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2016年05月17日

百田尚樹『殉愛』の真実

百田尚樹『殉愛』の真実
角岡伸彦、西岡研介、家鋪渡、宝島「殉愛騒動」取材班/著 (宝島社) 2015年
1,389円+税


【動機】
殉愛』 を読んで興味を持った。



【所感】
なんだかミステリー小説を読んでるみたいだった。

「殉愛」の種明かし本。

「殉愛」を読んだ後に読むと楽しめる。



【概要】
たかじん最後の741日―後妻・さくらは天使だったか? 元マネージャー、前妻、家鋪ファミリーが証言。“純愛ノンフィクション”の疑惑を徹底解明!(「BOOK」データベースより)


百田尚樹『殉愛』の真実
角岡 伸彦 西岡 研介 家鋪 渡 宝島「殉愛騒動」取材班
宝島社
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【抜粋】
●たかじんの遺言執行者であるY弁護士に対し「金庫内の現金は、私のものだったということにしてほしい」と持ちかけていたというのだ。しかもY弁護士にこれを断られた後、「遺言執行者解任」を裁判所に申し立てており、Y弁護士は自主的に辞任している。(p.47)

☆もしこれが事実なら遺産目当てに近づいて遺産目当てに看病したということになる。
しかも、あわよくば殺した可能性もあるとなれば、これは殉愛なんかじゃなく事件だ。



●<「無償の愛」とは一行も書いていません>(p.48)

☆たしかに無償の愛とは書いてない。たかじんがお金を払っているシーンも出てくる。だが、遺産目当てに自分の方から近づいたとなれば話は別だ。



●ラジオ時代から、たかじんのファンであった私は、2013年から彼の取材を続け、14年9月に 『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』 (小学館刊)を上梓した。取材を始めたとき、たかじんは食道ガンの闘病中で、インタビューは実現しなかった。 (中略)
 たかじんの最期を看取った妻・さくら氏に何度も取材依頼したが、何の返事もなかった。さくら氏が看病にあたった、たかじんの晩年については限られた情報しかなかったため、拙著にも誤りはある(それらは増刷時に訂正する予定だ)。(p.54)

☆読んでみたい。



●でもまさかそれが死後に放送されるとは思いませんでしたね。師匠もそうだと思いますよ。というのは、僕もあの番組を見ましたけど、音程がずれてましたでしょ。あんな歌声が世間に発表されることを師匠が許すはずがありませんもん。何に使うか、知らんかったと思います」(p.90)

☆音程がずれていたりすると、最期の肉声だといって感動するよりも本人の意思に反して公開されてかわいそうだと思ってしまう。

『殉愛』 では、たかじんがさくらを喜ばせるために録音したという微笑ましい話として紹介されていたが、『殉愛の真実』 では、さくらが頼んで吹き込んでもらっている。後で利用するためだとしたらひどい話だ。



●ある時、Kさんが強行突破して病室に入ったところ、兄貴が「俺がお前にそんなこと、言うわけないやろ」とKさんに優しく笑顔で接していた、という話も教えてもらいました。(p.142)

☆もしこれが本当ならひどい女だな、さくらって。自分で遠ざけておいて、たかじんの前では「見舞いにも来ないなんて」と言ってるのか。そんな人、いるのだろうか。



●さくらが最初の夫・M氏と離婚した後も、たかじんと知り合ったとされる11年までの7年間、「M」姓を名乗り続けたことは先にも述べた。が、実は彼女はM氏と結婚した後、日本国籍を取得し、氏名を「M・Y」と改め、日本に帰化していたのだ。(p.187)

☆そういえば、森田さくらという名前だったような気がする。



●<シャネルとバーキンをこよなく愛し、高層マンション、タクシーの完全都会っ子生活から一転、恋した相手はイタリア・田舎っ子の彼・・・。慣れないカントリーサイドで国際結婚ブログ>(p.201)

☆タイトルの付け方がうまいな。それに比べてうちのブログのタイトルの平凡なこと。見習わねば。



●数字を見ても、「たかじんのそこまで言って委員会」の平均視聴率が約13%で、放送1回あたりの平均CM収入はおよそ4300万円、「たかじんNOマネーBLACK」は4%で約600万円、「たかじん胸いっぱい」が8.2%で約1200万円(数字はいずれも2014年11〜12月の平均、取材班調べ)と、やや厳しい「NOマネー」以外は、関西キー局の制作番組としてはそれなりにビジネスになっている。(p.265)

☆1回の放送でこんなに収入があるのか。看板料としていくらかがさくら氏のもとへ行っていたようである。



●「 『永遠の0』 のモチーフは、2000年に柴田錬三郎賞を受賞した浅田次郎の 『壬生義士伝』 (文藝春秋刊)が下敷きになっていることは有名です。日本人の伝統的な価値観に沿った美しい生きざまというテーマ、故人の生き様を生者が明らかにしていくという設定などそっくりで、百田氏自身、この作品に影響を受けたということを明言している。(p.316)

☆偶然、一昨日に浅田次郎氏の著書( 『初等ヤクザの犯罪学教室』 )を読んだところだった。



●放送作家・構成作家として活躍していた百田氏は “つかみ” と “オチ” の意識に敏感で、多くの材料をうまく編集しながら読者に感動をもたらす換骨脱胎の技術に長けていた。(p.316)

☆百田氏の特長を一言でうまく言い表している。



●「作家になって7年で初めていただく賞。直木賞なんかよりはるかに素晴らしい、文学賞のなかで最高の賞です」
 わざわざ直木賞の名前を出したところに百田氏の本音が見え隠れするが、「文春から出さんと直木賞は取れん」という持論をある意味で証明する結果となった。(p.320)

☆ 『海賊とよばれた男』 で本屋大賞を受賞した。

芥川賞と直木賞の違いって何だっけ?
ちょっと調べてみよう。

→ 芥川賞と直木賞の違い



●いかにも日頃から勉強しているようではあるが、これらの元ネタは13年2月に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ、当時たかじんは療養中)で紹介されたもの。スタッフが整理検証し、百田氏が番組内で解説してみせたものだが、百田氏の持論がだいたいワンパターンで展開されるのは、血肉となっていない知識を駆使しているからだろう。(p.327)

☆そこまで言って委員会でみんなよく知ってるなぁと思っていたら、スタッフが集めたネタだったのか。



●「幻冬舎の見城氏は、安倍首相とメディア関係者を仲介する政界の黒幕として知られており、10年に幻冬舎が 『モンスター』 を刊行して以来、親密なつき合いを続けてきた。(p.330)

☆見城氏について調べてみると、芸能界でさまざまなものを仕掛けている。まさにブームの仕掛け人のような人だ。




【アクションプラン】
・角岡伸彦 『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』 を読んでみたい。 →読了(160524)

・百田尚樹 『永遠の0』 を読んでみたい。

・浅田次郎 『壬生義士伝』 を読んでみたい。


・裁判の行方がどうなったのか調べてみよう。




【Amazonレビューより】
・品性のない胡散臭い本 2015年4月26日
本書の4月下旬現在のカスタマーレビューにおいてそのレビュー数の多さもさることながら、星5つがなんと95%である(492/519)。どれほど人気がある作家でも、例えば村上春樹、東野圭吾のベストセラー小説であっても司馬遼太郎、藤沢周平らの著書であっても一般読者が対象であれば通常星5つの割合は50〜80%である。それが統計というものである。要するにこの結果には意図的な何か、いいかえれば作為的な操作が存在しているとしか思えない。本書は「殉愛」を攻撃し、自分たちの正当性、真実性を訴えているがその根拠が全く薄っぺらで真実には程遠い内容である。真実かどうかの判断は事実の確認をどのように行っているかである。捏造本とされている「殉愛」は利害関係のない第三者の証言を引用した場合、文中あるいは巻末に姓名が記されている。また、二人の婚姻関係もなされており、仲睦まじい二人の写真も掲載されている。そもそも家鋪さくら氏が、ある種の魂胆をもって彼に接し、金を引き出そうとしてもあそこまで介護の記録を24時間、数か月間記録できるものではない。その内容はたかじんの排泄からせん妄状態まで記載されている。こういった時系列の記録を頭で作り上げ、虚偽の文章で埋めようとしてもまず、ほころびが出る。また、たかじんが洗脳されていたとしてもそれはそれで当人が幸せを感じて死んでいったのであるから何の問題もない。こういった事実があったということのみでよい。百田氏の「殉愛」を捏造と断定するのであれば第3者が検証し得る内容にしなければならない。ただし、利害関係のある当事者の口述は、一般読者には真偽の判定は不可能である。したがって、キーマンであるKマネージャー(殉愛で無能と評された男性)の言い分は削除すべきである。然るに本書第1章では、このマネージャーがこう言った、ああ言ったの自己弁護もしくはさくら氏への恨みつらみが展開されているのみである。泥棒にお前は泥棒かと聞いてその答弁を記載しているようなものである。同様に第2、3章での親族の口述も利害関係があるため採用はできない。自分たちの都合のいいようにいくらでも編集可能であり、現実にそうなっている。採用し得るのは読者が検証し得る文書あるいはそれに準ずるものが付与されていなければならないし、当事者でない証言を採用するなら実名を挙げなければならない。「関係者によると云々・・」は論外である。第4章でさくら氏の過去に関して悪意をもって暴露し、一方出自では書く必要のない在日韓国人(真実かどうかは検証不能)とするくだりのさりげない挿入法もあっぱれである。本書は真実と謳いながら相手を誹謗中傷しているだけの品性のない本である。(Kさん)




【評価】
評価:★★★★☆(3.5)
こんな人に、こんな時におすすめ:
殉愛』 を読んだ後に。

『殉愛』 はさくら氏側から一方的に書かれてたもので、『殉愛の真実』 は反さくらの側から一方的に書かれたものである。

どちらが正しいかは裁判に任せるとして、
どうせなら両方から取材した中立の立場のものも読みたい。

 
posted by macky at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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