2019年11月20日

未来型サバイバル音楽論

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか
津田大介/著、牧村憲一/著 (中公新書ラクレ) 2010年


【概要】
1998年をピークにCDの売り上げが落ちている音楽業界。今後どうなってゆくのか。
メディアジャーナリスト津田大介氏と音楽プロデューサー牧村憲一氏の共著。


【動機】
ツイッターで有名な津田さんが書かれた本ということで興味を持った。


【所感】
津田さんってツイッターの人というイメージがあったが、音楽にも詳しいのか。


【抜粋】
●アーティストがMySpace(マイスペース)で直接プロモーションして、音源はiTunes Store(iTS)で売ればいい、インターネットで全てをまかなえる、という一種「原理主義的」な人も多いです。<牧村>(p.48)

☆中の業者、いわゆる「ミドルマン」は必要かという議論。クリエイターがリスナーとダイレクトに結びついていて、しかも制作者から、プロデューサーから、ソングライターから、全てを一人がこなすのは現実には厳しい。何から何まで自分一人で行って成功しているまつきさんのような例はまれだという。一人が全部のことを理解した上で、その中で得意なジャンルを各々交換するために人と組むという形がベストかも。


●実は、「一人1レーベル」というのは、ある種口当たりのいい標語であって、ここで目指そうとしているのは本当は一人ではダメなのです。一人で作って、一人で満足して、一人で拍手する音楽ほど寂しいことはありません。すぐそばで最初にその音楽を体験して、批評をしてくれる人間、あるいは拍手をしてくれる人間を持っていた方が、より成功する確率が高いのです。社会に出て行くのは、一人では限界がありますから、最低限二人で始めることをお勧めします。<牧村>(p.106)

☆一人でもできるくらいのノウハウを持って、そしてなおかつ複数の人数でレーベルを運営しましょうということ。資本と独占欲だけのメジャーの時代は終わり、これからは収益とクオリティのバランスを目指す知恵と行動力の時代。戦略や資金の運用能力等は学べば手に入る。


●この時期の注目すべき現象としては、マイ・ケミカル・ロマンスというバンドがマイスペースをきっかけに、大成功を収めたということが挙げられます。当初はどこにでもいる新進バンドでしかなかった彼らはマイスペースの初期から積極的にマイスペース上で活動し、結果10万人以上のファンを集めることに成功し、メジャーとの契約にこぎつけ、現在ではスタジアムでライブをするクラスのバンドに成長しました。彼らの成功は他のアーティストたちに勇気を与え、多くのアーティストがネットでSNSを通じてファンと直接交流するようになりました。<津田>(p.170)

☆10万人ってすごいな。マイスペースやYoutubeなどに楽曲やプロモーションビデオ、ライブ映像などを投稿し、積極的にオンラインでファンとコミュニケーションをとったりという地道な活動を続けることが大事。


●まつきは10年1月1日に『1億人レコード』というアルバムをリリースしました。28曲入り2000円というこのアルバムは、まつき個人の公式サイトで直販されました。購入方法はとても簡単で、アルバムを購入したいと思った人が、公式サイトのメールフォームから申し込みを行い、所定の銀行口座もしくはペイパルを利用して料金を振り込みます。すると、アルバムをデータ形式でダウンロードできるURLが記載されたメールがまつき本人から送られてくるという仕組みになっています。
・・・(中略)・・・
彼はこのアルバムをリリースする以前は、CDを販売する普通のインディーズ・レーベルに所属して活動していました。レーベル所属時はCDの売り上げも低く、十分な著作権料ももらえないため音楽で生計を立てることができず、アルバイトの日々を送っていましたが、そのレーベルを離れ個人でリリースした『1億人レコード』の購入者数はレーベル所属時のCD販売枚数を凌駕。現在は音楽活動を継続するための十分な収入を、音楽活動によって得ています。<津田>(p.196-197)

☆まつきあゆむさんの話である。

目標ができた。CDを作りたい。最終的な目標はCDを売ることであるが、CDを売ることに躍起になるのではなく、手段としては他の事をしながら(たとえばライブやSNS活動、ネット通販などで)CDもありますよと言って買ってもらうのがベスト。このときにCDを作っていないと、興味を持ってもらった人にアクションを起こしてもらえないので、最低限CDは作っておく必要がある。


●まつきあゆむとは異なる方法論で注目を集めているのが、シンガーソングライターの七尾旅人です。・・・(中略)・・・そんな彼が10年6月に「DIY STARS」という音楽配信プラットフォームをプロデュースしました。・・・(中略)・・・このシステムを導入したアーティストは、自身の公式ウェブサイトにデジタルファイルの販売機能を組み込むことができます。・・・(中略)・・・現在はTUNKが厳選したアーティストだけがこのシステムを利用できますが、このようなプラットフォームが多くのアーティストに開放されれば、アーティストが収入を得られる機会が飛躍的に増えるでしょう。・・・(中略)・・・七尾は先日筆者(津田)と行ったトークイベント中に次のような発言をしました。「地方のどこかに住んでいるアーティストがDIY STARSを使って200円の音楽ファイルを売って、それが何かのきっかけでブレイクして100万ダウンロードされれば、ほぼ二億円がアーティストの手元に残るんだよ」<津田>(p.208-211)

☆何とも夢のある話である。「TUNK(タンク)」と共同開発で構築したコンテンツ配信システム。決済手数料はわずか5.5パーセント。つまり約95パーセントがアーティストに還元される。(iTSだと手元に残るのはせいぜい20〜50パーセントくらい)。






【アクションプラン】
・CDを作って販売してみたい。

・一人でもできるくらいのノウハウを持つ。


【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
音楽業界の今後について知りたいときに。



(120724 読了)
posted by macky at 23:21 | Comment(0) | ビジネス書 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする