TOP古典 >歎異抄

2011年02月14日

歎異抄

歎異抄 (講談社学術文庫)

歎異抄
梅原猛/全訳注 (講談社学術文庫) 2000年


【概要】
歎異抄とは、親鸞の弟子・唯円による書物。全18条。
親鸞の真の教えを伝える本であり、唯円自身が「外見あるべからず」(決して他人に見せてはならない)と書いているが、その後に成立した本願寺教団(覚如が作り、蓮如が発展させた)を批判するような内容でもあったため、長らく門外不出の秘本とされていた。


【動機】
司馬遼太郎の講演 (『司馬遼太郎全講演[1] 1964-1974』) を読んでいると、
戦時中、 『歎異抄』 を愛読していたというので興味を持った。

●死んだらどうなるかが、わかりませんでした。
人に聞いてもよくわかりません。
仕方がないので本屋に行きまして、親鸞聖人の話を弟子がまとめた 『歎異抄』 を買いました。
非常にわかりやすい文章で、読んでみると真実のにおいがするのですね。
(中略)
兵隊となってからは肌身離さず持っていて、暇さえあれば読んでいました。

☆最初はつまらないと感じていたそうだけど、ある日、音読をしてみると言葉がいきいきと踊りだしたそうです。


【所感】

●善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。しかるを、世のひとつねにいはく、悪人なを往生す、いかにいはんや善人をや。この条一旦そのいはれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり。(p28)第3条原文より

☆善人ですら極楽浄土へ行くことができる、まして悪人は極楽浄土へ行くのは当然ではないかという有名な一説である。世間の人は常に反対のことを言うが、自ら善に励む人はおのれの善に誇って阿弥陀さまにひたすらおすがりしようとする心が欠けているので救済の対象ではない、そういう人であっても自分の心を改めて阿弥陀さま(他力)の力におすがりすれば極楽浄土へ行くことが出来るという意味である。

ちなみに「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」という句自体は、法然が弟子(親鸞など)に語った浄土教の真髄とされている。(詳しくは、p164〜165)つまり、それを親鸞が自分で解釈して「悪人正機説」に結びつけたということであろう。


●亡くなった親鸞聖人は次のようにおっしゃいました。この仏法を信ずる人もあり、悪口をいう人もあると釈尊はいわれた。私はすでに深くこの他力の仏法を信じているが、たまたま他力仏法の悪口をいう人に出会うと、悪口をいう人があるという釈尊の言葉は正しいと知られる。このように釈尊の言葉が正しいなら、われらの往生も確実であろうと思われるのであります。(p74)第12条より

☆批判されたからといって不安になる必要はなく、むしろ真実に近づいているということか。


●どのような悪人をも救ってくださると申しましても、悪をおそれないのは本願ぼこりといって往生することが出来ないということ。
(中略)
親鸞聖人のお手紙に、「薬があるからといって毒を好んではいけない」とお書きになっていらっしゃるのは、かの間違った考え方をやめさせようとするものであります。(p83〜84)第13条より

☆「人を千人殺せば往生できる」と親鸞聖人に言われた唯円は、「千人はおろか一人だって殺すことはできません」と答える。つまり、親鸞聖人が言いたかったことは、人間は心にまかせて善でも悪でもできるわけではなく、因縁が備わっているかいないかによる。すべての善悪を業にまかせて、ひたすら本願をたのむことこそ他力の信仰であると説く。


●親鸞はいう。阿弥陀仏が長い間苦悩して衆生救済の願を立てたのも、親鸞一人のためであると。(p136)

☆まさにこれこそ他力本願。


●覚如の 『改邪鈔』 が語るところによれば、親鸞は、死んだら鴨川に死骸を流して魚に肉をやってくれといったという。(p268)

☆立派なお墓は要らないということ。


梅原さん本人の解説が70ページ以上にわたってあるが大変面白い内容である。
というわけで、岩波文庫版よりもこちらの方が親しみやすい。



【アクションプラン】
・法然と親鸞の教義の違いについて簡単に調べてみた。
法然も他力救済にすがるという考え方で、(厳しい修行などしなくても)念仏を唱えるだけで極楽浄土に行けるということだが、念仏を唱えること自体が自力だと考えたのが親鸞である。

法然は他力本願で親鸞は絶対他力。

これ以上は難しいのでまた時間のあるときにでもゆっくりと調べてみたい。


・一種の「無教会主義」ということで内村鑑三の著書もいつか読んでみたい。



【この本が愛読書の有名人】
司馬遼太郎


【評価】
評価:★★★☆☆
posted by macky at 23:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 古典 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック