2017年04月27日

経済学入門シリーズ 経済思想

経済学入門シリーズ 経済思想<第2版> (日経文庫)
八木紀一郎/著 (日本経済新聞出版社) 1993年
830円+税


【動機】
朝日おとなの学びなおし! 経済学 課題解明の経済学史』 を今読んでいるのでついでに読んでみた。



【所感】
コンパクトによくまとまっている。



【概要】
経済思想とは、経済理論や経済政策を方向付けている考え方です。経済思想を理解することで、現実を見る目が磨かれます。本書は、アダム・スミス、マルクス、ケインズ、シュンペーターら経済学の巨人たちの考え方を、歴史に沿ってわかりやすく解説します。「田舎ざむらい経済学と出会う」「英国女王のご質問」など興味深いエピソードをコラムで紹介します。第2版では、世界金融危機やグローバル・インバランス問題に対する経済学者たちの提言や、経済学の課題などを新たに盛り込みました。(「BOOK」データベースより)


経済学入門シリーズ 経済思想<第2版> (日経文庫)
八木 紀一郎
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 183,567




【抜粋】
●マルクスは亡命先のロンドンで経済学の研究を再開し、書斎代わりに利用していた大英図書館に引きこもりました。彼は、カリフォルニアでの金の発見、日本の開港などにより刺激された好景気の波が続くかぎりは、革命の勝利は期待できないと考えたのです。(p.104-105)



●ケインズは、一時的な不況対策としては赤字財政による公共事業を主張しましたが、中長期的には、公的な情報提供などによって投資家を脅かす危険を減殺しながら投資家が限界と考える利子率の水準を引き下げていくべきだと考えました。これが「金利生活者の安楽死」と表現されたことの内容です。(p.147)




【アクションプラン】




【Amazonレビューより】
・経済学の歴史を手短にまとめている 2016/4/4
 歴史に沿って経済学の歴史(経済学説史・経済学史)を説明している本です。新書サイズですが学説史の勘所を押さえた構成と文章になっており、著者の工夫の跡が見られます。ただし、簡潔すぎて分かりにくくなってるところもあります。

 読み返して思ったことを列挙してみます。まず、歴史学派についての説明が丁寧ですし、限界革命期の経済学ごとに差異についてスッキリとまとまっているなぁ、と感じます。構成については7章と8章に著者独自の観点が見られていて面白いです。というのもこの本では6章が限界革命となっており、ここからよくある教科書は一気に次の章をケインズだけの説明にしてしまいがちなのですが、本書は7章の説明をヴィクセルから始め、シュンペーターやオーストリア学派について目配りしながらケインズの理論を並置しています。いわばケインズを相対化しているわけですね。また、8章は「巨大組織の時代―独占と組織の経済学」と題うって、20世紀半ばの経済学を、大企業や国家体制を分析したものとして説明しています。不完全競争理論、社会主義計画論争、組織の経済学が8章で一気に紹介されています。
 ただし、新書サイズで文章量に制約があるということもあって経済理論の説明が短すぎます。短いなりに工夫して伝えようとはしてないので、理論的なお話は他の本を使わないと理解できないでしょうね。
 
 経済学の歴史をさっさと目を通したい人向けだと思います。良い本ではありますが、理解しにくい箇所が確実に存在しています。分からない場合はウンウンと悩まずに他の本にあたるといいです。(カンガルー五世さん)




【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
経済学史をひと通り押さえておきたいときに。

朝日おとなの学びなおし! 経済学 課題解明の経済学史』 と合わせて読めば理解が深まる。

 
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2017年04月26日

金正恩を誰が操っているのか

金正恩を誰が操っているのか 北朝鮮の暴走を引き起こす元凶 (徳間ポケット)
五味洋治/著 (徳間書店) 2013年
952円+税


【動機】
金正男暗殺事件で興味を持った。

昨日は、北朝鮮の軍の創建記念日だったが、軍事訓練ぐらいで大きな動き(核ミサイル発射やテロなど)はなかったようだ。



【所感】
金正恩の独裁か、それとも裏で操っている人がいるのか。



【概要】
世襲3代にしてようやく開放路線と思われた金正恩体制。しかし、そんなムードは一転、再び核とミサイルの交渉カードを国際社会に突きつけた。朝鮮戦争の休戦協定も、核開発をめぐる合意も一方的に白紙にし、ミサイルは実戦配備へ。30歳の青年統治者をここまで動かした背景に何があるか。異母兄・金正男の最新肉声、拉致被害者としてあの国を見てきた蓮池薫氏の見解等から北朝鮮の危うい今を解く、日本人必読の一書。(「BOOK」データベースより)






【抜粋】
●北朝鮮は統制が厳しい国である。国外の動きはもとより、国内の正確な情報も伝わっていない。ネットは国内だけに接続が限定されており、意見交換もない。
 さらに電話機自体の制限もある。一般市民の使う携帯電話は、きたちょうせんに居住する外国人の携帯電話にはつながらない。携帯使用の歴史も浅く、今は主に待ち合わせ用に使われ、携帯を通して、複雑な話をするという習慣がない。(p.110)

☆ネットがあるから北朝鮮の市民も北朝鮮の実態を知ってるだろうと思ってたけど、そうではなかったようだ。



●崔龍海は、いわば側近の「表の顔」だが、汚れ役を引き受ける側近も出てきた。
 前章でも触れた金英徹という軍人だ。私は、彼が正恩の過激路線の陰の主役だと見ている。彼がいる限り、周辺国との対決路線は捨てないだろう。
 ふてぶてしい面構えの子の軍人は対南(韓国)期間である偵察総局長を務め、10年の韓国海軍哨戒艦沈没事件を主導したとされる。(p.127)

☆タイトルにある「金正恩を操っている」人物は、金英徹(金英哲)らしい。
現在は降格しているようだ。





【アクションプラン】





【Amazonレビューより】
・半島情勢をバランス良く簡潔に解説 2013/6/12
「金正男独占告白」の著者が、一触即発状態にまで緊張感が高まっている朝鮮半島情勢を解説した新著。挑発的な言動を繰り返す金正恩第一書記の心理状態や現在の北朝鮮の社会構造、日本や中国をはじめとする北朝鮮を取り巻く周辺国との関係、軍の様子、今後の北朝鮮の動向など、バランス良く簡潔に説明されている。

実際、ソウルで家族と共に生活している私は、北朝鮮の挑発行為が激しくなった今年3月以降、恥ずかしながら精神的にはかなり緊張した日々を過ごした。頭では全面戦争の可能性は低いと知りながらも。日本語のみならず英語、韓国語の北朝鮮関連の分析記事を読み漁って一喜一憂していた。本書は、私のそのような断片的な知識や疑問をきれい整理する上でも役に立った。

本書を読了した直後、6月12日に予定されていたソウルでの北朝鮮当局との「南北当局会談」が中止(もしくは延期)になったことを知った。そして、朴槿恵大統領が掲げる「朝鮮半島信頼プロセス」が実現不可能とは言わないまでも、気の遠くなるような時間のかかる政策であると思わされた。そのとき、本書の最後に出てくる著者の「(朝鮮半島情勢が)どんな状況になっても、過大な期待を持ってはいけない」という言葉の持つ重みを改めて実感させられた。

また本書は、北朝鮮による挑発行為の黒幕捜しをする第3章や「金正男独占告白」発売後の金正男の行方を追う第2章はミステリー・スパイ小説のようなエンターテインメント的要素もあり、楽しい。今後、著者に正男と正恩のからみを中心にした近未来小説でも書いてほしいと願うのは私だけだろうか? (中庸な訪問者さん)




【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
北朝鮮について詳しく知りたいときに。




【関連サイト】
金正男暗殺事件の背景と最新北朝鮮事情 - 北朝鮮問題の鍵は中国にある (著者のブログ)
http://cyucyo.blogspot.jp/2017/04/blog-post_72.html

 
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2017年04月20日

日本人として最低限知っておきたい“Q&A”近現代史の必須知識

日本人として最低限知っておきたい“Q&A”近現代史の必須知識
水野靖夫/著、渡辺昇一/監修 (PHP研究所) 2006年
952円+税


【動機】
近現代史について知っておこうということで。



【所感】
「ポイント」を中心にざっと読んでみた。

興味があるところはさらに本文も読んでいくとなるほどと思うことが多かった。

まさに、日本人として最低限知っておきたい近現代史の必須知識といえよう。




【概要】
自国の歴史を知らない人は世界でバカにされる! 本書は、教科書では教えてくれない近現代史の「真実」をやさしく解説した格好の入門書である。
「中国・韓国などから執拗な歴史認識にまつわる攻撃が舞い込む。真実を何も知らずに、理不尽な謝罪を続け、ますます相手につけこまれるのは日本人として実に見苦しいが、さりとて、それに対して蛮勇を奮う必要もない。ただピシャリと正しい事実を述べればよいのである。おおむね彼らの主張はイデオロギー的な史観にしばられ、嘘に立脚したものだから、正しい知識を前にすると沈黙せざるを得なくなるからである。
本書はQ&Aで設問に答え、解説を読み進めるうちに様々な真実の歴史知識を身につけられる構成になっている。簡便に「知」を身につけられる一冊といえるだろう。果たしてあなたは何割正答できるか。ぜひ挑戦してみていただきたい。」(「監修のことば」より抜粋)


日本人として最低限知っておきたい“Q&A”近現代史の必須知識
水野 靖夫
PHP研究所
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【抜粋】
●日清戦争は、日本が朝鮮の独立を主張し、清国が朝鮮を属国であると主張し、対立した戦争である。すなわち、日本は朝鮮の独立を「援助」し、清国はこれを「妨害」したのである。すなわち、日本の宣戦布告の勅令には「朝鮮は……列国の五伴(仲間)に就かしめたる独立の一国たり」とあり、清国の宣戦勅令には「朝鮮は我が大清の藩屛(直轄の国領)たること二百余年、……」とある。日清戦争後の下関条約(1895〈明治28〉年)で、清国は朝鮮の独立を承認した。(p.17)

☆朝鮮は清国の属国だったのか。日清戦争で日本が勝ってようやく朝鮮は独立できた。



●日露戦争開戦直後の1904(明治37)年、アメリカでは「カラープラン」といって、ドイツは黒、イギリスは赤、日本はオレンジというように、国ごとの戦略が作られた。そして排日移民法が成立した1924(大正13)年、日本を仮想敵国とする対日戦略「オレンジ計画」が確定した。このように、日露戦争以降、アメリカの太平洋戦略は着々と進められていたのである。(p.29)

☆1924年から着々とオレンジ計画。日露戦争に勝ったことでアメリカに警戒されたわけである。1921年、ワシントン会議で日英同盟が解消させられた。じわじわと戦略通りに日本を追い詰めていく様子が分かる。




【アクションプラン】
・また時間のある時に通して読んでみたい。




【Amazonレビューより】
・若い人必読の本 2015年3月8日
若い人必読の本、と書いたが、戦後教育を受けた団塊の世代も読んだ方が良い。日本の正しい歴史を知らないと、海外に行っても恥をかくし、間違った批判をされても、言い返すこともできない。読んでみて大体は知っていたことが多かったが、「北海道、本州、四国、九州を除いて日本の島で一番面積が大きい島はどこか」の質問は評者も正答ができなかった。多くの友人にも同じ質問をしても誰も正しく答えられなかった。たとい知識として知っていても北方四島に考えが及ばないのは、それほど日本人の領土意識が希薄であることの証左だと思った。(織田多宇人さん)

・日本の近現代史の流れと要点をとらえた優れた名著 2012/5/26
世間には日本を保守的に論じる本が多くなり、それはそれで良いことなのだが、もっと手軽に要点だけを知りたいというときには、案外分厚すぎて近づき難い本が多い。たとえば名著『大東亜戦争への道』などはその典型で、内容は素晴らしいが、ページ数が多く、気軽には読めない。

そんななか、この本は日本の近現代史を知るうえで、歴史の流れとポイントを的確にまとめており、重宝する一冊だ。180ページほどであるうえに、中学生ぐらいでも読める文章で、しかも史実を理解するための説明文が理解しやすい。歴史が苦手な人でも平易な内容なので大丈夫である。それに値段も1000円ほどと安い。近現代史のエッセンスである。

黒船来航辺りから、大戦を経て、現代の拉致事件までが載せられている。そういう史実は一つ一つが現在までずっとつながりを持っているということがよく分かる。
Q&Aとあるが、内容の全部がそうなのではなく、まず要点を問い、そのあとにそれを文章で解説するといった構成になっている。

いままで保守派の本はいろいろ読んで来たが、この本に出会うのはかなり後になってからだった。最初の頃に読んでおけば、基礎知識が身についてより他の本の理解が深まるはずだった。それが惜しい。(一読者さん)




【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
近現代史、手軽におさらいしたいときに。

 
posted by macky at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月19日

最速で身につく世界史

「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史
角田陽一郎/著 (アスコム) 2015年
1,100円+税


【動機】
世界史を勉強しようということで。


【所感】
おもしろそうと思って読み始めたが、読み進めるうちに内容が薄っぺらい気がした。

まだ途中までなので、最後まで一気に読んでから判断したい。

世界史に関してはいろいろな意見を取り入れたいので、書いてあることをそのまま鵜呑みにせずに
考えたり調べたりしながら読もう。




【概要】
すべての世界史の本の入り口となる本です。
つまり、世界史の入門書の入門書です。

実は、従来の入門書は、意外にハードルが高いものが多くなっています。
理由としては、「出来事が羅列されているだけ」「結局は歴史の流れをつかめない」「固有名詞が多すぎ」など。
無味乾燥な情報の詰め込みすぎなのです。
その結果、つまらない上、分量が多すぎて読むのが非常に疲れます。

そこで本書では、「面白い! 」「なるほど! 」を読者に感じてもらい、
世界史に興味をもってもらうことを主眼に置くことで、
読者に世界史に嫌悪感を抱かせたり、挫折させたりしないようにしました。

「なぜその事件が起きたのか」「現代社会とどのようにリンクしているのか」
「現代社会に例えるとどんなイメージなのか」「一言で言うと、結局どういったことなのか」
「当時の人々はどんな気持ちで行動を起こしたのか」などにフォーカスすることで、それを実現ました。

ですので、事件や人物の(入試等での)頻出事項を網羅することは、
他の世界史の本(入門書も含む)にゆずると割り切っています。
まずは興味を持ってもらい、各々の出来事のイメージを持ってもらうのが先決だからです。
これが真の入門書の役割と言えましょう。

テレビのバラエティ番組のプロデューサーが本職の著者・角田陽一郎は言います。
「今起こったことや最近流行ってることを、瞬時に理解して、どう表現すると皆さんに伝わるか?
僕らテレビスタッフは始終考えています。
そして放送時間は限られています。
まさに情報を“最速で身につける"のがバラエティ番組なのです。
この「最速で身につく」という観点で、世界史を構成・編集したのが、
まさにこの『最速で身につく世界史』です」

また、著者は東京大学西洋史学科で世界史を勉強・研究してきただけでなく、
世界史とは一見関係性の薄い書物も多数読んできました。
著者の持つ膨大な知識から、わかりやすく、面白いものを厳選して集めたのが本書なのです。(Amazonより)


「24のキーワード」でまるわかり!  最速で身につく世界史
角田陽一郎
アスコム
売り上げランキング: 21,560




【抜粋】
●毎年決まって氾濫が起こるこの周期性こそが、エジプトで計画的な文明を誕生させました。毎年決まった時期に増水が始まるわけですから、その日を元旦に設定して1年が365日の太陽暦が作られました。なんとこれが、現代の暦の起源にまでなっています。そして、この太陽暦をはじめとした大陽の文明を取り仕切るのが、太陽の王=ファラオです。(p.42)

☆モンスーンによる雨でナイル川が増水し、下流のエジプトでは毎年決まった時期に氾濫がおきていた。この氾濫が、耕作の敵である塩分を農地から洗い流し、肥沃な土壌が上流から定期的に運ばれてきた。太陽暦はエジプト文明で生まれた。



●さらに契約の日がわかりやすいように、月の満ち欠けで1年を12か月にする太陰暦を定め、1日を24時間にします。(p.44)

☆太陰暦はメソポタミア文明で生まれた。争いが絶えない社会の維持のために契約が作られ、その契約の記録のために楔形文字が作られ、硬い粘土板に刻まれた。



●中国には稲作文化が根付くことで、大量の人口が定住していました。有史以来、世界の中で常に人口が最も多い地域、それが中国大陸なのです。(p.103)

☆現在、中国といえば世界一人口が多い国だけど、有史以来ずっとだったのか。



●東西長さ6000q以上に及ぶ、ウマが越えられない約2メートルの高さの粘土を固めた城壁です。国土の防衛、それが統一国家に求められる第一の使命なのです。(p.107)

☆万里の長城を作っても超えられるような気がしてたけど、よく考えたらウマが越えられない。そういえばモンゴルは騎馬民族だ。



●王朝末期に起こった反乱には、次に到来してほしい王朝の色を名称につけたものが多くなっています。例えば、前漢(赤)を滅ぼした新に対し、漢の復活を求めた運動が「赤眉の乱」。後漢(赤)の打倒を図り、次の土(黄)の王朝を期待して起こった反乱が「黄巾の乱」なのです。(p.127)

☆黄色の頭巾を身につけていたから黄巾の乱というのは知っていたが、なぜ黄色なのかまでは考えたこともなかった。



●五胡十六国の後、華北を統一したのは鮮卑の王朝・北魏でした。(p.129)

☆北魏って鮮卑だったのか。



●隋唐帝国は秦漢帝国以来の王朝ですが、実は随の楊堅も唐を興した李淵も鮮卑の出自と言われています。(p.130)

☆随も唐も鮮卑だったのか。鮮卑多いな。



●匈奴や鮮卑が漢化した後、登場したアイドルは鮮卑に従属していた柔然です。そして彼らは鮮卑の北魏と対立し、やがて衰退します。その後に登場するアイドルが、柔然に従属していた突厥です。 (中略)
突厥亡き後のモンゴル高原には、ウイグル、キルギス、タタール、キタイというアイドルたちが登場します。ウイグルはイスラム化して現在の中国で新疆ウイグル自治区を形成していますし、キルギスもイスラム化して中央アジアでキルギス共和国をなしています。
 ちなみに香港を拠点とするキャセイパシフィックという航空会社がありますが、このキャセイとは契丹が語源です。この契丹人が作った遼は、宋(北宋:960〜1127年)をジリジリと北側から圧迫します。(p.132)

☆突厥は西に移動して現在のトルコ共和国の元となる。
遼は契丹人が作った。



●以後の中国王朝は(引用者註 朱子学が誕生した宋の時代以後は)、儒教の経典を丸暗記するという難解な試験制度である科挙に合格しなければ、権力のある地位につくことは不可能になります。でもこれによって、優秀な人材が古典を顧みることしかしなくなり、中華文明の停滞が起こってしまうのです。
 やがてヨーロッパでは近代文明が起こりますが、多大な富と人口を持つ中国で近代文明が誕生しなかった原因は、この文明の停滞に原因があるかもしれません。(p.134)

☆古典を勉強しすぎるのもよくないということか。



●東方正教会は、東ローマ帝国から北方のロシア人やブルガリア人など、主にスラブ人に広まりました。ちなみに奴隷を英語で「slave」と言いますが、これがギリシャ人がスラブ人を奴隷にしたことにちなんでいると言われています。(p.144)

☆「slave」(奴隷)はスラブ人から来てたのか。



●イタリア半島では、ローマ教皇がいるローマよりも、各商業都市が東方との香辛料の海運業で交流しました。 (中略)
 当時のイタリアの諸都市とは、アマルフィ、ピサ、十字軍を通して東ローマ帝国と交流したヴェネツィア、その後モンゴル帝国との商業で勢力が伸長したジェノヴァ、そして商業に必須な金融業で繁栄したフィレンツェなどです。イタリアは、これらの年を持つ国々と、ローマ教皇領が領土を分け合う状態で19世紀まで続きます。(p.155-156)

☆ローマよりも力が強かったようだ。



●良港であるポルトガル第一の都市・リスボンは、イタリア商人の一大拠点。第二の都市・ポルトはその名がずばり港(port)で、名前が国名の由来になるほどの港の国、それがポルトガルなのです。(p.156)

☆ポルトガルは港って意味だったのか。



●ヨーロッパで最初に商業で繁栄した開運国家は、1648年にスペインから独立する以前のオランダでした。農地に恵まれなかったオランダではもともと、漁業や毛織物業が盛んでした。
 オランダは自国で生産した産物を輸出することで、大西洋とインド洋とを開運で結びつけます。そして植民地に資本を投資し、大規模農園の経営を始めます。先住民や黒人奴隷の労働力を有効活用して、単一作物を大量に栽培するプランテーションを開始したのです。
 プランテーションは、より規模を拡大していきました。そのためには資本が要ります。こういった事情から、資本を集めるために株券が発行され、株主に購入してもらうことによって資本を集める、現在の株式会社の原型ができあがるのです。
 1602年に作られたオランダ東インド会社は、世界初の株式会社と言われています。(p.234-235)

☆株式会社の成り立ち。



●インドでは16世紀、ティムールとチンギス・ハンの子孫でイスラム教徒のバーブルが北インドに侵攻し、ヒンドゥー教徒の住民を支配してムガル帝国を建てます。ムガルとは「モンゴル」の意味です。支配者が一神教のイスラム教で、住民が多神教のヒンドゥー教となるのです。これが現代のインドとパキスタンの抗争の遠因です。(p.251)

☆ムガール帝国のムガールってモンゴルのことだったのか。



●金の末裔・満州の女真が、17世紀初頭に衰退した明を滅ぼし清を建てます。 女真は、辮髪という頭髪の一部を残して頭を剃る髪型を漢人に強要、中国を女真化して支配・統合を図ります。
 また台湾、モンゴル仏教(ラマ教)のチベットとモンゴル、イスラム教徒のウイグル人の東トルキスタンを征服して、現在の中国の領土の元になる地域を統合します。東トルキスタンは、新たな領土という意味の新疆と名付けられました。(p.252)

☆チベットってモンゴル仏教だったのか。



●ヨーロッパ制覇を狙った19世紀のナポレオンと行動が似ています。 (中略) ソ連軍の激しい抵抗でドイツは退却。これもナポレオンと同様です。ヨーロッパ制覇という独裁者の熱い野望は、いつも極寒のロシアに阻まれるのです。(p.279)

☆同じようなことをしているのにナポレオンとヒトラーで評価が全く違うのはなぜ?


●第一次世界大戦の最中、1917年の3月に首都サンクトペテルブルクでの食糧暴動がきっかけで各地に労働者の評議会=ソビエトが結成され、ソビエトが臨時政府を作り、ロシア帝国のロマノフ朝は滅亡しました(三月革命)。この臨時政府の段階では共和政に移行したままです。しかし、社会主義者レーニン主導のボリシェヴィキは11月に臨時政府を倒し、ボリシェヴィキの一党独裁体制による社会主義政権を樹立したのです。わずか数カ月で市民革命と社会主義革命を成功させてしまったのでした。(p.295)

☆市民革命前の絶対王政の状態から二段階の革命。ロシアには倒すべき資本家が非常に少なかったから社会主義革命がスムーズに進んだ。





【アクションプラン】




【Amazonレビューより】
・間違った歴史知識を拡散させるサラリーマン・プロデューサーの勘違い 2016/2/23
≪この本では、僕が今まで見聞きして得た知識の中から、大まかな世界史の流れを述べただけなので、
解説があやふやだったり、不十分だったりする部分も多いです。
あえて参考文献を載せなかったのも、そのためです≫(350頁)
これが「おわりに」で明かされる本書の結論です。著者の言い方に倣うなら「オチ」です。
こういう大事なことはせめて「はじめに」で宣言していただきたかったです。

≪間違った思い込みをしてしまい、間違った方向に導かれると、人類に間違った行動を起こさせます。
そしてその繰り返しが、世界史を作ってきたのです≫(61頁)
著者が「宗教の話」で主張しているこの記述はそのまま本書にも当てはまります。

≪もしこの本を読んで、「あっ、この時代面白い!」とか少しでも興味を持ったら、
むしろその先を自分で調べていただきたいのです。今は、スマホもパソコンもあります。
ちょっとでも気になったら、すぐにインターネットで調べられる時代です。
詳しい史実は後からちゃんと学べばいいじゃないですか?まずは世界史の面白さを知って欲しいのです≫(9頁)
そうであったとしても、思い込みによる間違った歴史知識を「最速で身につける」のは、
余計なバイアスがかかるだけの百害あって一利なしといえます。
集合知とはいっても、残念ながらWikipediaなどのネット情報には間違ったものが氾濫しています。

「情報は量を集めても意味はない。真偽を見極めることが大事」(323頁)
と著者自身も書いているとおりなのですが、反面教師として本書を提示しているのでしょうか?
しかも「お金の話」と「情報の話」では議論が堂々巡りしています。

≪皆さんがまず世界史を学ぶ前に知っておいた方がよい歴史背景や考え方の説明に主軸を置きました≫(8頁)
その説明が「文明なんて"たまたま"起きるものなんです」(33頁)などというのは如何なものでしょう。
何でも「たまたま」と説明できる実に便利な「考え方」で、思考停止に陥っています。

「四大文明が生まれた場所は"砂漠"ではなく"沙漠"」(31頁)
≪つまり、水も何もない広い土地こそが"沙漠"というわけです≫(32頁)
と言ったかと思えば、
≪四大文明に共通するもう一つの条件は、すべて大河の流域に存在したという点です≫(39頁)
前者と後者の主張は矛盾しています。「歴史背景や考え方」を主軸に置いたという割には杜撰な記述です。
いわゆる「四大文明」以外にも多くの文明が存在しますが、
その多くの文明のなかから大河の流域に起こったものだけを一括りにして「四大文明」と言っただけなので、
「歴史背景や考え方」としてはあべこべです。

本書は民放テレビ局TBSのプロデューサーが世界史をキーワードごとに記述したものです。
近頃は企業CEOなども世界史の本を書いていますが、
歴史書は誰が書いたかが問題ではなく、内容が重要です。

「24のキーワード」で語るのが本書の特徴ですが、
その内容はWikipediaほどにも踏み込むことなく無難で、
途中から教科書を読んでいるかのような筆致で浮説に依拠しています。
つまり、残念ながら本書の記述も大部分が的外れで間違っています。

プロデューサーにとって重要な要素のひとつは資金を作ることですが、
テレビ局のプロデューサーはただのサラリーマンなのでこの能力が欠如しています。
また、プロデューサーにはプロジェクトの経営能力も必要ですが、
著者はネット動画配信会社goomoの取締役になったもののgoomoは三年で解消となっています。

それでも広告代理店やプロダクションなどが彼らをちやほやするのは何故かといえば、
彼らの「理解力」や「表現力」が優れているからではなく、単にテレビ局は免許事業者だからというだけなのですが、
勘違いしてしまうテレビ局員が多いのが実態です。

≪僕がこれまでやってきたバラエティ的なやり方で、
世界史にも企画や演出でいろんな味付けをして、世界史の本を作ってみよう!
そうしたら、歴史が苦手な人にもとっかかりになるような読みやすい世界史の本ができるのではないか?≫(7〜8頁)
「演出」ですめば問題ないのかもしれませんが、
残念ながら本書の多くは斉一説への還元やストーリー化の罠に陥った「演出」の範囲を越えた「捏造」です。

それでいて所々に説教臭い記述もみられます。
≪このように世界史を、プラス・マイナス両面を合わせ持った事象の集積と捉えること。
それが、世界史を深く知ることの意義です≫(214頁)
≪戦争とは勝ち負けにかかわらず世界を再編していくアクションであることを知っておくのは、
世界史理解における重要なポイントです≫(270頁)
ところが、第二次世界大戦などは国連戦勝史観で一方的な記述がなされています。

正確性を欠く記述については枚挙に遑がなくほぼ全ページに赤ペンが入れられるのですが、
以下で少々あげておきます。

≪日本ではこの時期に独自の文明が起こらず、
縄文時代が紀元前2世紀頃という比較的新しい時代まで長く続いたのは、恵まれすぎた環境だったからなのです≫(33頁)
自虐史観でしょうか?著者は「文明」の定義を明確にしていませんが、
縄文文化は世界で初めて土器を発明し、世界最初期である一万六千年前に農耕を始め、
一万年以上にわたって持続可能な社会を形成していた立派なCivilizationです。

≪文書などに記録されて、後世に知られるものだけが歴史と考えられがちです。
でも逆に言えば、相手が認識しようとしまいと、そこに文明があったことは事実なのです。
この考え方も、世界史を勉強する上では重要なポイントとなります≫(147頁)
著者は中華文明の始まりを黄河文明としていますが、黄河文明よりも長江流域で起こった彭頭山文化の方が古く、
縄文文化はその彭頭山文化よりも五千年以上古い文化だという事実を忘れないでいただきたいです。

≪多神教は温暖湿潤で多種多様な動植物がいる環境で生まれた"森の宗教"です≫(56頁)
著者は一神教を「砂漠の宗教」としますが、もともとはユダヤ教も多神教だったのでその区分は成立しません。
そもそも、ユダヤ教の母体となったカナンの地もキリスト教が生まれたガリラヤも沙漠ではありませんでしたし、
ユダヤ教・キリスト教をベースにイスラム教が誕生する前のアラビアは多神教であり、
タクラマカン沙漠でもゴビ沙漠でもコロラド沙漠でもサハラ沙漠でも原住民の宗教は一神教ではありません。
ユダヤ教が一神教になったのは別の理由です。
ちなみに、宗教学で「一神教は砂漠の宗教」なる妄言は「有害な俗説」として扱われています。

≪四大文明とその周辺地域で、集団社会がほぼ同時に発生したので、思想も同じタイミングで生まれた≫(64頁)
千年以上ズレがあるのに「ほぼ同時」と思い込める無邪気さに呆れます。

≪最盛期のアテネ市民は15万人に対し奴隷は10万人もいたと言われています。
現代の人類平等理念に基づく民主主義とは違う、富裕層だけの特異な民主政治だったのです≫(73頁)
間違っています。「市民」であることに貧富は関係ないので「富裕層」ではなく「市民」とすべきです。
「市民」とは「戦争に参加する義務を果たす人」でもあったので、古代ギリシャの民主主義と戦争は不可分の関係です。

≪新たな宗教が広がるきっかけは、社会に不満が高まっている時が多いのです。それが世界史のセオリーです≫(85頁)
これは逆も真です。特に古代ローマの場合は複数の宗教が共存共栄していたにもかかわらず、
キリスト教が他宗教の神を偽物だと批判したことから社会不満が発生したのです。

≪明治維新では「(4)旧体制のボスを処刑する」という最も革命的な断絶的な行為がなかったのが
(革命=Revolutionと)決定的に違います≫(229頁。丸括弧内はレビュー者による註)
著者には本質が見えていないようですが、
明治維新では「(1)外部から理念が注入され、民衆の不満が発火して爆発する」という点も決定的に違います。
明治維新は体制を担っていた武士が自らの特権を手放す運動(雄藩vs幕府)を起こして大政奉還を実現させたもので、
民衆の与り知るところではなかったのです。(蒼穹の歴女さん)



・動いた理由がわかる 2016/2/3
テレビのプロデューサーが世界史の本 ?と最初は少し慎重に読み始めました。しかし、東大卒の歴史好きはさすが違う!と思います笑 私も世界史は好きでしたが、なかなか歴史系の書を全巻読もうとか思いませんでした。

駿台予備校の茂木さんの著書もわかりやすいですが、いかんせん受験対策以外の著書ではいくぶん個人的な意見が散見されます。もちろん個人の著書は個人の自由なのですが、茂木先生に習った10代のファンもいるだろうと思うと、その影響力の高さから、もう少し公平に、客観的な論述に留めて欲しいなと思います。

その点、こちらの著書の方は、世界の平和を願っているだろう心優しさは全体的になんとなく感じられるものの、それも少しにとどまっており、わかりやすい世界史のストーリー解説に徹していると思います。そこはとても評価できる(高校生にも推薦しやすい)と思いました。むしろその心優しさは、今後の世界平和を考える上でとても大切だと思います。それもあってこの著書を書かれたのかな?と思いました。

具体的に良かった点は、
世界史の教科書だと突然フン人がヨーロッパにやってきて西ゴート人が移動して民族大移動したことになっていてそれを丸暗記するのが受験なのですが、この本ではどうしてフン人が移動を始めたかという流れがきちんとわかるので、世界史をそこで初めて理解できると思います。アメリカという国が出来た成り立ち、革命の背景なども、教科書だとわりと地域ごとの歴史なので、ヨーロッパ学んだと思うとアメリカ史の章になってそこからまた暗記になりますが、現代と同じように、過去の国々もお互いに影響し合うことで歴史が動いてきました。そのことがきちんとわかるので、これだお世界史がおもしろい!と思えるのではないかなと思います。

一応プロの歴史家から見てこの本がどうなのかわからかいので星は4とさせていただきますが、わかりやすくて歴史理解の一助には確実になりました^_^ありがとうございます(peeweeさん)




【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
世界史のパターンを身につけることで将来の予測ができそう。

 
posted by macky at 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月13日

『絶歌』論―元少年Aの心理的死と再生

『絶歌』論―元少年Aの心理的死と再生 (サイコ・クリティーク)
高岡健/著 (批評社) 2016年
1,700円+税


【動機】
絶歌』 を読んで興味を持った。



【所感】
表現に注意を払いながら丁寧に読み解いている。

第1部のみ読んだ。



【概要】
『絶歌』の出版がなければ誰も知りえなかった、元少年Aの心理とは? 神戸市連続殺傷事件を解く鍵とは? 猟奇的にも映るAの行動が、実は心理的自殺の過程であった!(「BOOK」データベースより)

著者は精神科医。






【抜粋】
●わたし、外でA君と淳君が一緒に遊んどるとこ見たこともあるんよ。A君はほんまは優しい子なんやってその時は思っとったけど、辛いことがあっても言葉で言われへん子に暴力振るうなんて、絶対許せへん……。淳君がされたこととおんなじことを、私がA君にしてやりたいくらいや……>>
 これが、その女性教師が、声を震わせつつ語った内容でした。「なかよし学級」の児童を、どれほど大事に思っているかが、伝わってくる話です。でも、「ほんまは優しい」Aが、なぜ「A君のことを好いとった」淳さんに暴力を振るったのか、その背景にまでは考えをめぐらせようとはしていません。(p.68)

☆結局、これが殺人の引き金になってるような気がする。





【アクションプラン】
・「少年A」の父母 『「少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記』 を読む。

・時間のある時に第2部以降も読んでみる。



【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
絶歌』 を読んだ人に。

 
posted by macky at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする