TOPノンフィクション >武富士 サラ金帝国の闇

2016年02月17日

武富士 サラ金帝国の闇

武富士 サラ金帝国の闇
一ノ宮美成、グループ・K21/著 (講談社) 2004年 
1,600円+税


【動機】
京の花いちもんめ』 を読んで興味を持った。



【所感】
結局この世はお金さえあればなんでもできるってことなのかな。

マスコミや警察を買収してやりたい放題。



【概要】
武富士サラ金帝国の闇
 消費者金融業界最大手として拡大を続けていた武富士が、盗聴事件によって武井保雄前会長をはじめとする逮捕者を出してから1年が経つ。経営陣の刷新を図り、再建に向けて動き出した同社は本当に変わることができるのか――。暴力団など裏社会の取材に定評のある著者が、改めて “武富士スキャンダル” の全容を明らかにしようと試みたノンフィクションだ。

 武富士帝国の独裁者と言われた武井前会長とは、いかなる人物だったのか。元社員らは、「北朝鮮といっしょの絶対的な君主制度」「会長の命令は絶対。軍隊と宗教団体、それもカルト教団を足して二で割ったような会社だった」と回顧する。ナンバー2という存在を嫌い、いかに目をかけて育てても必ず最後には粛清したという。こうした独裁体制が長年維持されてきた背景には、人を人とも思わぬむちゃくちゃな貸し付け(過剰融資など)と、容赦ない取り立ての実態があった。また、巨万の富に群がる政治家、官僚、右翼、暴力団、さらには警察関係者やマスコミの存在も見え隠れしているとし、実名を挙げて同社との関係を追及していく。執拗な接待や交渉、裏工作などによって、本来は同社に批判的だったマスコミ人や弁護士が懐柔されていく過程が赤裸々に描かれている。
(日経ビジネス 2004/12/13 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)



2003年12月、サラ金業界最大手の武富士元会長・武井保雄が、盗聴で逮捕・起訴された。そのきっかけともなった大量の内部資料流出により、サラ金帝国武富士の底知れぬ闇とカラクリが次々と明らかに!!本書では、冷酷非情な搾取や暴力支配の実態、前身の富士商事のカネに群がる政治家、暴力団、警察、マスコミとの歪な関係、巨大企業に登りつめていく闇のプロセスに迫る。(「BOOK」データベースより)



武富士 サラ金帝国の闇 (講談社+α文庫)
一ノ宮 美成 グループ・K21
講談社
売り上げランキング: 853,151




【抜粋】
●この四月、盗聴被害者であるジャーナリスト・山岡俊介氏との “示談交渉” の場で、武井前会長が「盗聴は知らなかった。あれは検事の作文。冤罪だ」と発言していたことが表ざたになったのだ。(p.3「まえがき」より)

☆山岡俊介氏ってよく聞くけど、武富士の盗聴被害者だったのか。



●武富士が株式の店頭公開をめざし始めた頃、社内外のトラブル案件を処理するために渉外部を設置し、私がその課長を命じられた頃からです。武井会長からは、社員の犯歴調査、またはジャーナリストや武富士の役員、退社した社員等に対して電話盗聴をして、その動向を監視し対応せよとの指示をうけておりました。(p.18)

☆渉外部は暴力団との交渉など会社のウラの部分を一手に引き受ける部署。



●かつての上司である藤川元渉外部長の教えにならって、すべては破棄せず、その一部を保管していた。・・・(中略)・・・今回の武井前会長、中川元課長の最初の逮捕容疑になったのは、山岡俊介氏宅の盗聴だったことは冒頭に書いたとおりだが、実は同元課長が内部資料を最初に持ち込んだのが、ほかならぬその山岡氏だった。(p.22)

☆犯罪が発覚したらすべて自分のせいにされてしまうからいざという時のために書類を残しておくようにとアドバイスされていたという。



●中川元課長は、山岡氏の自宅の盗聴方法について、こう説明したという。
「屋外の電話回線に盗聴用の発信機を取り付け、通話があると電波が飛び、自動的に近くの植え込みに隠されたテープ・レコーダーのスイッチが入る仕組みです。録音時間が限られているため、一日ごとにテープを回収しに行き、その足でアーク横浜探偵局の重村社長自身が(武富士の)本社に録音テープを届けに来ました。
(中略)
山岡氏の自宅マンションの二階共用部分の壁面に設置された整端配電盤内の電話回線から、検知器と呼ばれる器具を用いて、山岡氏の電話回線を探し出し、同回線に接続されていたヒューズを取り外した上、同ヒューズと同じ形の盗聴発信機を設置。さらに、同マンションの東側外壁脇に自動録音装置付きの盗聴受信機器を設置し、以来、電話による通話内容を自動的にカセットテープに録音する方法で盗聴したという。(p.24-37)

☆盗聴のやり方が詳しく書いてある。



●坪山代表は元陸上幕僚監部三佐で、ミリオン資料サービス創業一ヵ月前の73年5月、自衛隊を退職したばかりだった。それも、自衛隊時代は、防衛庁長官に直属する中央調査隊を頂点にした情報部隊である調査隊に所属。・・・(中略)・・・その後、JCIAともいわれていた、国内外の情報収集専門の陸幕二部(陸上幕僚監部第二部隊)別班で、極東、主として朝鮮関係の情報収集にあたっていた。つまり、CIA(米中央情報局)やKCIAと密接な関係を持っていた自衛隊のスパイ部隊に所属していた情報収集のプロだったのである。(中略)
 金大中拉致事件は02年、 『KT』 という題名で映画化されたが、坪山代表は俳優・佐藤浩市が演じていた主人公(自衛官)のモデルになった人物である。(p.34-35)

☆金大中拉致事件を扱った映画があるらしい。観てみたい。
陸幕二部別班は、CIAに直結する軍事スパイ機関らしい。



●中川元課長が触れている宮崎氏と警察との関係だが、公安調査庁と通じていることは、複数の出版物で、同調査庁の内部資料にもとづき、実名あるいは匿名で暴露されている。その内部資料を読む限り、宮崎氏は「反権力」の対極にある「公安のスパイ」と疑われても仕方がないだろう。(p.70)

☆宮崎氏が「公安のスパイ」とは驚いた。



●「人定調査書」には、中川元課長から手渡された内部資料を使って一億円恐喝未遂事件を起こし逮捕された大塚万吉被告にかかわる詳細な記録もあり、ここにはオウム真理教との親密な関係を示す公安警察情報が記載されている。(p.77)

☆大塚万吉こと趙万吉といえば、オウム真理教元マスコミ仕切り役だそうだ。多くの被害者を出した大盛工業投資詐欺事件(JM-NET事件)にも深くかかわっている事件屋(金融ジャーナリスト)としても知られる。警察の内部資料である「人定調査書」や「交番簿冊」などが武富士に流れていた。



●何かあって、警察に対応してもらっても、マスコミに先に取り上げられ、やがて、右翼がそれをネタに武富士をドンドン攻撃する。(p.90)

☆右翼はマスコミのネタをもとに街宣活動などの攻撃をする。だからその前にマスコミ対策をしておくということだ。マスコミ対策がうまくいかなくて右翼に攻撃されてしまうと警察に対応してもらう。それでもだめならお金を払ってでも止める。それでもだめなら暴力団に頼むという流れ。株価を維持するためには右翼の攻撃などは無視できないのでマスコミに対する接待がリスクヘッジの一環となる。



●武富士の違法取り立てとノルマ漬けにされた人権無視の社内事情はわかったが、なぜ、これほどのことが明るみに出ることなく、今日まで続いたのか。
 その理由について、武富士被害対策全国会議代表の新里弁護士は「武富士ダンサーズのCMに象徴される、洪水のようなマスコミへの広告・接待漬けと武富士を中心にした貸金業界の出資法の上限金利引き上げを狙った政界工作にある」と指摘する。(p.121)

☆CMをやっているというだけで世間はクリーンなイメージで見ていた。クリーンなイメージに見せるためにCMを大量に流していたといえる。消費者金融のCMは最近は規制されているので全く見なくなったが、一時期は大量に流れていた。



●莫大な広告費はそのまま、メディア封じの「工作費」になってきたが、武富士は大手マスコミの幹部記者らを高級クラブなどで頻繁に接待していた。(p.122)

☆広告費は消費者に宣伝したりクリーンなイメージを植え付けるためだけでなく、メディア封じの「工作費」になってるのがおもしろい。当然のことながらスポンサーの悪口は言えない。



●武井前会長と “電通のドン” 成田豊前会長とは定期的にゴルフをする仲で、きわめて親密な関係にあったことは知る人ぞ知る事実である。
 見ての通り、電通のマスコミ対策での助言は実にきめ細かい。さすがに、日本で最大の広告代理店だけあって、その手法は洗練されている。(p.130)

☆特定の企業のスポンサーになってるだけではなく、それを全体的に取りまとめる電通と親密な関係にあったことがポイントである。テレビを見ている人などはその情報を鵜呑みにしてしまう人が多いので効果が絶大だ。



●結論からいえば、藤井氏から採取した尿に、だれかが覚せい剤を混入したんです。藤井氏も裁判で、最初、京都府警で採取された際、量が足りないなどといって、継ぎ足しされたりするなどして、三回も四回も容器が封印されないまま、藤井氏の目の前から持ち去られたと証言しています。(p.216)

☆そういえば最近も同じような事件があったな。
葉山町議の細川慎一容疑者。

覚醒剤所持容疑で41歳葉山町議逮捕 江田・維新前代表の元秘書 「警察が入れた」と否認(2016.2.17 11:10)
http://www.sankei.com/affairs/news/160217/afr1602170007-n1.html

細川容疑者は「(覚醒剤は)警察が入れた。警察は信用ならない」と話し、採尿を拒否しているという。
覚せい剤をやっている人は被害妄想が大きくなるからそれが真実かどうかはわからないけど。

ホントにやってないなら採尿を拒否するはずがないと思うけど、
やってないのにでっちあげられる可能性もあるから一概には言えない。



◆追記:160316

覚醒剤「尿すり替えた疑い」と無罪 でたらめ捜査と判決
http://www.asahi.com/articles/ASJ3J363TJ3JUTIL004.html
(2016年3月16日11時15分 朝日新聞デジタル)

 覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われた東京都町田市の男性(47)に対し、東京地裁立川支部(深野英一裁判官)は16日、無罪(求刑懲役2年)とする判決を言い渡した。

 判決は、男性の尿から覚醒剤の陽性反応が出たとする警視庁作成の鑑定書について、「男性の尿が何者かにすり替えられるなどして、別人の尿が鑑定された疑いが否定できない」と指摘。警視庁町田署の捜査について「極めてずさん。明らかな虚偽で、でたらめな内容の捜索差し押さえ調書が作られるなど、信用できない」と厳しく批判した。

 男性は昨年3月上旬から25日までの間に、若干量の覚醒剤を使ったとして同年5月に逮捕され、6月に起訴されていた。

 男性は、捜査段階から一貫して否認していた。弁護側は、捜査で採取された尿を保管していたポリ容器の封に、本来はあるはずの男性の署名と指印がなく、白紙だったことから、「男性の尿がすり替えられた可能性がある」と主張。裁判で同支部は「尿が被告のものではない可能性がある」として、鑑定書を証拠採用していなかった。

 男性の弁護人は判決後、「検察は控訴せず、『尿のすり替え』という重大な不正行為について、過去にさかのぼって徹底的に調査すべきだ」と話した。

 警視庁は「調査の結果、尿を取り違えた事実は確認できなかった。本事案を重く受け止め、捜査員に対する指導を徹底し、再発防止に努める」とのコメントを出した。(坂本進)






●前田弁護士は、もともとその竹中組長の地盤である兵庫県姫路市が地元で、69年の衆院選挙で旧兵庫四区から旧社会党公認候補として立候補した経歴を持っていた。そうしたことから、旧社会党と一心同体の関係にあった部落解放同盟とは昵懇で、狭山事件の弁護人の一人でもあった。04年2月、秘書給与詐欺事件で有罪が確定した辻元清美・社会党元代議士、五島昌子・土井たか子社民党前党首元秘書の弁護人でもある。(p.231)

☆武富士の顧問弁護士でもあった前田知克弁護士。86年9月に崇仁協から京都駅前の開発案件を(買収する資金を出すところを見つけてもらいたいということを)依頼され、武富士に持ち込んだ人物でもある。



●「京都戦争」の発端は、90年12月、会津小鉄会会長の息子と同会系加州会会長が、利権を求めて武富士の武井前会長にコンタクトを取ったことから、驚いた武井前会長がこれまでつながりがあった山健組に介入を依頼。山健組はもともと京都進出を狙っており、これが会津小鉄会と山口組の対立関係を生み出したという。(p.259)

☆これが後に、山口組の宅見若頭射殺事件にまで繋がる。




【アクションプラン】
・映画 『KT』 を観たい。(金大中拉致事件を扱った映画)

・マンガ『クロサギ』を読んでみたい。(大盛工業事件を扱ったマンガ)




【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
武富士について知りたいときに。

 
posted by macky at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック