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2010年10月26日

ソクラテスの弁明・クリトン

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

ソクラテスの弁明・クリトン
プラトン(久保勉/訳)
岩波文庫 1964年


「アテナイ人諸君」という呼びかけが何度も出てくるので、
すっかり耳に馴染んでます。

「裁判官諸君」と言わなかったのは、
君たちを裁判官(陪審員)とは認めないという意思の表れだとか。

ちなみにアテナイとは、現在のアテネ。


哲学者といえば
真っ先に思い浮かぶのがソクラテス。
問答法を駆使してソフィストの無知をあばいたことで有名です。
それで恨みを買って死刑になってしまったわけですが。

法廷で力強く弁明するソクラテスを描いた「ソクラテスの弁明」と、脱獄を勧める老友クリトンとの対話「クリトン」。
クリトンとの対話では、議論で打ち負かすこと=自身の死刑を肯定することに繋がるのでちょっと虚しい。
最終的に死に向かっていく(死を肯定化している)ので何度も読みたいとは思わない。

弁明術も、言ってることは正論だが、結果的には周りを不快にさせて(裁判官の反感を買って)死刑になってしまったので失敗だといえるかもしれない。

(もちろん、ソクラテス自身は死刑になっても自分の正しい道を行ければいいと思っているので、失敗とは思ってないでしょうが)


「私を死刑にすると、市民の不利益になる」という議論の展開のさせ方は、今でもよく使われますね。
「私をクビにすると、会社にとって不利益ですよ」みたいな感じで。
でも、会社はその人がいなくても何事も無かったように回っていく(ように見える)。
結局は、自己満足なのかもしれません。

というのは、後でその人がいない状況が語られることがあまりないからかな。
三国志とかだと、「あー、彼が生きていたら・・・」と苦悩するシーンが何度も出てくるので、そのたびに彼の存在感が高まりますが。


大衆に認められずとも自分が正しいと思うことをしたい、
自分の命を犠牲にしてでも信念を貫き通したいという人は
何度も読みたくなるかもしれません。
それ以外の人でも、一度は読んでおいた方がいいかも。

「ソクラテスに脱獄を決意させる説得術」みたいな本があれば
ベストセラーになりそうですね。今風にタイトルを付ければ、
「ああいえばこういうソクラテスに脱獄を決意させた奇跡の説得術」

さしずめ、副題は「クリトンでは荷が重い」でしょうか。
もっとも、クリトンは一人じゃなかったようですが。


評価:★★☆☆☆


■参考記事
ソクラテスの弁明 - ギリシア哲学への招待状
http://philos.fc2web.com/socrates/apology.html

クリトン - ギリシア哲学への招待状
http://philos.fc2web.com/socrates/crito.html
posted by macky at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学・思想 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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