『
悪名正機 (アウトサイダー十三人の話)』
高須基仁/著 (金曜日) 2012年
1,300円+税
【動機】
ストリーム社の株価操作で主犯格とみられる男を逮捕というニュースで
朝堂院大覚さんが最後の黒幕だと知り、朝堂院大覚さんに関する本を探していたら出てきた。
【所感】
13人との対談集なのだが、どれも裏社会が垣間見えておもしろかった。
著者はヘアヌード写真集の仕掛け人らしい。
【概要】
前田日明(「RINGS」CEO)
在日コリアンから帰化、いま「国」への思いを語る
朝堂院大覚(武道総本庁総裁)
朝青龍暴行疑惑、亀田問題、「怪人」が語った歴史の裏側
斎藤智恵子(浅草ロック座会長)
「浅草の女帝」の生き様と女の矜持
石井和義(K-1元プロデューサー)
出所から2年、総合格闘技ブームの火付け役が思うこと
柳美里(作家)
分断された朝鮮への思いと家族へのこだわり
川崎タツキ(元プロボクサー)
少年院、暴力団、薬物依存地獄を乗り越えたボクサー
戸川昌子(シャンソン歌手・小説家)
地獄をみてきた人間の強さ
杉浦和男(地下格闘技・KRUNCH創設者)
本物の“不良"の図太さとは
山本直樹(漫画家)
言葉の暴走の先に描くもの
ルミカ(シンガー)
いじめをなくしたい――歌で広げた絆
秋田一恵(弁護士)
徹底的に被告に寄り添う
ごとう和(漫画家)
『6番めの虹』で原発事故を描く
黒岩安紀子(歌手・故団鬼六夫人)
左翼も右翼も泣かす歌い手(Amazonより)
高須 基仁
金曜日
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【抜粋】
●
前田 今回の在日外国人の参政権はね、国籍制度の固定化を狙っていると思うんですよ。永住権を持った外国人ってはっきり言って在日(朝鮮人)のことですよ。自分らの家系で言えば、もう六世までいるんですよ。秋山(成勲、格闘家)で四世ですよ。でもね、それっておかしいんですよ。みんな永住権を持っている親から生まれているのに、三世、四世と続いている。本当に参政権をやってくれるならば、筋を通して、永住権を持った親から生まれているんだから日本国は二重国籍を与えて18歳や19歳で国籍を選ばせればいいんですよ。(p.13)
☆在日朝鮮人の本音が垣間見える。
●戦争が終わってどうなるかというと韓国は李承晩政権下で日本に行ったやつは帰ってくるなと。日本でも戦争が終わると、日本人じゃないと言われる。日本にも本国にも騙されているんですよ。でもね、そういう在日同胞をかつて、外務省は受け入れてくれた。受け入れなくてもよかったんだから。すごい恩義に感じますよ。あとね、今上天皇は、自ら百済から来た先祖がいると言ってくれた。あれを聞いた瞬間に、なんというか、これは日本をまとめるためにあえて言ってくれたんだなと。(p.14)
☆在日は日本よりも韓国を恨んでいる。帰ってくるなと言われたから。見捨てられたから。
●今の日本の人口はこのままの出生率でいくと、20年経ったら3分の2、40年経ったら半分になります。そうなるとどうなるかというと、日本の一流企業は外国を税務対象国にせざるをえなくなる。日本は空洞化するんです。労働力確保のため、海外移民を受け容れなければならなくなる。沖縄やら対馬やらがどんどん合法的に占領されますよ。日本の国なのに、外国人が力を持つ政府ができちゃうんですよ。日本も共和国にしようとなり、皇室の存続が問題になって、下手したら内戦ですよ。外国人が力を持つ地域とそうではない地域との間に。(p.14)
☆外国人参政権を認めると内戦が起こる。
●在日と本国をくらべると在日の人のほうが感覚が古い。なんでかと言うと、うちの家系で言えば、大正末から昭和の初めに来たんですよ。当時の李朝の道徳観念をそのまま持ってきて、それで子供を育てるからですよ。その間、韓国はどうなったかというと、北朝鮮はわかりませんけど、朝鮮戦争があって、大量にキリスト教が入ってきて、半分以上がキリスト教になってしまって、もう違う国になっているんですね。(p.15)
☆朝鮮戦争で大量にキリスト教が入ってきた。
●斎藤智恵子
東京・浅草に構える老舗ストリップ劇場、浅草ロック座の会長。(p.34)
☆北野武さんゆかりの人らしい。「座頭市」の監督をお願いしたそうだ。
調べてみたら、170428に急死されていた。
●
高須 前田のやっている「THE OUTSIDER」もとんとんですよ。でもね、前田には石井和義のようなプロデューサーがいないんですよ。 (中略)
石井 それが喧嘩とか暴行とか刺青とか、そんなものばかりの話題が先行しちゃうから。そこを変えていかないと。(p.54)
☆前田さんがリングスをやって、石井さんの正道会館とコラボするようになってK-1ができて、プライドが生まれた。
●しかしやはり地方に行くと、そういう稼業の人が出てくる場合があります。だから地方では、先に警察に挨拶に行き、どこそこへ挨拶に行くと話をするんです。昔からあの人たちはこの街を守ってこられたんだから警察や消防署と同じように、そういう人たちには挨拶に行くのは筋ではないですか、という話をするわけです。(p.55)
☆挨拶をしておかないと嫌がらせをされてお店がつぶれてしまうということが昔はよくあったのかも。
●
柳 ただ、小説を書いていると、登場人物が勝手に動き出す瞬間が必ず訪れる。そうなったら、あとはついていくだけなので、筆者としては、読者を裏切りたくないけれど、登場人物が裏切るかも(笑)(p.62)
☆先日、ノンフィクションは売れない、と書いた。
書くなら文芸作品だ。
そのためにはもっと小説を読まないと。
だれか真似したい人を見つけて書いてみよう。
町田康さんなんか書きやすくておもしろいんじゃないかな。
それと、「ナラタージュ」を見ていて思ったのは、
映画化されることまで考えて小説を書きたいということだ。
●朝鮮民主主義人民共和国ほど、行って見てきた人と、行って見ていない人とのイメージの落差が大きい国ってないと思うんですよね。朝鮮に関するマスコミ報道は、ものすごく一辺倒なもので、もうそれは敵意と悪意が剥き出しですよね。 (中略) 朝鮮から日本に戻ると、幸せ、不幸せが反転するような奇妙な感覚にとらわれます。(p.66-67)
☆北朝鮮に実際に行ってみると幸せそうな人が多いという。
●
ごとう サッカーの記事でよく聞く「ゴールデンエイジ」という言葉は「9〜12歳ぐらいの時にあらゆる動作を短時間で覚えることができる」ことなんだそうです。(p.153)
☆だからこそ教育が大事。
小学校3年生から6年生の間に何をやっていたかで人生が決まるといっても過言ではない。
●
高須 前田と最も対極にあるのが、杉浦だよ。この人は九州で生まれたけど、中学の途中で足立区に来た。江東区、足立区、台東区を「下町」とひとくくりにしたとき、大体の人は「人情味が豊か」みたいなことを言うけれど、それは寅さんとかが作り上げた虚像だと俺は思っているのよ。本来下町ほど現金至上主義で、冷たいところはない。
平井 荒っぽいですしね。東京の西に住んでいる人間は「東東京は怖いから、隅田川は渡らない」と平気でいうしね。
高須 地方から上ってきた人間がノスタルジックに思った風景がそうであるだけ。
平井 特に足立区は治外法権というか、東京の本当の不良予備軍がいますね。
高須 東京のへそみたいだよな。杉浦は足立で金を作って商売の場を西(渋谷)に求めて、関東連合を経済の面で支えたけど、見切りも早かった。(p.169)
☆下町は人情あふれる町というのは間違ったイメージだったのか。
そういえば、女子高生コンクリート詰め殺人事件があった綾瀬も足立区だったな。
本書でも対談している杉浦和男さんは関東連合を経済の面で支えていたそうだ。地頭がよく、法律すれすれのビジネスがうまいイメージ。
●
高須 朝堂院の息子は関東連合の頭の方の一人だよ。顔は絶対に見せない。(p.173)
☆朝堂院大覚氏(本名・松浦良右)の息子は松浦大助氏。リミックス株の相場操縦事件は松浦大助氏を頂点とする松浦グループが関わっていたとされる。
●
高須 朝堂院は資本主義の弊害に対して、ものを申しているだけだろ。基本的には社会主義者だ。警察は資本主義の隙間でやってくる人間は逮捕しない。(p.173)
☆世の中のことを考えている善人ほどちょっとしたことで捕まって、ほんとに悪い人は全然捕まらないというイメージがあるが、ほんとに悪い人は、子どものころから修羅場をくぐってきたからこれ以上やると捕まるというラインを見極めるのがうまいのだろう。
【アクションプラン】
・同じ著者の 『
新国粋ニッポン闘議―高須基仁対談集』 も読んでみたい。
・ごとう和 『6番目の虹』 を読んでみたい。
http://www.comicpark.net/readcomic/index.asp?content_id=COMC_AKC00216_001【Amazonレビューより】
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【この本が愛読書の有名人】
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【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
紹介されている13人のうち、一人でも興味があれば。