2019年05月27日

アメリカの壁

アメリカの壁 (文春文庫)
小松左京/著 (文藝春秋) 2017年 (初出は1977年)
740円+税


【動機】
2年前のトランプ大統領の出現を予言して書いたと言われた本。

読んでたらトランプ大統領が日本に遊びに来た。すごい偶然。

大相撲を観戦してた。




【所感】
1作目は表題作。けっこう退屈だなぁと思いながら読んでたら最後のオチは意外でおもしろかった。

O.ヘンリを読んだ時のような読後感があった。


2作目「眠りと旅と夢」
ミイラが1000年経った今でも生きていて柩の中で眠っているという発想がおもしろい。

ふたを開けて空気に触れると朽ち果てて死んでしまうから、慎重に開けないといけない。

ひょっとしたら本当なのかもとちょっとでも思わせてくれるところがおもしろい。


3作目「鳩啼時計」以降はまた時間のあるときにでも読もう。


著者の息子が書いた解説もわかりやすくおもしろかった。




【概要】
「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」を掲げ当選した大統領ひきいるアメリカが、突然出現した「壁」によって外の世界と遮断される! 1977年に発表された表題作「アメリカの壁」が「現在のトランプ政権の誕生を予言していた」と40年の歳月を超えて話題沸騰、電子書籍として発売されるや、各電子書店のベストセラー・ランキングで1位を獲得、国内外のメディアで大きく取り上げられた。この注目作品に加え、「眠りと旅と夢」「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」の六篇を収録した短編集を、新装版として緊急出版する。SFが“未来を見通す文学”であるならば、「国境に壁を築く」というトランプ大統領の台詞を先取りしたこの題名は、まさに「SF界の巨匠」の面目躍如たるものがある。
ベトナム戦争が終わってからこのかた、アメリカ人が急速に「内向き」になっている時代。独立記念日の直前、アメリカから外界への、すべての交通機関、通信手段が突然、途絶する。ビジネスで日本から来ていた主人公は困惑し動転するが、アメリカ人の友人は「こんなことが起こるような気がしていた」と不可解な態度。そして何事もないかの如く独立記念日の式典は華やかに進む。アメリカが不可思議な壁で覆われてしまっても、なぜ「アメリカ市民」たちは平静でいられるのか。「アメリカの壁」を生んだのはあの大統領」なのか・・・? 奇想天外な「SF」という形式で、巨匠・小松左京は、超大国アメリカの本音を鋭く抉り出す。(Amazonより)

独立記念日を前にしたある日、アメリカと外界との連絡、交通が突然遮断された!?40年前にトランプ大統領登場を予言したかの如き表題作に加え「眠りと旅と夢」「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」の、いずれも未来を的確に見通した六篇を収録。SF界の巨匠の面目躍如たる短編集。(「BOOK」データベースより)


アメリカの壁 (文春文庫)
小松 左京
文藝春秋 (2017-12-05)
売り上げランキング: 30,188





【抜粋】




【アクションプラン】
・3作目「鳩啼時計」以降はまた時間のあるときにでも読もう。




【Amazonレビューより】
・5つ星のうち4.0 話題のメキシコ国境の壁で「アメリカの壁」を思い出した。 2017年3月5日
文春は流石だね、「アメリカの壁」1編だけの廉価版も有ったが、それでは面白くないのでこちらの方を購入。
角川版と違って小松左京ライブラリの解説が無いけれども面白かった。
「アメリカの壁」は大統領が北米大陸を囲む霧による電波、電気不透過の壁で鎖国してしまう物語。
輝けるアメリカとか美しいアメリカとかどこかで聞いたことある様なお題目だな。
面白かったのは、「眠りと旅と夢」、「幽霊屋敷」、「ハイネックの女」かな。
「首都消失」も読み直そうかな。(Nekomatadesuさん)



・5つ星のうち4.0 色々な小松ワールドを堪能できる 2018年10月27日
@アメリカの壁(★★★★)
 アメリカの沖合220海里の所に突如出現した高さ数百kmの「白い霧の壁」はあらゆるものを遮断する。帯の
 惹句にもあるように約40年前の作品でありながら、現在のトランプ大統領を彷彿とさせる。「おまえ達, 
 もう入って来るな!」と言わんばかりのアメリカの壁は、むしり取られ続け孤立の道を選択したライオンの
 内向きベクトルの産物のようだ。
A眠りと旅と夢(★★★★★★★)
 インディ・ジョーンズのような出だしに期待感が高まり、生きているミイラの場面では恐怖にも似たゾクゾ
 ク感が体を包む。ラスト1頁は宇宙が引っくり返るようなどんでん返しに降参する。悠久の時の流れと無限の
 深宇宙の虚無感にSFならではの感動を覚える。
その他、鳩啼時計、幽霊屋敷、おれの死体を探せ、ハイネックの女が収載されている。(渋柿さん)



・5つ星のうち5.0 名品というしかない「眠りと旅と夢」が読めたから五つ星 2008年7月19日
 1977年(昭和52年)から1978年(昭和53年)にかけて掲載された「アメリカの壁」(初出誌『SFマガジン』)、「眠りと旅と夢」(同)、「鳩啼時計」(『週刊小説』)、「幽霊屋敷」(『小説推理』)、「おれの死体を探せ」(同)、「ハイネックの女」(『オール讀物』)の六つの短編を収録した文庫本(1982年5月25日 第1刷)。

 なかでも一頭地を抜いて魅力的で面白かったのが、二番目に収められた「眠りと旅と夢」。南米のペルー、コロンビアの国境に近いアンデス東斜面のピラミッドに安置されていた三体の古代ミイラ。その中の一体、偉大なる神官「三の猿」をめぐって、あり得ない真実のベールが次第にめくられていき、最後に不可思議な謎が解き明かされる妙味。「人生は夢で織り合わされている」と『テンペスト』だったか(?)で記したシェイクスピアの言葉に通じる、深遠かつ壮大、ファンタスティックな物語の面白味。うーん、無類に面白いSF小説ってのは、こういう作品のことを言うのだろうなあと、読み終えてため息をつかされた短編。今さらなんですが、これは小松左京短編群のなかでも、非常に優れて印象的な名品ですねぇ。深く魅了されました。

 ちなみに、ハルキ文庫の小松左京作品群のなかでは、長編では『果しなき流れの果に』が、中・短編作品集では『時の顔』『結晶星団』といった辺りが、心のど真ん中を衝かれた問答無用の傑作本。とても印象に残っています。(東の風さん)





【この本が愛読書の有名人】





【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
小松左京を初めて読むのにぴったりかも。



 
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2017年05月02日

カエルの楽園

カエルの楽園
百田尚樹/著 (新潮社) 2016年
1,300円+税


【動機】
本屋で平積みされていたので読んでみた。



【所感】
何をたとえているのか想像しながら読むと楽しい。



ナパージュ: Napaj→Japan(日本)

ツチガエル: 平和を愛する日本人

三戒: 憲法9条

ナポレオン岩場: 原爆ドーム(原爆記念碑)

ヌマガエル: 韓国人

エンエン: 韓国

ウシガエル: 中国人

スチームボート: アメリカ

南の崖: 尖閣諸島

デイブレイク: 自虐史観の左翼主義者。田嶋陽子など

ハンニバル: 自衛隊

マイク: マスコミ。

ハンドレッド: 百田尚樹(著者)







【概要】
最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。
ベストセラー作家が全力で挑んだ、衝撃の問題作。

安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。
そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。
だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こる――。

著者自らが「私の最高傑作」と断言。
大衆社会の本質を衝いた、G・オーウェル以来の寓話的「警世の書」。(Amazonより)


安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、平和で豊かな国「ナパージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り穏やかに暮らしていた。ある事件が起こるまでは―。平和とは何か。愚かなのは誰か。大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」。(「BOOK」データベースより)


カエルの楽園
カエルの楽園
posted with amazlet at 17.05.02
百田尚樹
新潮社
売り上げランキング: 671





【抜粋】
●「彼らはウシガエルを挑発したのです。そのせいで、もう少しで、ウシガエルと争いになったかもしれません。そうなれば大きな戦いになった可能性があります。最悪の結果――何の罪もない我々がハンニバルのせいで命を失ったかもしれないのです」
 カエルたちは怒りの声を上げました。
「わたくしは今日ほどハンニバルの危険性を感じたことはありません。このままハンニバルたちを自由にさせておけば、今に彼らはナパージュに大いなる厄災をもたらすに違いありません!」(p.112-113)

☆ハンニバルが出て行ったからウシガエルは崖を下りて行ったのに、「もう少しで争いになっていた」と逆に恨まれる始末。これは現代の軍隊でも同じことが言えるかも。だからこそ難しいといえよう。
実際にやられてから出て行かないと逆に恨まれてしまう。





【アクションプラン】




【Amazonレビューより】





【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
憲法9条について考えたいときに。

そういえば、今週は憲法週間だ。これを機会に読んでみては?

 
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2016年12月21日

火花

火花
又吉直樹/著 (文藝春秋) 2015年
1,200円+税


【動機】
芥川賞受賞ということで読んでみたけど、期待外れ。



【所感】
いかに型を破るかということに主眼が置かれていて、

師匠の伝記を作るという大きな食材があるにもかかわらず、

最後までおいしそうな料理が出てこなかった。

そういう意味では型破りな小説。


漫才師という職業が特殊な世界で、その裏側を知るにはいいが、

主人公らの性格に共感できず。文章に深みもない。

結果、才能のない漫才師は大変だな、くらいしか思うところがない。







【概要】
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。(「BOOK」データベースより)


火花
火花
posted with amazlet at 16.12.21
又吉 直樹
文藝春秋
売り上げランキング: 497







【アクションプラン】
・映画化されるとしたら誰が適役か考えてみたい。

徳永(主人公):?
山下(相方):綾部祐二(ピース)
神谷(あほんだら):板倉俊之(インパルス)
大林(あほんだら):堤下敦(インパルス)
鹿谷:エハラマサヒロ または 木村拓哉
真樹:鈴木京香
由貴:斉藤由貴



・ピースの漫才といえば、「魂」しか見たことなかった。他にもあるのかな?

http://www.dailymotion.com/video/xge2lr_8-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9_fun




【Amazonレビューより】
・盛り上がらない文学界の噛ませ犬作品。納得。2016年8月18日
※最新追記
最近テレビに出て文学について語ってる又吉さんを見て、ふと気付きました。「本が大好きで書いただけの人なんだぁ」、そう思いました。つまり、本が単に好き過ぎる素人が書いただけ、という事です。その語りを聞いて悟りました。
そして、文豪がなかなか登場しない、いまいち盛り上がらない文学界の、又吉さんはただの噛ませ犬なのだと、同時に悟りました。そして、現代の芥川賞は信用出来ないと思いました。
もし、この作品を、心から面白いと思うなら、現代や過去の文豪が可哀想です。
嘘だと思うなら、誰もが知ってる夏目漱石の「坊ちゃん」を読んでみて下さい。自分は漫画の様に笑ったのを思い出しました。また、漢字や語句の勉強にもなります。
又吉さんの火花は過去1番ダントツで心から読まなきゃよかったと思った作品ですので、逆に考えて、ただの噛ませ犬作品なので、どれ程つまらないかをあえて読んでみて、現代や過去の文豪達の本物の文学を読めば、その落差から最高に面白く感じると思います。
本物の文学は、読んだら、必ず何かしらの引き込まれる魅力があります。感情を揺さぶられたり、想像力を掻き立てられます。
自分はまさか火花を読んでがっかりさせられるとは思っても見なかったので、本物の文豪達の本を、改めてまた読んでみようと思います。

※以下は以前のレビューです。
※Amazonでは購入してませんが、SONYから頂いたので一気読みしました。

最後の方に少し盛り上がりがあるだけで、深みがないと感じざるを得ませんでした。
また、読んですぐ夢中にさせる、引き込む文章力も一切感じませんでした。
逆に、現代や過去の文豪達は、とても魅力的な文章を書いてたな、と再認識させられました。
又吉さんは、好きですが、正直つまらなかったです。(MBP MUSICさん)


・超教科書的芥川賞作品 2016年8月17日
星一つで芥川賞をとったことに対して文句を言っている方々はおそらくいままで芥川賞作品を一作品も読んだことがないのではないか。
話題だからとか、売れているからとか、芸人が書いて芥川賞とったからとか、そんな理由で読まれたのだろう。
では、芥川賞を普段読んでいる人間はどう感じるか。
おそらく、実に教科書的な芥川賞作品であると気づくはずだ。
半径5メートルくらいのミニマムな世界の中で、2人の主要人物がいて、なんとも言えない会話中心の平坦なストーリーが展開され、読み終わるとなんとも言えない気持ちになる。
まさしくよくある芥川賞作品の特徴そのものだ!
さらに今回の火花は情景描写などの地の文もレベルが高く古典的だ。
芥川賞をとるべくしてとった作品としか言いようがない。
しかし、もしこの作品を退屈に思うのならば、それは又吉が悪いわけでもあなたが悪いわけでもない。
あなたが単に芥川賞作品と合わない。そういうことではないだろうか。(ニャッキさん)


・なんだかなぁ 2016年4月17日
古本で購入して読みましたが、定価で買わなくて良かったとつくづく思いました。
ウ○コやらチ○コやら死ネやら下品なことを叫びながら、尻を出したり鼻水を垂らしたりすることを笑いと履き違えているような何の個性もないタイプの先輩芸人を、 なぜか崇拝して(もしくは崇拝しつつ馬鹿にして)いる主人公が、
ひたすら居酒屋や公園で理想論的御託を並べつつ何の努力もしないという、ただただそれだけの話でした。
人物描写が薄く、主要人物に何の魅力もないので共感もできず、読み手の私は置いてきぼりな感じで、最初から最後まで冷めた気持ちのまま読み終わりました。
最後のオチに関しては、又吉さんの人間性を疑うほどで嫌悪感すら感じました。(そして次回作を書ける技量も無いだろうなと思いました)
これが純文学だと言われる方もいますが、これが純文学なら、私にとって純文学を読むということは、貴重な人生の時間を最大限に無駄遣いすることに他なりません。(Amazon カスタマーさん)





【評価】
評価:★★☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
ナポレオン・ヒルと夢をかなえるゾウと大富豪アニキと太宰治を寄せ集めて1冊の小説を作ってみた感。



おもち
posted by macky at 20:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月09日

三四郎 その1

三四郎
夏目漱石/著 (新潮社) 1948年 (初出は1908年)
324円+税


【動機】
夏目漱石が今日で没後100年を迎えた。

というわけで、以前から読みたいと思っていた 『三四郎』 を今読んでいる。


夏目漱石のアンドロイド完成:生前の姿を再現、声も合成
http://mainichi.jp/movie/video/?id=117700440
(2016年12月08日 21:39 毎日新聞)

 文豪・夏目漱石の生前の姿を再現したアンドロイドが完成し、二松学舎大(東京都千代田区)で8日、報道陣に公開された。 9日で漱石の没後100年になるのに合わせ、漱石が通った漢学塾がルーツの二松学舎大と、ロボット開発で知られる大阪大教授の石黒浩さんの研究室が共同で製作した。【撮影・丹治重人】



ご無沙汰ですね…没後100年お披露目
http://mainichi.jp/articles/20161209/k00/00m/040/044000c
(毎日新聞2016年12月8日 19時51分)

 「ご無沙汰ですね。ほぼ100年ぶりというところでしょうか」。9日で没後100年の夏目漱石(1867〜1916年)のアンドロイドが完成し、二松学舎大(東京都千代田区)で8日、報道陣にお披露目された。「100年もたっているのだと、今感慨にふけっているところです」と身ぶり手ぶりを交えて語り、漱石の小説「夢十夜」の一節を朗読した。

 漢学塾だった二松学舎で漱石が学んだ縁があり、ロボット研究で知られる大阪大教授の石黒浩さんの研究室と二松学舎大が共同で製作した。漱石の写真やデスマスクなどを基に外見を再現。漱石の孫で学習院大教授の夏目房之介さんの声から人工音声を作った。(共同)



アンドロイド化するとこれがスタンダードになるから
石黒浩さんプレッシャーかかるだろうなぁ。

しかもデスマスクから作ったということは、亡くなった時の顔ということ。
夏目さんからしてみればうれしくないかも。



【所感】
読んでるうちに序盤でいきなりビックリすることがあった。

それはまたおいおい。

なんで今まで読んでなかったんだろう?



ところで、表紙の写真がちょっと怖いよ。



【概要】
熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。(「BOOK」データベースより)


三四郎 (新潮文庫)
三四郎 (新潮文庫)
posted with amazlet at 16.12.09
夏目 漱石
新潮社
売り上げランキング: 2,359




【Amazonレビューより】
・巧いなぁ、さすがだなぁ。 2013/5/20
漱石の作品は、教科書に出てくるもの。というイメージがあり、勝手に堅苦しいと決め付けていたが、とんでもない。
三四郎と美禰子の、なんともいえぬ距離感。引き合いにだすのも憚られるがまるで遠い昔に見た少女マンガにも似たみずみずしさ、胸キュンな感覚。。
周囲の人物の描写もしっかりとしており、世界観にすっかりはまった。
何気ないセリフの光ること。巧すぎる。彼がなぜ文豪と評されるのかが、よくわかった。(Kazzさん)




【評価】
評価:未
こんな人に、こんな時におすすめ:未

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2016年10月28日

君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい
住野よる/著 (双葉社) 2015年
1,400円+税


【動機】
友人にすすめられて読んでみた。



【所感】
読みやすい。

先に結論をどんどん書いているから(これは珍しいパターンだと思ったのだが)、
ストーリーにぐいぐいひきこまれる。

なので、意外性はそれほどでもないが、続きが気になってついつい読んでしまう。

終わるのが切なく、永遠に続けばいいのに、と思った。


日記という形で、それまで語られることのなかった相手の心情が後からさらけ出されてゆくというパターンは好きかも。

主人公と同じ気持ちになって絶望したり希望を持ったりして最後まで楽しめた。




【概要】
偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。
それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。
そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。

病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。
【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。
全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!


君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい
posted with amazlet at 16.10.28
住野 よる
双葉社
売り上げランキング: 488





【Amazonレビューより】
・小説だからこそ味わえる面白さ 2016年10月12日
展開はベタだし、あまりにリアリティのない話なんだけど、それでもやっぱり最後は泣いちゃいました。

【地味なクラスメイト】【秘密を知っているクラスメイト】【仲のいいクラスメイト】【仲良し】【?????】
・・・彼女の中で彼の立ち位置がどんどん変化している??
そう思いきや実はそうではなく、「小説」という文字で表現するものならではの面白さを見せつけられます。
こういう作品に出合うと、改めて「小説っていいな〜」と思えますね。

映画化されるらしいけど、映像ではこの「文字だからこその面白さ」は活かせません。
泣かせる作品としてストーリーだけで勝負するのでしょうか?
それともこの「文字だからこその面白さ」を映像でも味わえる秘策を思いついてくれるでしょうか?
そのへんを確かめる意味でも映画版が楽しみです。(Yさん)


☆私も最初はそう思って読んでいた。

【?????】でやっと気づいた!!

本当にこのあたりは小説ならではのおもしろさだと思う。
映画化されたらどうやって表現するんだろう?






【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
普段小説とかを読まない人にもおすすめ。






以下、ネタバレ注意
---------------------------------------

 続きを読む
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2016年10月22日

わたしの神様

わたしの神様
小島慶子/著 (幻冬舎) 2015年
1,500円+税


【動機】
ホリエモンが 『本音で生きる』 で紹介していたので読んでみた。



【所感】
あまりにつまらなくて途中で読むのをやめた。

とりあえずがんばって25ページくらいまでは読んだけど、

あとは速読でザーッと。




【概要】
視聴率低迷中のニュース番組「ウィークエンド6」の起死回生をはかるため、
テレビ太陽きっての敏腕プロデューサー藤村は“女子アナ”キャスターのてこ入れに
動いた。産休に入る佐野アリサの後任に起用したのは、全方位の好感度で
不動の人気を誇るミスキャンパス出身の仁和まなみ。
アイドルアナからニュースキャスターへと鮮やかな転身をとげたい彼女は、
権力欲や保身に走る男たちや、敵意むき出しの女たちに晒されやがて
スキャンダルの渦に引き摺り込まれる。描かれることのなかった“女子アナ”たちの
強烈な嫉妬と執着と野心に、ページをめくる手が止まらない。
一気読み必至の極上エンタメ小説。


わたしの神様
わたしの神様
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小島 慶子
幻冬舎
売り上げランキング: 151,216




【抜粋】
●女子アナと懇意であることを誇示する男は必ず人前で「おまえ」と呼ぶ。 (中略) 「おまえ」と呼びたがる男はそうやって、こいつは俺の女だというアピールをするのだ。(p.19)

☆該当者はオレのことか?って思って、ドキッとしてるだろうなぁ(苦笑)。

この小説に出てくる人はみんな人間のクズみたいなのばかりで

読んでて不快な気持ちになる。




【アクションプラン】
・時間という希少資源を大切に。つまらない本に時間を取られるのはもったいない。ホリエモンがこの本を紹介したのはそういうことかも。




【Amazonレビューより】
・みんな病気だ。 2015年12月5日
女子アナの世界を描いた作品ということで興味をもって購入しましたが、登場人物たちの性格の悪さにうんざり。芸能界はみんな、こんなものなんですかね。強か、というより、人間としてどうなんだろう、ということばっかり。
女の醜い争いやら、アイドルアナが落ちぶれていくさまを見たいだの、視聴者はそれを求めている!だのなんだの、というプロデューサーがいますが、ほんとにそうなんですかねえ。わたしは、読んでいるアナウンサーなんかどうでもよくて、見るか見ないかは内容で選びますけどね。ほとんどの人がそうなんじゃないかと思うんだけど。まともな人物がいなくて、全然、共感できないから、ページが進まない。どの登場人物も、あんた、あれだけのことしてんだから不幸になっても当たり前だよと思うことばっかりでリアリティもない。
いくらお金があっても、美しい容姿をもっても、こんな世界で生きていかなければならない女たちはみんな、不幸ですね。ここまで、ありのままの自分を受け入れることができないのは病気だと思います。登場人物たちを取り巻く人たちも、みんな病気だと思いました。唯一まともなのがルイ?という人物だと思ったけれど、自分の不幸を母と姉のせいにしている時点でなんか、うーん、みたいな。ほんとの自分を出せない弱さを親と姉のせいにしているような気がして、これまた共感できない。アリサも、マナミと比べて自分は地味だから世間に受け入れられないとかなんとか言っていますが、その性格の悪さが原因では?と思わざるをえない。娘を支配して、その娘もおかしくなって負の連鎖が続いていくんですね。救いがないなあ。どうせなら、マナミとアリサとのぞみを友達にしちゃえば、おもしろいのに。とか思ったり。
あんた、よくもやってくれたわね!とか冗談で言い合うような、コメディタッチに描いてくれたら、まだ読めた。女子会で、男どもをスパッときる、とか。途中で読むのをやめようかと思いましたが、ここまで読んだ時間が無駄だと思い、無理やり読み終えた感想はとくになく、自分の人生は平凡でよかった。それだけでした。(aさん)


・作品を語る以前に 2015/5/29
内容が面白いか云々の前に、まず感じたこと。
没頭して読んでいるのに、ときどき視点がブレるのがイラッとします。
視点人物以外の登場人物の心理を描写したくなって、パッと視点人物を変えてしまう、
これは、素人が作家になろうとするとき陥りがちな小説作法のルール違反。
三人称で書く場合、視点人物を固定して描写するのは基本のキです。
そのくらい、編集者がちゃんとチェックしてやれよ、と出版社にまでイライラします。

内容はさすが、内情を知っている筆者だけあって、興味深く読めるのだが、
視点のブレが素人くさくて、作品全体が素人っぽく思えてきてしまう。

3人の主人公の結末は、まなみは生きる姿勢がブレなくてそれなりの覚悟を感じたが、
他のふたりは、「これで終わり??」という印象だった。(Aさん)




【評価】
評価:★☆☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
女子アナのドロドロとした舞台裏が見たい人に。
(女子アナはドロドロとしてて欲しいと願っている人に)

 
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2015年08月26日

遠野物語―付・遠野物語拾遺

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)
柳田 国男
角川学芸出版
売り上げランキング: 15,042


遠野物語―付・遠野物語拾遺
柳田国男/著 (角川学芸出版) 2004年 (初出は1910年)



【概要】
かつての岩手県遠野は、山にかこまれた隔絶の小天地で、民間伝承の宝庫だった。柳田国男は、遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、怪異譚を丹念にまとめた。その幅広い調査は自然誌、生活誌でもあり、失われた昔の生活ぶりを今に伝える貴重な記録である。日本民俗学を開眼させることになった「遠野物語」は、独特の文体で記録され、優れた文学作品ともなっている。(「BOOK」データベースより)


【動機】
水木しげるの遠野物語』 を読んだので。



【所感】
付録で遠野物語拾遺が付いているが、
とりあえず、「遠野物語」だけざっと読んだ。



水木しげるの遠野物語』 を先に読んでいたので、すらすら読めた。

わかりにくい部分は、水木さんのマンガに戻るとわかりやすい。


こうして原典を読むと、あらためて水木サンのマンガ化能力に驚かされる。

「そういえばこれもマンガに書いてあった、あっこれもだ」という感覚がずっと続いていく。




遠野の人佐々木鏡石君から聞いた話を筆記したと書いているが、
その鏡石君は24、5歳というから驚きだ。



藤田朋子さんの写真集で「遠野小説」というのがあるけれど、
この「遠野物語」をモチーフにしたものだろう。

河童が出てきたりする。


このカットはひょっとしてオシラサマか?などと想像しながら楽しめる。




【抜粋】
●いはんやわが九百年前の先輩 『今昔物語』 のごときは、その当時にありてすでに今は昔の話なりしに反し、これはこれ目前の出来事なり。
・・・(中略)・・・
要するにこの書は現在の事実なり。単にこれのみをもつてするも立派なる存在理由ありと信ず。(p.7)


☆ 900年前の 『今昔物語』 は当時においてすでに昔話だけど、
『遠野物語』 は 目前の出来事なりと書かれている。
数年前の話とかもあった。


ちなみに、年表を見ると、1910年に 『遠野物語』 (聚精堂) 刊。
この年に南方熊楠を識る、と書いてある。
民俗学の萌芽時代だ。




【アクションプラン】
・また時間のある時に、「遠野物語拾遺」も含めてじっくりと読みたい。




【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
水木しげるの遠野物語』 と合わせて読みたい。

 
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2015年07月02日

ディアスポラ

ディアスポラ (文春文庫)
勝谷 誠彦
文藝春秋 (2014-02-07)
売り上げランキング: 340,155


ディアスポラ
勝谷誠彦/著 (文藝春秋) 2014年 (初出は2001年)
540円+税



【概要】
“事故”で日本列島が居住不能となり、情報から隔絶されたチベットの難民キャンプで、将来への希望も見いだせないまま懸命に「日本人として」生きようとする人々――。3・11に先がけること十年。破滅的な原発事故で国土を失った日本人を描き、日本人のアイデンティティーを追究した予言的傑作。(「BOOK」データベースより)


表題作「ディアスポラ」と日本に残った側の物語「水のゆくえ」の二本立て。



【動機】
たかじんNOマネーで勝谷さんが百田さんに解説を書いてもらったと言っていたので。



【所感】
百田尚樹さんの解説が実におもしろかった。

最初に解説から読んだ。
この本がなぜ売れないかを百田さんならではの視点でズバッと書いていた。
こき下ろしながらも愛にあふれていて、この解説を読むだけでも値打ちがある。

なので本編は正直あまり期待せずに読んだのだが、
意外と(?)おもしろかった。



【抜粋】
●「東海村で起きた臨界事故で、科学技術庁は……」
 バケツでウランだって。(p.24)

☆つい最近、 『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』 を読んだばかりだったので、シンクロした。



●もし、また日本人たちがどこかの土地を得て集まろうとする時に、はたして求心力たりうるものがあるのかどうかということを、あの人々は考えているのである。(p.37)

☆日本人のアイデンティティーは何か考えさせられる。



●はじめは、塩掘りだった。湖の一角に。塩が堆積している場所がある。そこから泥といっしょに塩とソーダを掘り出して釜に入れ、精製するのだ。ほどなく内田さんの皮膚がボロボロにむけはじめ、彼はその仕事をやめた。ソーダで炎症を起こしたのだ。(p.43)

☆あらためて、ソーダって何だっけ?

ソーダとナトリウムって同じなの?塩って何? - 石鹸百科
http://www.live-science.com/honkan/basic/chishiki03.html

そうか、炭酸水素ナトリウムのことを重曹というが、重炭酸曹達の略だったのか。



●私の中にチベットという土地が中国によってどういう方法で統治されているのかを、母娘に説明したい衝動がわずかに起こり、しかしそれはすぐに消え去る。
「十三億もの国民を一つにまとめている国ですよ。どうやれば集団が言うことを聞くかを、支配者は長い歴史の中でさんざん学んでいると思いません?」(p.50)

☆中国という国の凄味がここにある。



●会話に飽いた私は本を読んでいた。河口慧海の 『チベット旅行記』 である。・・・(中略)・・・私は百年以上前に、私とほぼ同じ場所を歩いた日本人僧の足跡を記したその本を購ったのだ。(p.57)

☆読んでみたい。



●ユダヤ人青年たちは兵役のあと、世界を放浪する。それを資金面で支えるためのさまざまな方法や組織があり、かつて日本のそこここで針金細工を売っている外国人にユダヤ人が多かったのも、理由がなくてのことではない。(p.77)

☆ユダヤは資金をバックアップする人が世界のあちこちにいるのか。どこに行っても心強いはずだ。



●「来たんだよ。中国にも。北宋の時代に」(p.83)

☆中国にも、ユダヤ人の大集団が渡ってきた。それが北宋の時代だという。



●「耐えるいうたら、儂がおった満州の日本人もそうやった。儂も含めて、出かけていったんは、国では食い詰めたものばかりや。東北とか信州とか貧しい農村出身やな。確か、満蒙の開拓団をいちばんぎょうさん出したんは長野やなかったかいの。帰るに帰れんから頑張るしかなかった。今の儂らみたいやな」(p.101)

☆満州などへは長野の貧しい農村が一番多かった。

調べてみたらこういうのが出てきた。

8/4「満蒙開拓団と長野県;
いまだ語り明かされていない日本現近代史」
池田浩士さん
http://www.nabra.co.jp/inochi/forum/ikeda.html

時間のある時に読んでみたい。



●そのころ 『花筏』 は四百石を醸していた。杣谷川に流れ込む谷の襞々に棲む山人たちに、酒は造るだけ売れた。杉や檜が、伐り出すだけ現金になったように。(p.134)

☆造るだけ売れたっていうのはいいな。木を伐り出すだけ現金になったってのもいい。



●あの日、何が起きているのかテレビのニュースからは全貌がわからないまま外に飛び出した徹が見たものも、やはりこのようにその姿態を刻々と変えながら、漂っていたことを思い出しながら。(p.144)

☆まさに非常事態といえよう。



●車の中から四合瓶を取り出して渡すと、茂作はそのまま口をつけてごくごくと呑んだ。見ていた徹が思わず喉を鳴らしたほどの、それは達人の呑みっぷりだった。(p.207)

☆四合瓶っていうのか。180(ml)*4=720(ml)。確かに四合だ。
通はこうやってラッパ飲みするのか。



●大学の学部までは徹の自由にさせた父が、ただ一度意見を言ったのは、就職の時だった。「徹。問屋の顔を見て酒を造ってはいかん。酒屋は、じかに呑み手の顔を見て造るんだ。酔っぱらって幸せなお客さんの顔をたくさん見てこい」そう言って、父は徹は問屋に就職させた。徹はそこで営業として小売店をまわり「幸せな酔っぱらいの顔」を一生忘れられないほど見た。(p.216)

☆「幸せなお客さんの顔をたくさん見てこい」っていい言葉だなぁ。
そういう顔をたくさん見ている人と見ていない人とではモチベーションが違うだろうな。
自分の仕事によって幸せな顔をしている人がたくさんいる。こんなに幸せなことはない。



●米は山田錦。精米歩合は35パーセント。酵母は熊本酵母と呼ばれる協会九号。それぞれのイニシアルをとってYK35と一般に称するこの作り方は吟醸酒の王道を行くもので、それだけに限られた条件の下で昨年にも優る味をつくり出した杜氏の喜びは大きいようなのであった。(p.223)

☆精米歩合35%ってすごいな。ちなみにいま話題の獺祭は23%くらいかな。一度飲んでみたい。
ちなみに普段飲んでるのを確認してみたら精米歩合58%だった。




【アクションプラン】
・河口慧海 『チベット旅行記』 を読んでみたい。




【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
日本を出ても日本人たり得るか。そんな気分の時に。

 
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2013年11月22日

限りなく透明に近いブルー

新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)
村上 龍
講談社
売り上げランキング: 35,858


限りなく透明に近いブルー
村上 龍/著 (講談社) 2009年 (初出は1976年)



【概要】
デビュー作が待望の新装版として登場! 米軍基地近くのハウスを舞台に、麻薬とセックスに明け暮れる若者を描いて話題をさらった著者のデビュー作。群像新人賞、芥川賞を受賞した鮮烈な文学が再び蘇る!(Amazonの紹介文より)


村上龍さん、24歳のときの作品。芥川賞受賞作品。

 第75回(昭和51年度上半期) 芥川賞受賞
 第19回(1976年) 群像新人文学賞受賞



以下、ネタバレ注意。

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2013年08月03日

野火

野火 (新潮文庫)
野火 (新潮文庫)
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大岡 昇平
新潮社
売り上げランキング: 2,745


大岡昇平/著 (新潮社) 1954年 (初出は1952年)



【概要】
敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、
わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。

一人の平凡な青年の異常な戦争体験をもとにした手記。



【動機】
毎年この時期には戦争物を読んでいるので、今年は以前から読もうと思っていた 『野火』 を読んでみた。

ちなみに昨年は、 『黒い雨』 と 『ヒロシマ―絶後の記録』 を読んでいる。

齋藤孝の文庫百選。

だいぶ前に友人の引っ越しを手伝ったときに頂いた本である。
宇多田ヒカルも好きな本ということで紹介していた。



【所感】
寝る前にちょっとずつ読んでいたんだけど、
半分を過ぎた頃から急激に面白くなって、
一気に読んでしまった。

全く予備知識ナシで読んでいったので、
意外(?)な展開にのめりこんでいった。



【抜粋】
●私は喉からこみ上げてくる痰を、道端の草に吐きかけ吐きかけ歩いて行った。私はその痰に含まれた日本の結核菌が、熱帯の陽にあぶられて死に絶えていく様を、小気味よく思い浮かべた。(p.12)

☆ここを読んで、「あれ?読んだことがあるかも」と思った。
学校の教科書だろうか。



●「まあ、な」と安田の声がまた聞えた。「まあお前もなるたけ俺のそばにいるがいい。出来るだけなんとかしてやるからな」
「ほんとか、おっさん。でも……」
「でも、なんだ」
「でも、なんだかお前は怖えな」
「一緒にいろ。でも働くんぞ。明日は医務室へ行って、何でも手伝うんだ、水汲みでも、飯盒洗いでも、なんでもいい。何かやりさえすりゃ、たとえ芋の一本でもくれるんだ。わかったか」
「わかったが……出来るかな、俺みたいな脚気に」
「何でもいい、やるんだ、馬鹿」(p.39)

☆このシーンは印象に残っている。そばにいるだけで何とか生きていけそうな安心感。そういうのに出会えた瞬間のような。



●夜になった。伍長は我々を導いて道をはずれ、谷に降り、弾の尻から火薬を抽き出し、木の枝でこすって火を起した。畠で一週間も生芋を齧り、比島の男女を「燐寸をくれ」と脅かした私は、この簡単な方法に気がつかなかった迂闊に、我ながら驚いた。その夜私は久振りで暖い食物を口にした。(p.94)

☆火を起こすのにあれだけ苦労してたのに、簡単な方法で火を起こせると気付いたときの驚き。ところで、戦時中は芋を生で食べてたらしい。芋って生で食えるのかと驚いた。調べてみると、現代でも北朝鮮とかだと生で食べる文化があるらしい。




【アクションプラン】
・『俘虜記』 も読んでみたい。



【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
こういうのを読むとやっぱり小説や映画は予備知識ナシに読むのが一番楽しめると言う気がする。
新潮文庫は背表紙に紹介文が書いてあるが、あれすらも読了前には決して読まないようにしている。
(以前、思いっきりネタバレしててがっかりした経験があるので)

ネタバレした上で読んでも読ませるのが文学という意見があるが、
それは再読、再々読のときに味わえばよい。
やっぱり初読の感動というのは一度きりなので。

(130803 読了)
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