多数の人にはそれができません、私にもできません。あなたに読み書きができるのは、たいへん結構です。何よりです。呪文だって役に立つでしょう」(p.77)

☆読み書きができるのに書物を読まないのは宝の持ち腐れだ。

みんな当たり前のようにできると思っていても、実際はできる人が少ないことがある。自分しかできないこともある。それをもっと突き詰めていけばよい。

読み書きができるのに書物を読まない人は、最近ようやく読み書きができるようになったばかりの人にあっという間に抜かれてしまうだろう。読み書きができるようになったばかりの人はうれしさのあまり書物を読みまくるからだ。

さらに言えば、何かができるようになったらそこで満足せずに、完全に自分のものになるまで楽しみながらマスターする必要がある。またこの時が一番楽しいのだから後回しにせず集中すべし。



●「それであなたが与えるべきものは何ですか。あなたが学んだこと、なしうることは何ですか」
「私は考えることができます。待つことができます。断食することができます」
「それだけですか」
「それだけだと思います!」
「それが何の役に立ちますか。たとえば断食することが――それが何の役に立ちますか」
「大いに役に立ちます。食うものがないときは、断食が人間のなしうるもっとも賢明なことです。 (中略) 長いあいだ飢えに包囲されても、それに対して笑っていることができます。断食はそういう役に立ちます」(p.84-85)

☆最初読んだときは笑ってしまったが、意外と深い言葉だ。就職活動の面接とかで、あなたは何ができますか?と聞かれて、「断食することができます」と言えば、もし面接官がこの本を読んだことがあればピンときて採用されるかもしれない。



●それは一つのことば、無意識におぼつかない声で口ずさんだ一つのつづり、あらゆるバラモンの祈りの古い初めの文句と終りの文句、「完全なもの」あるいは「完成」というほどの意味を持つ神聖な「オーム」だった。「オーム」というひびきがシッダールタの耳に触れた瞬間、眠りこんでいた彼の精神が突然めざめ、自分の行為の愚かさを悟った。(p.113)

☆物語のカギを握る「オーム」

主人公が長い眠りからさめたのが「オーム」

また、悟りを開いたのも「オーム」を聞いてからだった。














ちょっと探してみた。こんな感じかな。




●シッダールタは言った。「私がおん身に何の語るべきことがあろうか、おん僧よ。おん身はあまりにさぐり求めすぎる、とでも言うべきかもしれない。さぐり求めるために見いだすに至らないのだとでも」
「いったいどうして?」とゴーヴィンダはたずねた。
「さぐり求めると」とシッダールタは言った。「その人の目がさぐり求めるものだけを見る、ということになりやすい。また、その人は常にさぐり求めたものだけを考え、一つの目標を持ち、目標に取りつかれているので、何ものをも見いだすことができず、何ものをも心の中に受け入れることができない、ということになりやすい。さぐり求めるとは、目標を持つことである。これに反し、見いだすとは、自由であること、心を開いていること、目標を持たぬことである。」(p.177)

☆先入観を取り除いて物事を見よということか。目標を持てとはよく言われるが、逆に目標を持たぬことで自由に対処できるという視点もおもしろい。



●知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。知恵を知恵を見いだすことはできる。知恵を生きることはできる。知恵に支えられることはできる。知恵で奇跡をおこなうことはできる。が、知恵を語り教えることはできない。これこそ私がすでに青年のころほのかに感じたこと、私を師から遠ざけたものだ。私は一つの思想を見いだした。(p.181)

☆知恵は自分で様々な経験することでしか身につかない。




【アクションプラン】
・現時点で自分しかできないことをもっと究めてみる。

・「オーム」についてもっと調べてみる。

・またしばらく経って読んでみたい。



【Amazonレビューより】
・自己実現をテーマにした芸術作品 2003/2/27
この本は人間の一生においての課題である「自己実現」をテーマにして書かれたものである。ヘッセ自身、自己実現を人生において、1番重要視していて、それをテーマにした本を幾つも発表している。例えば、その1つに「デミアン」がある。この本では、主人公が自己実現欲求を起こし、その欲求を満たすものを、迷いながらも人の力も借りて、なんとか見つける。何か直線的に自己実現に立ち向かっていく感じがしたが、シッダールタでは、グニャグニャと円を描く曲線だった。
その理由は、主人公が自己の追求を求める世界で生きるだけでなく、その世界から抜け出し、自己実現を全く重要視しない世界の中に入って生きた点にある。2つの精神世界に入口と出口があり、主人公はその2つの世界を入口から入り出口から出ながら行き来する。この何か曲線的な世界の変化をもとにして生じる、主人公の心や生き方の変化及び、全く忘れていた自己の内面を思い出していく中で到達していく自己実現の仕方に、デミアンより深いものを感じた。私はこの本がヘッセの自己実現について書かれた作品中で最高のものと勝手に思う。(Nさん)


・はっきり言って凄い 2004/1/28
この作品は内面へ内面へ向かうヘッセの作風が最も色濃く出ている。ヘッセというと 『車輪の下』 がどうしてもいちばん有名であるが、この本があまり読まれていないのは残念な事である。シッダールタが真の悟りに達するまでの過程を、シッダールタの悩みや苦しみを含め丁寧に描いた作品である。心理描写の良さと、インド哲学を深く理解したうえで組み立てられた作者独自の哲学世界が味わえる、小説としても良くまとまっている作品。(Iさん)



【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
人生の意味を考えたいときに。

 
posted by macky at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) |  -海外小説 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする