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2011年04月06日

小泉元総理秘書官が明かす 人生「裏ワザ」手帖

小泉元総理秘書官が明かす 人生「裏ワザ」手帖

小泉元総理秘書官が明かす 人生「裏ワザ」手帖
飯島勲/著(プレジデント社) 2010年



あれだけマニフェストと騒がれたにもかかわらず、
98%の人がマニフェストを読んでいない。
つまり、マスコミなどのイメージだけで選んでいるということ。

ということは、政治家や政党を選ぶに当たって政策自体はたいした問題ではないということ。

歴代政権が短命なのは、政策自体が間違っていたというよりも、
総理のリーダーシップと官邸の危機管理能力の欠如が原因。


著者飯島勲氏は小泉元総理の主席総理秘書官である。
1972年小泉さんが衆議院初当選とともに秘書となっているので、ずっと影で支え続けた人なのだろう。

本書は大まかに裏ワザ、裏事情、政策の3つに分けられる。

人生「裏ワザ」手帖ということでご自身の体験から色々と書かれているけど、
「おー、そんなことができるのか、すごい!」というよりも「そこまでやるのか、気持ち悪いなぁ」という印象を受けた。でも、それくらいじゃないと、総理秘書官は務まらないということか。自分が使うかどうかはともかくとして、相手が使ってこないとも限らないので一応知っておいたほうがいいという感じ。

裏事情は、なかなか知りえない舞台裏という感じで楽しめる。
政策は、思想が入るので鵜呑みにはできない・・・というところか。


●国民の多くが接している公務員は、市町村の役所・役場の職員。彼らは残業してもしなくても給料が同じなので、17時になると帰ってしまう。国民は、優秀なキャリア官僚と接する機会はほとんどありません。これが、国民に大きな誤解が生じている理由なのでしょう。彼らと凡百の経営者がやりあっても勝ち目はありません。私は、キャリアが優秀すぎるゆえに、多くの民間企業は取締役として迎えられず、顧問に納まってもらっているのではと疑っています。生え抜きの常務が1年かけてやってきたことを3日でひっくり返されては、体面が保てない。彼らは、その頭脳に加えて、それまで生きてきた世界のネットワークや、アドバイスをくれる優秀な知人が数多くいるのです。ですから、顧問ということでときどき助けてもらうぐらいが安全なのです。(p51)

☆キャリアがそこまで優秀だとは思わなかった。マスコミの影響で「官僚」っていうと融通が利かない、マニュアルどおりにしか動けない、出世にしか興味がないみたいなイメージがあるけど、実際はちょっと違うのかも。


●キャリア官僚の出世の第一目標は、五十代半ばで官房三課長(人事・会計・総務)になること。次に審議官、局長、官房長、そして事務次官に至るまで熾烈なポスト争奪戦を繰り広げます。
数ある課長職の中で、この三つの課長が大きな意味を持つのは、外部には一切もらすことのできない機密を扱う部署だからです。事務方の最高位である事務次官になるために絶対に通らなくてはならない「官房長ポスト」は、より大きな機密を扱います。官房長になれば、与野党政治家との折衝や省内不祥事など、あらゆる案件を処理することになります。つまりキャリア官僚には「法案づくり」という”表の案件”に加えて、”裏の案件”処理の能力も問われるのです。(p52)

☆審議官になるとブースのような半個室、局長からは完全個室となるそうです。ノックが必要、つまり一人ぼっちの世界。情報から遮断される。


●小泉官邸の秘書官控え室で流行った言葉が「傍受了解」でした。(中略)経済産業担当の秘書官が「この件、外務省にも伝えておきます」と電話で話していたなら、電話を横で聞いていた外務担当の秘書官が「傍受了解」。いまの電話の件、傍受しました。内容了解です。それに合わせて、こちらも進めますということで、コトがとてもスムーズに運んだものです。(p60)

☆なんか、「傍受」って聞くと盗聴の響きがありますね。でも盗聴とは違って合法行為(無線の性質上、部外者にも聴かれることを前提としているため不可罰になるため)なので安心して使えます。


●タイミング、時間、内容……謝罪会見の流儀
問題対処の責任者は、その時点で知りうる事実をすべて把握していなくてはなりません。逮捕者が出たなら、その容疑内容を正確に把握する。社内の噂、ネット情報のようなものではなく、裁判所の司法クラブの発表を通じて、正式な内容を確認する必要があります。
次に、その容疑内容から事件の構造を可能なかぎり思い描いて、この事件が社の内外にどの程度まで広がる可能性があるか予測します。明確な予測が立つなら、会見では捜査当局が発表したこと以上に、説明・謝罪をすることです。当事者としての事実の積極的な調査・確認と全面的な公表、明確な謝罪と、二度と繰りかえさないという反省の姿勢を示すのです。率先して過ちを認め、反省をしていれば、マスコミの対応もずいぶん違ってくるのです。(p62〜64)


・監督庁への報告の機会を利用したり、業界団体の施設を利用する。(自らの敷地や建物内に取材陣を入れない)
・不祥事の全容は一気に公表する。(小出しにするのは一番まずい)
・夕刊紙掲載のためのタイミング
  嫌な情報は夕刊で出す(8〜10時)
  締め切り(11〜12時)
 翌日朝刊紙掲載のためのタイミング
  じっくり取材をさせたいとき(13〜17時)
  周辺取材をさせたくない (0時)
  締め切り (1時)


●令状を示された側には、この容疑ならこの部屋は無関係だから不同意、この部課は不同意……というように、「待った」をかける権利があります。示された令状に対して不同意をかけ、捜索側がそれを了承しないかぎり敷地内には入れさせないということも可能なのです。
捜査は帝位呈して行われ、そこで発覚した余罪は、追及や駆け引きの材料となる場合もあります。捜索を受け入れる側としては、余計な場所には立ち入らせない頑張りが必要です。(p71)

☆実際どうなんでしょう。ここは捜査に関係ないはずだから不同意って言うと、やましいことがなくても「何か隠してるのでは?」って疑われそうだけど・・・。ということは逆に、今回は捜査範囲に入ってないけどそこだけはまずい、決定的な証拠があるっていうときに使う裏ワザなのかも。



・捜査当局の事実上の御用納めは12月4日。
暦の上の御用納めは12月28日なので、年内に立件するには26日頃までには法的手続きを進めなくてはならない。
そこから逆算すると、12月4日には逮捕する必要が出てくる。

●まず、警察は逮捕後48時間以内に、被疑者を取り調べて検察庁に身柄を送致しなくてはならない。その結果、さらなる勾留、取り調べが必要と検察が判断すれば、まず10日間。さらに延長が認められれば再び10日間。つまり、計20日間。警察は被疑者を勾留し取り調べることができるのです。検察はこの期間内に、立件し起訴するかどうかを決定しなければなりません。12月4日に逮捕して、48時間プラス20日間の取り調べで、ぎりぎり年内立件です。(p73)

☆12月4日を過ぎたら、年明けにドカンと花火を打ち上げて御用始めとする。これを「初荷」と呼ぶらしい。年明けてすぐに大きな事件が発覚することが多いのはこういうことか。誰でも正月はゆっくり休みたいと思うのだそうで。


●(農業振興地域では)お金に困ってちょっと売りたいと考えても、農地法に引っかかって土地の所有権移転(農地転用)ができないのです。これを農地転用するには、農業委員会による許可が必要になります。
しかし、ここでも抜け道が存在しています。家族間で、兄弟が分家して家庭を持つという場合は「都市化」という名目で家を臨機応変に立てられる場合があるのです。農業振興地域のど真ん中でどんどん家が建っているのはそのためです。(p105〜106)

☆この抜け道は知らなかった。あとで調べてみたい。


●法律を超越した「○の中に陳(『マルチン』と読む)」項目の存在についても指摘します。ほとんどの自治体に存在すると思われる、表に出すことのできない案件の存在です。「その他の事業」と表記しているところもあります。
これは圧力団体や組織がらみの事業で外への説明が困難な事業のこと。具体的なことには踏み込めませんが、どう考えても国有地、公有地と考えられるような場所に住宅が建っているのを見たことはありませんか。
そんな場合でも、官僚は法律違反とはせず、法律を超越したものとして隠密裏に解決策を模索します。
(中略)
勇気も覚悟も知恵もない現在の政治家たちは、日本の暗部に手を突っ込むことなど絶対にできません。多少なりとも本質を見抜く読者が現れるのを期待して、今回は事実を提示しました。(p107)

☆いわゆるグレイゾーンってやつかな。


●末ついに海となるべき山水も しばし木の葉の下くぐるなり

いつかは大成するとしても、その前には、さまざまな障壁が立ちはだかることでしょう。絶対的少数の立場にあって、決定には従うが、自分は決してブレない。大きな時流には逆らえないとしても、風穴を開けることはできるのです。(p140)

☆いい言葉。この歌は田中角栄が総理に就任した時に著者が頂いたものだそうです。
そしてこの歌を今度は貴乃花親方の理事戦に託したそうです。
韓信の股くぐりに通じるものがありますね。


●通常、天皇陛下や総理、国賓のクルマが道を走るとき、道路のすべての信号は手品のように「青」になります。隣接する道路はすべて「赤」。その手品の使い手は警察です。公務に支障が起きないようにするためです。
(中略)
実は、政府専用機は二機あります。外遊の際には、常に二機連れ立って飛んでいることはあまり知られていません。私はそれぞれ「(エア)フォース・ワン」「フォース・ツー」と呼んでいました。
(中略)
フォース・ツーは誰も乗せずに空っぽで飛びます。なぜなら、フォース・ツーは、フォース・ワンに万一の事故があったときに急遽乗り換えるための予備機だからです。フォース・ワンとは時間を少しずらせてあとを追うように飛ぶのです。(p142〜147)

☆こういう話は面白い。このフォース・ツーが活躍したのは一度だけで、2004年5月22日北朝鮮からの拉致被害者がこれに乗って帰国したそうです。ちなみに本家のアメリカで「エアフォースツー」といえば副大統領搭乗機である。


●たった1ヶ月自衛隊が習志野を離れるだけで、地元の商店街は閑古鳥が鳴いてしまいます。もし駐屯地がなくなれば、地域経済は破綻します。沖縄には大きな産業がありません。さとうきび栽培や観光事業では、大きな収入になっていないのが現実です。
(中略)
現実的には、「在日米軍」が沖縄の一大産業になっているのです。(p159〜160)

☆そういえば、沖縄の基地問題を論じるときに、米軍がいることのメリット、特に経済効果はあまり語られない気がする。



評価:★★★☆☆
軽く読める。三流記事っぽい小見出し。


西松事件で小沢氏のミスは根回しを怠ったことというところは納得がいく。
そして、私ならこんなヘマはしないよというメッセージとも受け取れる。


普段我々は、いかに相手に気持ちよく過ごしてもらうかを考えるが、
相手に居心地悪い思いをしてもらってこちらの有利な展開に持っていくにはどうすればいいかを考えるきっかけになった。
posted by macky at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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