齋藤孝/著 (祥伝社) 2010年
780円+税
【動機】
「世界一受けたい授業」か何かのTVで紹介されていた。
【所感】
含蓄のある古典が気軽に読める。
【概要】
西郷隆盛が座右の書としていたことでも有名な、幕末の儒学者・佐藤一(いつ)斎(さい)の『言志四録(げんししろく)』。この本には、現代日本にこそ必要な人生の知恵が、簡潔かつ的確な言葉で言い表わされています。
弟子であった佐久間象山(しようざん)をはじめ、吉田松陰、勝海舟、坂本龍馬、伊藤博文といった幕末維新の志士たちは皆、これに多くを学びました。いわば幕末のバイブルだったのです。
本書では、この『言志四録』から〈学習法〉〈仕事術〉〈人間関係・リーダー論〉〈人生論〉に関する言葉をセレクトしました。日本が誇る「最強の人生指南書」のエッセンスが一冊に凝縮されています。
学を為すの緊要は、心の一字に在り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず。
閑事を料理するもの十に八九、又閑事を認めて以て実事と為す。
春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む。
・・・・・・など味わいたい言葉の数々をわかりやすく解説!
【抜粋】
●文章を書くとき、頑張って一行目から書きはじめようとする人が多いのですが、この方法はあまりよい方法とは言えません。なぜなら、一文目に悩みすぎますし、書いている途中でもどういう展開で進めるか迷ったりして、時間がとてもかかってしまうからです。
私は、文章を書くときは、それが400字でも800字でも、原稿用紙100枚でも、まずはメモ書きで、いくつかのキーワードを中心に、構成を考えるということをします。
これだとメモ書きの段階で「迷い」を終わらせることができるので、スムーズに書き進めることができます。
もう一つ、私が書きはじめる前にやっておくのが、最後の一文を決めておく、ということです。(p.36)
☆同じようにやってみよう。
●そこで提案したいのが、いまの行いの結果を過去として見てみる、という方法です。
このように言葉にするとなにやら面倒そうですが、これは一つのシミュレーション法なので、慣れればかなり簡単にできるようになります。
どのようにするかというと、たとえば受験生なら、いまの勉強法をこのまま続けていたとき、入試の結果がどうなるか想像し、落ちたときにどう思うかを、過去を振り返るように見るのです。・・・(中略)・・・
いまのやり方を続けていって入試に落ちたら、そのとき自分はどう思うでしょうか。
これだけのことをやった結果が失敗なら仕方ないと思えるでしょうか。
もし、「あぁ、あのときもっとこうしておけばよかった」と思うようなら、今やってるこのやり方は間違っており、その間違いを認めてはいないけれど、すでに気づいているということです。・・・(中略)・・・
多くの場合、いまやってる方法の問題点というのは、自分自身わかっているのです。(p.51-52)
☆これだけやってダメなら仕方がないと思えるところまでやっておく。
「しまった、あのときこうしておけば」と後悔しそうなことはあらかじめ改善しておく。
(明るい未来を想像するだけじゃなく、暗い未来も想像して、そうならないために行動しておく)
●最近は、例のような堅苦しいものはないほうが自由でいいという人も多いのですが、自由なほうが楽だというのは勘違いです。なぜなら、自由というのは、すべて自分でコントロールしなければいけないということなので、実はとても大変なのです。(p.104)
☆茶道もそういうことなのか。作法があるから、それを覚えてしまえば何も考えなくていいから楽。
●いいこともあれば悪いこともあるというのが「禍福は糾える縄の如し」であるなら、いいことも悪いこともないというのが「人間万事塞翁が馬」の考え方であり、中庸、中和の見方なのです。(p.106)
☆似ているようで全く違う言葉。
自分の考え方は「人間万事塞翁が馬」の方が近いかも。
同じ物事でも捉え方次第で良くも悪くもなる。
●物が増えると、面倒も増えていく。だから、できるだけいろいろなものを減らしていくのがいい。そうすればストレスも減って集中できるようになる、ということです。 (中略) やるべきことが限られれば、そこにエネルギーが傾注できるので、集中力が増していくのです。(p.230)
☆要らないものを処分してスッキリさせれば集中力が増すというのもおもしろい。
●日本にはせっかく四季があるのですから、その四季に合わせて、勉強や仕事を整えていくというやり方もいいのではないかと思います。(p.234)
☆毎年、冬は準備して、春に始め、夏に発展させて秋に収穫しよう。
【アクションプラン】
・文章を書きはじめる前に最後の一文を決めておく。(結論を決めてからその材料を探す)
・これだけやってダメなら仕方がないと思えるところまでやる。
・明るい未来を想像するだけじゃなく、暗い未来も想像して、そうならないために行動しておく
・考える手間を省くために、茶道などの作法を身に付ける。
・毎年、冬は準備して、春に始め、夏に発展させて秋に収穫しよう。
(冬の間にできるだけ準備しておく)
【Amazonレビューより】
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【この本が愛読書の有名人】
西郷隆盛
【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
幕末のバイブルに触れてみたいときに。