堀江貴文/著 (幻冬舎) 2017年
1,400円+税
【動機】
ホリエモンはいくつもの仕事を同時にこなしている。
頭の中は一体どうなっているのだろうか。
【所感】
気軽に読めるが、たくさんの刺激が得られた。読む人によって価値が大きく変わる本だろう。
ホリエモンは100万人に1人の逸材だとあらためて感じる。
(100×100×100=100万)
しかもホリエモンのすごいところは、ご自身が100万人に1人の逸材でありながら、
誰でも簡単に100万人に1人になるための方法を惜しげもなく披露しているところである。
100万人は無理でも、(今から10年間、正しい時間の使い方をすれば)1万人に1人くらいはなれそうかなと思わせてくれる。
【概要】
堀江貴文のビジネス書の決定版!『多動力』
Iotという言葉を最近ニュースでもよく耳にすると思う。
これは、ありとあらゆる「モノ」が
インターネットとつながっていくことを意味する。
すべての産業が「水平分業型モデル」となり、結果タテの壁≠ェ溶けていく。
この、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。
そして、「越境者」に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる
「多動力」なのだ。
この『多動力』は渾身の力で書いた。
「多動力」を身につければ、仕事は楽しくなり、人生は充実すると確信しているからだ。
「はじめに」より
第1章 1つの仕事をコツコツとやる時代は終わった
第2章 バカ真面目の洗脳を解け
第3章 サルのようにハマり、鳩のように飽きよ
第4章 「自分の時間」を取り戻そう
第5章 自分の分身に働かせる裏技
第6章 世界最速仕事術
第7章 最強メンタルの育て方
第8章 人生に目的なんていらない(Amazonより)
【抜粋】
●あなたの貴重な時間を「情報」を得るために使ってはいけない。オープンイノベーションにより、「情報」それ自体の価値はゼロになる。(p.25)
☆情報を集める時間を極力短くする。集めた情報を生かす時間を増やす。
●日本人は、修行や下積み、球拾いなど、苦しいことを我慢して行う美学が相変わらず好きだ。
この本を読んだあなただけでもそんな空っぽな幻想から目覚めて欲しい。(p.25)
☆そうだ。日本人は修業が大好きだ。苦しいことを乗り越えたら楽しいことが待っていると学校で教えられたことが大きい。
修行をしているだけで快感に浸れる。もちろん私も修行が大好きだ。
でも、現在の日本では、修行が嫌で逃げ出した人の方がむしろ成功している。
苦しいことが嫌で楽をしようとして工夫したからだ。あるいは楽しくて仕方がないことをひたすらやり続けたり。
苦しい修行をして20年もかかって習得した人を、楽しいことだけをやり続けてあっという間に飛び越えていく。
(本人にとっては楽しくて仕方がないことなので暇さえあればやっているので上達も早い)
●以前、ツイッターで「寿司職人が何年も修行するのはバカ」と投稿したら大炎上した。しかし、僕は未来のある若者が卵焼きを作るのに何年もの無駄な時間を費やすのを見ていられない。(p.25)
☆何年もかけてやっと卵焼きを1つ作れるようになっただけというのではあまりに時間がもったいない。
なぜ昔はそれがまかり通っていたかというと、それしか方法が無かったからだ。
●インターネット出現前は特定の人間だけが技術や情報を独占し、それこそが価値だったのだ。しかし、インターネットの時代では「オープンイノベーション」が前提となる。(p.26)
☆インターネットのおかげで、何年もかかって師匠から盗まないといけなかった技術がわずか数分でわかるようになった。
これは大きなアドバンテージだ。
そういえば、卵の片手割りとかも何年も前にYouTubeで動画を見てから数分くらいでできるようになって、それ以来ずっと当たり前のようにやっているが、この前テレビを見てたら「卵の片手割り、10秒で3個割れたら半額」とかのキャンペーンをやってて、ほとんどの主婦が1個すら片手で割れなかった。わずか数分の動画を見るだけでできるようになるのに、と情報の威力を知った。
●たとえば、誰かが新しいプログラムコードやツールを作ったのならば、それは公開してしまって、みんなで改良したり、新しい組み合わせを考えたりして、さらに新しいものを作るというのが「オープンイノベーション」だ。情報や権利の囲い込みなどとは正反対の考え方である。(p.26)
☆ブログでも「オープンイノベーション」が大きなヒントとなりそうだ。
情報を惜しみなくどんどん出すことで、さらに良質な情報が集まるようになる。
●「車輪の再発明」というプログラマーの世界でよく使われるキーワードがある。
要は、すでに車輪という便利な便利なツールが存在するのに、一から自力で車輪を開発するほど時間と労力の無駄はないということを表した言葉だ。
「すきばやし次郎」のような寿司屋にわざわざ弟子入りし、長大な時間を修行に費やす者は「車輪の再発明」をしているとしか言いようがない。(p.27)
☆たしかにバカげている。だけど、この世はそういう理不尽なことが多い気がする。
今はどうか知らないが、昔は学校では、「最初から車輪を使おうと楽をするな」と必ず教えてた。
とにかく楽をすること=悪だと教えられるのだ。
「車輪という便利なツールがあるから先人に感謝して使いこなそう」と教える教師は一人もいなかった。
「10年かかって苦労して見つけた理論を1分で人に教えられるか?」という現代にも通じるジレンマにつながる。
私は喜んで教えるが、人によっては、「10年かかって苦労して見つけたものをそう簡単に教えられるか」となるだろう。
●いくらでも代わりのいる存在であれば、給料も上がらないだろう。ダイヤモンドがなぜ価値があるか? それは美しいからではなく、珍しいからだ。
元リクルートの藤原和博さんが唱えている「レアカードになる方法」を紹介しよう。
まず、一つのことに1万時間取り組めば誰でも「100人に1人」の人材にはなれる。1万時間というのは、1日6時間やったと考えて5年。5年間1つの仕事を集中してやれば、その分野に長けた人材になれる。
ここで軸足を変えて、別の分野に1万時間取り組めば何が起きるか。
「100人に1人」×「100人に1人」の掛け算により、「1万人に1人」の人材になれる。これだけでも貴重な人材だ。
さらに飽き足らずまったく別の分野にもう1万時間取り組めば、「100人に1人」×「100人に1人」×「100人に1人」=「100万人に1人」の人材が誕生する。ここまですれば、あなたの価値と給料は驚くほど上がる。(p.31)
☆ドラクエで言えば、魔法使いと戦士を極めて魔法剣士になるようなものか。
ドラクエみたいに、ある程度の経験値を積めば勝手にレベルアップしてくれたらいいんだけど、
現実社会だと、何時間費やしたか、正確な時間がわからない。いちいち記録するのも面倒だし。(以前やろうとしたけど、記録が面倒でやめてしまった)
そこで逆転の発想で、取り組んだ時間を記録するのではなく、最初からスケジュールに埋め込んでおく。
たとえば達成したいことがあって5年間で1万時間費やしたいとしたら、
1年あたり2000時間。1日当たり5.5h。あらかじめスケジュール帳に5〜6時間組み込んでおく。
そうすれば、5年後には「100人に1人」、10年後には「1万人に1人」、15年後には「100万人に1人」の人材になっている。
この時間に何をやるかで未来が変わってくる。1つのことをやり続けるのではなく、掛け合わせるのがポイント。
●ベストセラーはコピペ本
「なんでそんなハイペースで本が出せるんですか?」とよく聴かれるが、ほとんどの本は編集者とライターが僕にインタビューをして、まとめているものなので、大体10時間ほど話せば1冊になる。・・・(中略)・・・
自分の貴重な時間は、自分の強みが一番発揮できる仕事に集中させるべきだ。・・・(中略)・・・
メルマガとHIUという、自分の有料メディアやグループでは、僕にしか書けない堀江貴文の核となるものを残しておく。
本などはその僕の核からネタを引っ張ってくれば何冊でも作れると思う。・・・(中略)・・・
作家根性を発揮して言葉の端々までこだわり抜き、1年以上かけて作った本が1万部もいかないなんてことはよくある。印税で言ったら100万円足らずだ。
時間をかければクオリティが上がる、真心をこめれば人に伝わるというのは、妄想に過ぎない。
何百もの仕事を同時にこなすためには、「自分でやらないこと」を決めるのが大切だ。自分にしかできない仕事以外は、他人に思いっきり任せよう。(p.38-42)
☆ここを読んでますますホリエモンが好きになった。
10時間で本が1冊作れるのか!という驚きと、
10時間、興味を持たせながらしゃべり続けることが出来るネタの豊富さ。
そしてこの本はゴーストライターが書いたとぶっちゃける潔さ。
●僕はカルピスで言うところの原液を作っているのだ。・・・(中略)・・・
地上波放送のようなメディアは、カルピスの原液的コンテンツを薄めてマスに届ける典型だ。・・・(中略)・・・
僕の1滴の原液がアメーバのように無限に広がるのだ。僕が実際に動かなくても、考えや主張は自動的に生産され続け、何人もの僕が働いているのと同じことになる。
もう一度言う、「時間がない」と嘆くあなた。どうがんばっても1日は24時間しかない。
その限られた時間は、自分にしか思いつかないアイディアを出すことや、自分にしかできない発言をすることに集中するべきだ。
関わっているプロジェクトの数が少ない人はだいたい、カルピスの原液を作れていない。ほかの誰かの作った原液を薄める仕事しかしてないのだ。
起業家でもクリエーターでも、なんでこの人はこんなに多くの仕事をできるのかと思う人は、みな原液作りをしているのだ。・・・(中略)・・・
一番わかりやすいのは、あなたが会議でした発言が独り歩きして、多くの人間を動かしているか? と考えることだ。
あなたの発言やアイディアに、あなたが知らない人までもが熱狂し、働く。そういう仕事をするように意識しよう。(p.113)
☆これが自分の分身を増やすコツ。自分の分身に仕事をさせる。
ツイッターで言えば、リツイートされまくっている人が原液を作っている人で、リツイートしている人が現役を薄めている人だろう。わかりやすい。
●資産が人を駄目にする
資産や資格なんていっそ捨ててしまおう。
自分が持っているものを何とか生かそうとすることであなたの動きは遅くなる。
手持ちのカードを捨て「やりたいこと」に最短距離で行こう。・・・(中略)・・・
「○○をしたい→○○が必要:というのが筋であって、「○○を持っている→○○をしないともったいない」というのはだいたいうまくいかない。・・・(中略)・・・
「自分の資格を生かしてビジネスをやろう」なんて悠長なことを考えず、自分に足りない分野は人を雇って補完する。自分がやりたい仕事に、今すぐ手をつけることを最優先するべきだ。・・・(中略)・・・
手持ちのカードを生かそうと考えるのではなく、何をやりたいかをフラットに考えて、その際に必要なカードを集めればいいのだ。
そうすることで、スピードが加速し、いくつものプロジェクトを手掛けることができるようになる。(p.206-210)
☆これもちょっと斬新なので紹介しておこう。
今ある資源を最大限に生かそうというのはよくあるけど、
それに縛られ過ぎてもよくないという話。
今あるものをいったん捨ててフラットの状態でいま本当に必要なものを見極めることも大切。
【アクションプラン】
・さっそく、スケジュールを作ってみた。あっという間に3週間分(3/15の予定まで)ぎっしりと埋まった。何をやろうかと迷う時間が減った。
・「車輪の再発明」をしない。(自分で1から作り上げようとしない!)
・自分がやりたい仕事に、今すぐ手をつける。
【Amazonレビューより】
・5つ星のうち4.0 10000人に1人の人材になる方法 2018年11月20日
ひとつのことを極め、その分野で10000人に1人の人材になるのは相当難しい。
しかし、複数の分野をかけあわせ、「100人に1人 × 100人に1人 = 10000人に1人」の人材になるのはそう難しいことではない。
私自身もユニークな掛け合わせの、「100人に1人 × 100人に1人」の人材になりたい。(oshimyuさん)
【この本が愛読書の有名人】
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【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
時給2500円以下の人で自らの価値をもう少し上げたいと思っている人におすすめ。
【結論】
完璧主義より完了主義を目指そう。