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2013年05月02日

帝王学の教科書

帝王学の教科書―リーダー英才教育の基本
守屋 洋
ダイヤモンド社
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1,680円+税、2010年 (初出は1984年)


【概要】
中国古典研究の重鎮、守屋洋が『論語』『孫子』『三国志』さらには『貞観政要』『史記』『十八史略』をひも解き、
人と組織を動かす要諦を解説する。(「BOOK」データベースより)

1984年にプレジデント社より刊行された 『帝王学の知恵』 を改題したものである。


【動機】
帝王学を学ぼうと思い手に取った。


【所感】
中国の古典からうまく引用されていて読みやすい。


【抜粋】
●帝王学というのは、少し広い立場からとらえると、つまりはリーダー学なのである。組織のリーダーたるもの、どういう条件が必要なのか、このテーマをさまざまな角度から追求したのが帝王学である。 (中略)
 中国の古典は、ある意味で、帝王学の宝庫である。たとえば 『貞観政要』 などは、むかしから、中国でも日本でも、帝王学のテキストとして珍重されてきたし、その他の古典にしても、このテーマを重要な柱として成り立っている。(まえがきより)

☆最近、帝王学という言葉をよく耳にするが、分かりやすく言えばリーダー学、リーダー論ということ。


●帝王学とは何か。
 ひと言で言えば、「守成の時代」を生きるトップの心構えにほかならない。守成とは「成るを守る」ということで、新しいものをつくるのではなく、すでにでき上がったものを守っていく、という意味である。
 守成には創業とは違った苦心努力を必要とする。それを認識するところに帝王学は成り立つと言ってよい。(p.2)

☆リーダー学の中でも、二代目に重きを置いている。そういえば、創業者が自分の息子に後を継がせるべく、帝王学を施したというのはよくある話である。


● 『貞観政要』 は、唐の太宗とその重臣たちが力を合わせて守成の時代を乗り切っていく苦心経営ぶりをまとめた本である。内容のうえから言ってほとんどが太宗と重臣たちの問答という形式をとっている。(p.6)

☆帝王学といえば真っ先に思い浮かぶのが、『貞観政要』 である。ちなみに、太宗(李世民)も唐王朝の二代目皇帝である。


●昔から、 『貞観政要』 をひもといた為政者は多くの数にのぼっている。中国では、その後の歴代皇帝は、多くの場合この本を読むように義務づけられてきたあし、日本でも、少なからぬトップがこの本に親しんできた。
 たとえば、女性ながら鎌倉時代きっての政治家で「尼将軍」として権力をふるった北条政子である。彼女は、わざわざ学者に命じて和訳させるほどの惚れこみようだったと言われる。
 また、徳川幕府三百年の基礎を固めた徳川家康もこの本に親しみ、藤原惺窩を召して講義させたばかりでなく、足利学校に出版を命じて普及につとめている。そのせいか、紀州家を初めとして、江戸時代の藩主でこの書を愛読したものが少なくない。
 さらに、歴代の天皇も、帝王学の教科書としてこの書のご進講を受け、その数は記録に見えるだけでも十数人にのぼっている。近くは明治天皇である。侍講の元田長孚のご進講を受け、この書に深い関心を寄せられたという。(p.8)

☆まさに帝王学の教科書として、昔から活用されてきた。


●あるとき、弟子の子貢が、「人民を貧困から救い、生活を安定させることができたら、どうでしょう。これこそ仁ではありませんか」とたずねたとき、孔子はこう答えている。
「それはもう仁どころではない。そこまでいけば聖だよ。尭や舜のような聖天使でさえ、それを成就できなくて悩んだのだ。(p.97)(「論語」巻第3-雍也第6より)

☆仁はもっと身近にあるという。自分をつねに他人の立場に置いてみること、それが仁の道であると。



●彼らの知謀は、切れると言っても、ハッと息を呑むような快刀乱麻の切れ味ではなく、切られた本人がいつ、どこで、どんな切られた方をしたのか、まるでわからないような切れ味であった。
 中国人に言わせれば、実はそんな切れ味こそが最高の知謀ということになるらしい。つまり、迫りくる危険を未然に察知し、無理なく、自然に、しかも、さりげなく危険の芽をつみ取ってしまう、それが真の意味の知謀であるらしいのだ。(p.73-74)

☆項羽の軍師・范増と漢の高祖劉邦の軍師・張良の知謀は抜群の切れ味。それは、事前に危険を察知しその芽を摘み取ってしまうほどの知謀であったという。


●ペテンと聞くと、日本人はもっぱら被害者に同情し、加害者を非難するのが一般的である。中国人の認識はこれとは違う。(p.137)

☆張儀のように損害も迷惑も与えないどころか、かえって感謝されるような、巧妙極まりないペテンを目指せ!


●ただし「仁」にも落とし穴がある。リーダーが過剰にこれを持ちすぎると、かえって動きがとれなくなる恐れがないでもない。それを語っているのが「宋襄の仁」の故事だ。(p.150)

☆これは思い当たる節がたくさんあるので、耳が痛い。大事なところでは非情に徹することも必要。大事なところで「そんな卑怯なことはできぬ」と言って負けてしまうのは愚かなだけだ。



●リーダーに必要とされるのは、むしろ後へ退く「勇」である。状況が不利だ、勝算が立たないと見きわめたときは、ためらわずに撤退の決断を下せる「勇」、それはリーダーに望まれる「勇」なのだ。(p.152)

☆状況が不利でも粘ってなんとかしようと、ずるずると続けてしまう方なので、後へ退く「勇」は肝に銘じておきたい。あとから見ればその決断が勝因になるかもしれない。



【アクションプラン】
・中国の古典を一通り学んだ後で、もう一度読んでみたい。

・帝王学と言えば、 『韓非子』 や 『君主論』 と並んで、 『貞観政要』 が必ず出てくるので、一度読んでみたい。




【評価】
評価:★★★☆☆(3.5)
こんな人に、こんな時におすすめ:
帝王学を学ぶためのガイダンスとして。
posted by macky at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0) |  -中国古典 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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