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2015年03月23日

破戒の連鎖 ~いびつな絆が生まれた時代

破戒の連鎖 ~いびつな絆が生まれた時代
工藤 明男
宝島社
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破戒の連鎖 ~いびつな絆が生まれた時代
工藤明男/著 (宝島社) 2014年
1,300円+税



【概要】
90年代半ばの東京・山の手――。襲撃、報復、抗争、資金源獲得。東京の不良少年の世界で、「食物連鎖」の頂点を目指した関東連合「伝説」の幹部が、少年期の野望と転落を綴った、前作をしのぐ悔恨の回想録!(「BOOK」データベースより)

「いびつな絆」少年編。



【動機】
前作 『いびつな絆』 を読んでおもしろかったので。


【所感】
暴走族の抗争って三国志のゲームみたいに勢力争いがあるようだ。

久田将義 『関東連合』 を読んだ時もそうだったけど、

こういう本を読んでいると無性に三国志がやりたくなってくる。

特に冒頭に地図が載ってるが、こういう色分けされた地図を見るとワクワクしてくる。

現代の日本でこういうおとぎ話みたいなことが実際に行われていたなんて。

社会への反抗とかよく言われるから、暴走族ってただうるさい音を出して一般人の睡眠の邪魔をしているだけかと思っていた。



【抜粋】
●あと少しで善福寺公園(杉並区)に辿り着く。そこはいつも、私たちがパトカーをかわすために使っている場所だった。バイクしか通れない遊歩道があるからだ。(p.41)

☆信長などが若い頃、野山を駆け回って(戦に備えて)下見をしていたのに似ている。地の利。何も考えずボーっと走っているだけじゃダメだ。



●拙著 『いびつな絆』 でも書いたことだが、六本木クラブ襲撃事件が起こった直後、防犯カメラの映像をテレビで観た見立君のお母さんは、すぐに自分の息子とわかって泣き崩れていたそうだ。(p.41-42)

☆この映像だろうか。ちょっとわかりづらいけど自分の息子だとすぐにわかるのかも。
https://www.youtube.com/watch?v=TQ-hrH_aUZs



●私と見立君は18歳になったばかりだったが(見立君は早生まれだ)、当時としては異例の検察官送致、つまり大人と同等の処分を希望して、そのとおりになった。 私も見立君も、その前の事件で少年院を出てから、それほど時間が経過していなかった。保護処分であれば間違いなく少年院送致にされ、1年以上身柄を拘束される。ならば検察官送致にしてもらって、10日かそこらで罰金刑で出た方が割りがいいというのが、私の中での打算だった。(p.56)

☆「彼らはもう少年院に入れて教育しても時間の無駄だから、大人の処分にして責任を自覚させましょう」ということだ。

(通常は逮捕された少年は一度検察官から家庭裁判所へ身柄を送致されるが、家庭裁判所の少年審判の結果により刑事処分にすべきだと判断された場合、逆送(検察官送致)といって少年を検察官へ送り返すことになる)



●「証拠云々の話をするなら、やられた相手に弁護士飛ばして証言させて、世の中に出しますよ」

「それはちょっと困るんだよ……」

主席は頭を抱えてしまった。(p.62)

☆完全に少年院の主席職員(院長、次長に次ぐ役職)を手玉に取っている。
18歳とは思えない。

長く施設にいて少年法や少年事件関連の本を読み漁っていたそうである。
やっぱり人間、必要に迫られれば死に物狂いで勉強するものだ。



●見立君が変わったのは私たちと出会ってからだ。 (中略) バイクの盗み方や乗り方を教えたのは、私を含めて後の宮前愚連隊のメンバーとなるS53世代の者だった。(p.71)

☆もともとは真面目な番長だったようだ。環境は人を変える。



●在日韓国人1世の父と日本人の母を持つ在日韓国人2世の母は、極貧ともいえる家庭環境に育った。 (中略)
 祖父は両班(ヤンバン)と呼ばれる朝鮮半島の貴族階級の出身だった。大学に通うために日本に留学していた祖父は、戦時中に旧日本軍に資産を没収され、戦後帰る故郷を失った。当時としては珍しく、日本の大学にまで進んだ祖父は、そのまま日本に残って日本企業でサラリーマンを始めた。(p.106)

☆工藤氏は韓国人とのクォーターということになる。
両班というと官僚階級つまり支配階級だったようだ。



●「俺ら頭(の中が)アメリカだからよ。すぐ刺すよ」
 偶然にもKが役者として出演していた映画 『代打教師』 で、俳優の山本太郎がバタフライナイフをカチャカチャと手で動かしながら吐いた台詞だが、暴走族の世界も、そんなふうに刃物をチラつかせる時代になっていた。(p.124)

☆Kは映画にも出てるのか。今度観てみよう。



●鑑別所では鑑別所側の職員である考査官と家庭裁判所側の調査官が、収容されている少年の非行歴や知能、精神状態を、臨床心理学などの専門的な知識にもとづいて診断する。経験から得た印象でいえば、考査官は鑑別所の職員なだけに、少年院送致を推奨する傾向にあると思う。対して家庭裁判所の調査官は、必ずしも少年院に収容することに肯定的ではない印象があった。(p.138)

☆結局二回目の鑑別所では、試験観察処分の補導委託(民間ボランティアに非行の在った少年を預けて、通学や仕事をさせながら生活指導する制度)となったそうである。



●ほどなくして、家庭裁判所は私を在宅の試験観察に切り替えた。 (中略)
 私が1回目の少年院に入って覚えたのは、こういった狡猾さだったように思う。ちなみに1回目の少年院送致は、初めての鑑別所送りで決まった。(p.142)

☆〈1回目の鑑別所は必ず出られる〉(初めての鑑別所で少年院送りになることは無い)という地元の先輩の話を鵜呑みにして、反抗的な態度で鑑別所での生活を送っていたら、家裁で少年院送致を言い渡されたそうである。少年院では抜け目なく模範生となり11か月の平均収容期間を8か月半ほどに短縮させている。



●正直、瓜田のことはよく知らない。 (中略) そもそも関東連合とは無関係なのに、あそこまで関東連合に固執する神経が私にはわからない。あそこまで固執するなら、関東連合に入っていればよかったのだ。(p.157)

☆瓜田氏の著著 『遺書』 を読むと関東連合に入らなかったのは同級生の工藤氏にヤキを入れられて気持ちが折れたからだと書いてあったのに、当の本人はあまり覚えてないようだ。



●私は当時、ワンギャルのメンバーの1人と付き合っていた。私以外の現役のメンバーの何人かも読者モデルと付き合っていた。そういう流行りのアイドルと仲がよかったり付き合ったりするのが、当時の若者の世界ではステータスだった。関東連合と芸能人の交流という意味では、実はこのあたりにルーツがある。(p.180-181)

☆ワンギャルというのは、ワンダフルガールズの略で、釈由美子さんなどがいたらしい。
関東連合と芸能人の交流はよく聞くけど、結構昔からだったようだ。



●「よし、もういい。やめろ」
 大山が力尽きて動かなくなったころ合いを見計らって、私は止めに入った。
 しかし、一心不乱にバットを振り落している者たちは、大山が動かなくなっていることも、私の声にも気が付かない。
「やめろって言ってんだろ!」
 私が怒鳴りつけるとようやく我に返ったのか、宮前のメンバーたちは「はっ」となって金属バットの動きを止めた。(p.195)

☆夢中でバットを振り落している集団は歯止めがきかないようだ。
六本木クラブ襲撃事件もそういう感じだったのだろう。



●そう言うと私は、ナイフの刃をさらに大山の耳の根元に強く押しあてた。
「勘弁してくれ。あと斎藤がヤバそうだから、こいつだけでも助けてくれ」
 大山は覚悟したかのように必死になって懇願してきた。斎藤は私と大山が話している間も何度か卒倒して、いびきをかきだしていた。それを他のメンバーが蹴り飛ばして起こす。(p.198)

☆いびきをかくって脳が損傷しててかなりヤバい状態だ。



●もちろん大山の体格をもってしても、これだけ負傷していれば私に勝てるはずもないのだが、そうなると落とし所がなくなる。(p.199)

☆常に冷静に落とし所を探っている。
修羅場をくぐってきただけあって、どどどどうしようって頭が真っ白にならない。



●「堅気の人間に喧嘩でやられてどうケジメをつけるかですって? 逆に堅気に喧嘩でやられたなんて世間に知られたら、いい笑いものになりますよ」
 私たちが暴力団に危害を加え、最終的に負けるなりさらわれるなりしていたら、きっちりケジメをつけさせられただろう。しかし私たちは毎回負けなかった。喧嘩に勝ってしまえばあとはどうにでもなる。そんな理屈をこの時期に覚えてしまった。(p.207)

☆関東連合は暴力団相手でも引かなかったようだ。



●「館長、工藤には格闘技もいいんですが、下の人間をたくさん抱えているんで、ビジネスをやらせたいと思っています。館長にもそっちの方で応援していただけるとありがたいです」
 Kはすかさずフォローしてくれた。
「K、冗談や、冗談。男だったら仕事で勝負しないとな。工藤は背が小さいけど、根性が据わった顔をしてる。ちっちゃい奴は根性があるからな。仕事は喧嘩と一緒で、まけたらあかんからな。勝つまでやるんや」(p.220)

☆Kの紹介でK-1の石井館長と初めて会った時の話。
いい身体をしているので格闘技をさせられそうになっている。
工藤氏には野望があった。Kの下で関東連合という巨大で最強の組織を作り、関東周辺のあらゆる不良少年たちを押さえる。さらにサークルや読者モデルなどの若者たちを押さえれば、さまざまなビジネスを展開できるという野望が。
鑑別所の中でじっくりと戦略を練っていたようである。



●後にコンビ芸人のうち1人は、社会人野球の遠征先のホテルで、17歳で無職の少女に飲酒させたうえ、性的な暴行を加えた強姦の疑いで書類送検されている。この事件により、その芸人は吉本興業との契約を解除されて芸能活動を中止している。本人は復帰を望んでいるようだが、いまだにめどは立っていないという。(p.233)

☆ひょっとしてと思って調べてみたらやっぱり極楽だった。Kに脅されていたのか。
レイプした芸能人を脅すと金になるという。500万円を恐喝された上に、書類送検までされて、全然口止めになってないじゃん(笑)



●逮捕された日、私は逃亡生活を始めて以来、初めて安堵の眠りについて熟睡した。(p.285)

☆逃亡生活の末、捕まった人はみんなこういうことを言ってるけど、それだけ逃亡生活って苦しいものなのだな。
逮捕された日に安堵の眠りで熟睡って、普通じゃ考えられない。
ちなみに、逃亡生活は3か月ほど。



●Kの親御さんについての噂の真偽を尋ねてみると、実のところ、台湾人のお父さんはいたって真面目な貿易商を営んでおり、お母さんも普通の主婦だということがわかった。(p.294)

☆本書を読んでいるうちに、工藤氏に大きな影響を与えたKってどういう生い立ちなのだろう? って興味が沸いていたら、終章でKの特集ページがあった。外伝である。
Kは台湾人の血が入っているようだ。流暢な英語は少年院で独学で身に付けたものだという。

「これからは英語ぐらい話せないと駄目だと思って、少年院に収容されている時間を無駄にしないために必死に勉強した」そうだ。





【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
関東連合のことが知りたい時に。

 
posted by macky at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメンタリー | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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