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2013年12月11日

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王
青木 理
小学館
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トラオ 徳田虎雄 不随の病院王
青木理/著 (小学館) 2011年
1,500円+税



【概要】
男の名は、徳田虎雄。1938年生まれ。元自由連合代表。衆院議員を計4期務めた医療法人・徳洲会の理事長。「年中無休、24時間オープン」を旗印とし、一代にして全国66病院を含む280余の医療施設を擁する病院帝国を築き上げた。しかし2002年春―。徳田は、ALS(筋委縮性側索硬化症)を発病し、現在、文字通りの死闘を続けている。ALSとは身体を動かす神経系が壊れ、全身の筋力が失われていく難病である。(「BOOK」データベースより)

『週刊ポスト』 誌の2011年5月6・13日号から7月1日号まで合計8回にわたって掲載した同名の連載記事に大幅な追加取材と加筆・修正を施したもの。



【動機】
堀江貴文 『刑務所なう。2』 を読んで興味を持った。

次男・徳田毅氏の公職選挙法違反事件、
さらに、猪瀬直樹東京都知事への資金提供など
タイムリーな話題の背景について知りたい。

日本の「黒幕」200人』 にもキングメーカーの一人として登場している。



【所感】
全体的に読みやすい文体。

丁寧な取材で徳田氏の破天荒ぶりがよくわかる。



【抜粋】
●鳩山と徳田は旧知の間柄だったにもかかわらず、鳩山が闘病中の徳田と直接面会して「徳之島案」への協力を要請したのは、島がすっかり反対一色に染まってしまった後の4月28日のことだった。これに対して徳田は「もう わたしの いちぞんで どうにか なるものでは ありません」と一蹴し、「最低でも県外」とぶち上げてしまった普天間移設計画は完全に行き詰まり、沖縄県名護市辺野古沖への移設という元の木阿弥に舞い戻った。これに社民党が猛反発し、連立与党を離脱した結果、5月末までの決着という「対米公約」も雲散霧消し、鳩山は6月2日に退陣を表明、内閣総辞職へと追い込まれていくこととなった。(p.88)

☆鳩山元首相は腹案があるといっていたけど、これのことだったようだ。あのとき住民の反対運動が起きる前から早めにしっかりと根回ししていれば、徳之島に基地を移転して鳩山政権が辞職に追い込まれることはなかったかもしれない。それほど徳田には力があるということだ。



●8人兄弟・姉妹の長男として生まれた徳田が医師を志したのは、父が「密貿易」の失敗によって逮捕され、8カ月の懲役刑を受けていた最中に起きた「ある出来事」がきっかけだという。
 再び徳田の自著 『ゼロからの出発―実現できない夢はない』 から、原文のまま関連部分の一部を引用する。
<3歳になる弟がいたんですが、その子が病気をした。夜中の3時ごろに嘔吐したり、下痢をしていたから、いまでいう脱水でしょう。「お医者さんに行って、往診を頼んでおいで。」とおふくろがいう。まあ、こわくて、いやですよね。小学校3年で、真夜中に外に出されるのは。弟を見て、すこしでも元気そうだったら、行かないつもりで顔を見ると、もう気を失って目をむいてました。
 びっくりして外に飛び出したのはいいけど、田舎だから、なんの明かりもなく、もう無我夢中で走った。やっとたどり着いて、手をつくようにして、足の裏をなめるようにして、頼んだけれど、きてくれない。反対側の村に走って別の医者に頼みにいったけれど、やはりきてくれない。
 医者がやっときてくれたのは、翌日昼過ぎで、弟はもう白目をむいたまま死んでました。その形相が忘れられない。医療を受けられない恐怖や悲しみは、いまの都会人には、わからないでしょうね。これが、僕の心にはじめてぐさっと突きささったこと、といっていいだろうな。人生に決定的な影響を与えた。弟の死がなかったら、僕は医者にならなかった>(p.111-112)

☆これが離島、過疎地の現実。この強烈な体験が元となって医者を志したという。そしてこの時の体験が、今も世界中にもっともっと病院を作りたいという徳田氏の原動力となっている。



●医者だけをしておけば、多くの人から尊敬されるのに、どうして汚い政治の世界なんか手を出したのかって、みんなにも言われました。
 でもね、 『生命だけは平等だ』 って訴えて、田舎だろうと過疎地だろうと病院をつくって医療を提供できる社会をつくりあげるんだっていう主人の目標は、医師会と政治が一緒になって阻まれることが多かったんです。だから自分の目的を達成するために政治を動かす必要があるって、政治に手を出して頑張らないと自分の思いが完成できないって、そう言いましてね……」(p.125)

☆今の政治家みたいに、とりあえず政治家になって「さて何をしよう」というのではなく、目的を達成、理想を実現するために政治家になっている。だからこそそれがエネルギーやパワーの源になっている。



●――常識はずれ、というと?

「いろいろ尋ねると、とにかく滔々と持論を語りだす。まあ、それはそれで分かります。で、こっちも取材だから、話を前に進めるために 『そうですね』 って賛同的に相づちをうつことってあるでしょう。 『なるほど』 『ぜひ頑張ってください』 くらいのことも言う。そしたら唐突に 『支援するならカネをカンパしろ』 って言い出すわけ。 『選挙にいろいろかかって大変だから、カンパしてくれ』 って(笑)」

☆そういう感覚なんだろうな。初めて徳田氏にお会いしたという栗本慎一郎さんの話。
猪瀬都知事に5000万円渡した件とかもどうでもよくなってくる。
本当に国民あるいは都民のためにいま必要なことは何かについて考えさせられる。



●彼が一番嫌いなのは、いいと思っているのにやらないことだったね。いつもそんなことばかり言ってましたよ。口だけのやつはいかん、と。いいと思ったら全力でやれ、と。(p.176)

☆いいと思ったことはすぐにやる。全力でやる。



●あのころは(60年)安保闘争なんかがあって、小田実の 『何でも見てやろう』 がブームになって、そんな時代ですよ。僕は(大学の)寮にいて、とにかく海外に行きたいという衝動に駆られて、徳田も一緒になって 『アジア医学調査隊』 っていうのをつくったんです。(p.208-209)

☆ちょっと読んでみたい。



●「彼が最初からスケールが大きいのは間違いない。こつこつやってく性格じゃないんだ。ボーンと現実を作っちゃえば、歴史は後からついてくる、みたいな感じだな」(p.216)

☆最初に大きな枠というか形から作って、あとで細かいところを詰めていくやり方の方がダイナミックでスピードも出るなぁ。最初から大きな目標を立てて突き進んでいきたい。



●透析を長くしとったら動脈硬化が早く起こるしな。心臓とか目とか皮膚とか、いろんな症状が出てくる。平均寿命もものすごい短いですよ。透析をはじめてから死ぬまでの」

――なぜ日本は腎臓移植の医療体制が遅れているんだと思いますか。

「透析することで金儲けできるシステムをつくった国が悪いんじゃないですか。透析療法がカネになるんですわ(苦笑)。ものすごい儲かるの。それが日本ですわ」(p.254)

☆宇和島徳洲会病院の医師・万波誠氏の話。日本は透析で金儲けしている。そのシステムを壊したくないから臓器売買のシステムを整備しないということだ。




【アクションプラン】
・目標の実現のために、形だけでもどんどん進めていく。



【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
日本最大の医療グループを一代で築き上げた徳田虎雄とはどのような人物なのか?

posted by macky at 20:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメンタリー | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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