2013年10月18日

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち
伊藤 氏貴
小学館
売り上げランキング: 22,342


奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち
伊藤氏貴/著 (小学館) 2010年
1,300円+税



【概要】
橋本武、98歳(注:出版当時)。昭和9年、旧制灘中学に赴任。戦後、1冊の文庫本 『銀の匙』 を3年かけて読みこむ授業を実践。公立高のすべり止めだった灘校を一躍、東大合格日本一へ導く。その後、『銀の匙』 の生徒たちはニッポンのリーダーへ。伝説教師の言葉・人生からひもとく脱「ゆとり教育」への解答、そして21世紀に成功するための勉強法「スロウ・リーディング」の極意に迫る。(「BOOK」データベースより)

橋本先生の生い立ちや教え子達の卒業後の追跡取材など。



【動機】
橋本先生の関連本を乱読中。



【所感】
教え子達の追跡取材が面白い。

それもそのはずでクラスの半分以上が東大に合格しているのだから、
クラス写真とかを見ても、それぞれの道を極めた人がたくさんいる。


背表紙の子がブレてて本棚に並べると目立つ。わざとじゃないんだろうけど。こういう装丁のアラはすぐに気が付きそうなので、まさか気付かなかったってことはないと思う。まぁいっか、となったんだろうか。本の完成度が高かっただけにこういうのはちょっと残念だ。

文庫本も出てるようだ。



奇跡の授業を1年間しか受けられなかった楫西雄介さんの「60年後の三重丸」は、ドラマにでもなりそうないい話。




【抜粋】
●海渡少年は灘校卒業後、東京大学法学部に進み、在学中に司法試験に合格。20代で御巣鷹山日航機墜落事件の遺族側弁護団の中心人物となり、のちに作家、山崎豊子の取材を受け、著書 『沈まぬ太陽』 には実名で登場している。(p.25)

☆海渡雄一さんは弁護士連合会の第36代事務総長だ。とても柔和な顔立ち。奥様は社民党のみずほタンこと福島瑞穂さんらしい。



●―― 『銀の匙』 のように、じっくりと読み進めていくと力のつく作品を挙げていただけますか。

「私は具体的には、小学生には夏目漱石の 『坊っちゃん』 、中学生にはドストエフスキーの 『罪と罰』 、大学生はニーチェの 『ツァラトゥストラ』 、社会人は 『論語』 などがいいと思います。(p.42)

☆ 『銀の匙』 以外でテキストとして使えそうな本はないか? 当然出てくる疑問であるが、それにゲストの齋藤孝さんが答えてくれている。



●昭和9年当時、黒田子爵の次女・雅子がエチオピア皇太子の花嫁候補になっていた。 (中略) 毛量の多いオールバックの髪型と逆三角形の輪郭は、確かに東京からやってきた新米教師を彷彿とした。(p.67)

☆「エチ先生」というあだ名はエッチだったからかと思っていたら、エチオピアの皇太子に似ていたかららしい(笑)



●“奇跡”とは短時間の生成物ではない、というのが筆者の考え方である。
 いくつかの偶然が運命の糸で手繰りよせられ、一定期間それらが醸成され、いつか蓮の花のように、「ポン!」と、一気に開花するものだと考えている。(p.80)

☆いろんな偶然を手繰り寄せるのも実力のうち。そしてそれが奇跡のように見えるのだろう。



●すべてが橋本のハンドメイド、細部まで徹底して工夫が凝らされたプリントによって、生徒は板書を写す煩わしさからも開放され、授業中、心おきなくタイムスリップし、“自分の思いを書く”作業にも没頭できた。(p.91)

☆心おきなく自分の思いが書けるっていいなぁ。



●夏目漱石はロンドン時代、図書館にはほとんど行かなかったという。
 代わりに留学費用の3分の1をあてるほど大量の本を買い込んだ。借りた本には書き込みができないからだ。遺された蔵書には、調べたこと、疑問、反論、自分がそこから新たに考えたことが余白にびっしりと書き込まれている。書物との対話を通じて自らの思想を深め、海外で、複眼を身につけていったのだ。(p.131)

☆夏目漱石も本にいっぱい書き込みをしていたと知ると親近感がわく。



●エチ先生にすすめられて読破した 『ジャン・クリストフ』 (ロマン・ロラン著)全4巻に感銘を受けた敏夫は、主人公の“人のために尽くす姿勢”が自分の人生の指針になっていく。
 さらにそこからロマン・ロランを次々と読み進めていき、『ベートーヴェンの生涯』 に出合う。

(中略)

親しみやすく、わかるまで話し合うという姿勢は医師にこそ、こっとも必要とされていると思います」

 そう語る医師・平野は、東大入試で上京した際、ついでに灘校創始者である嘉納治五郎ゆかりの講道館に行き、柔道の練習で汗を流した。(p.146-147)

☆医師・平野敏夫さんの話。灘校って嘉納治五郎が作ったのか。知らなかった。




●いろいろなものに主体的に自分をさらすということを繰り返していって欲しいと思います。とくに、自分をこれまでとは違った環境に置く、自分をさらすということで、間違いなく人間は成長するし、知識が膨らんできます。(p.162)

☆東大の29代総長・濱田淳一さんの言葉。引っ込みそうになったときに勇気の出る言葉だ。前に出て行くことで人間は成長する。



●――そんなグローバルな時代に、若者は、どんな本を読めばいいのでしょう。じっくりと、エチ先生流に読むべき本を挙げていただければ……。

「うーん、今の時代状況から言うと、例えば、明治のいわゆる文豪といわれる人たちの作品かな。夏目漱石や森鴎外、あの頃の人のものを今読むといいんじゃないでしょうか。

(中略)

多分同じような経験をしたのは明治の頃で、自分たちが作ってきたものを、どこまで振り捨てて、どこまで残しながら次の時代に向かって生きていくのか、そういう緊張感のあった時代だと思います。だから、明治――維新そのものではなくって、むしろ、その後、明治の中期から後期ですね。

(中略)

――21世紀に 『銀の匙』 の時代のものが有効だ、と。

「また知識の話につながりますけれども、ある言葉なり、ある出来事なりを、いろんな事柄と結びつけながら考え、深めていく、あるいはその状況を理解していく……。そういう文脈を捉えていくといった感覚や方法は、私の場合、『銀の匙』 でつくられたのかなあという気がします。(p.164-165)

☆濱田さんの言葉。重い課題などは小さなことから順番にひも解いて、関連をつけながら、その問題の性格を理解していく。そういう手法を橋本先生から学んだと。



●弁護士としてその件を受けた時に、遺族の皆さんと一緒に勉強していこうと思いました。 (中略) 私の法律事務所に定期的に集まって、情報を集め、その分析をしながら、それこそ最初は航空工学の勉強から始めたんです。(p.192)

☆日航ジャンボ墜落事故の顧問弁護士・海渡雄一さんの話。思ったより弁護士というのは大変だ。法律の勉強だけをやってればいいって訳じゃない。弁護士に必要なのは、弁舌や法律知識だけでなく、新しいものを短時間で勉強するという能力も必要なのかも。




【アクションプラン】
・変化の時代といわれる今こそ、明治時代の文豪を読んでみる。

・大きな課題を小さなことから順番にひも解いて関連付けてみる。




【評価】
評価:★★★★☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
橋本先生の授業を受けた生徒はその後どういう人になったか興味がある人に。
結局、その先生が素晴らしいかどうかは生徒を見れば分かる。

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2013年10月15日

灘中 奇跡の国語教室



灘中 奇跡の国語教室
黒岩祐治/著 (中公新書ラクレ) 2011年 (初出は2005年)
740円+税



【概要】
橋本先生の教え子であり神奈川県知事の黒岩祐治さんが書いた本。

『恩師の条件』 (リヨン社、2005年)に若干の加筆・修正をしたもの。

この本をきっかけにして橋本先生が一躍有名になったそうだ。

副題は、橋本武の超スロー・リーディング。



【動機】
橋本先生の授業に興味を持って。


【所感】
橋本先生をとてもお慕いしていることが伝わってくる。




【抜粋】
●私は当時、高校を卒業してそのまま上京し、浪人生活を送っていた。そんな時、たまたま目にしたのが 『ただいま浪人』 という本。狐狸庵先生こと遠藤さんのユーモア小説のひとつだ。心の拠り所を必死で求めていた私は、そのタイトルに吸い寄せられるように、その日のうちに本を手に取った。それがきっかけとなり、私は書店に並んでいる遠藤さんの本を片っ端からむさぼるように読んだ。(p.11)

☆コリアンというから韓国の話だろうか。この本をきっかけに片っ端からむさぼるようになったというからどんな本か読んでみたい。



●もちろん国語の授業であるから、これをきっかけに一首一首、読み解いていくこともできるのだろうが、橋本先生はそういうことはしない。「私」すなわち、主人公の□ポンの百人一首体験をできるだけ忠実に追体験しようとする。 (中略) もともとかるた遊びが百人一首の本来のあり方なのだから、みんなで暗誦してかるた大会に臨むことこそ、本来の百人一首の勉強法だと先生は考えたのであった。(p.70-71)

☆実際に百人一首でかるた大会をやるのはいいと思った。
つまらないものから楽しいものへの転換。
楽しいと感じれば興味もわき、ゲームに勝とうとすれば自然と覚えようとするだろう。



●「十干」は「五行」の木火土金水(もっかどごんすい)を兄(え)と弟(と)に分けて当てはめてあるからです。(p.88)

☆「五行」を(もっかどこんすい)で覚えてたんだけど、やっぱりみんな同じようにして覚えてるんだなぁ。ちょっとビックリした。



●「草木も眠る丑三つ時」とは何時頃のことですか?(p.94)

☆午前3時半頃。

丑が2時頃、寅が4時頃。
その間を四つに分けた三つ分。つまり3時半となる。
四つに分けるのがポイント。



●ところで、今でも私たちの同窓生が集まると話題に上がるのが暗誦課題として与えられた「長恨歌」である。
 唐の時代の中頃、中唐と言われた紀元806年に白居易が作った長編叙事詩で、玄宗皇帝と楊貴妃のラブロマンスを描いた全120行に及ぶ長文だ。これだけ長い漢詩を諳んじることは容易なことではなかったが、先生は情け容赦もなく、この全文暗誦を私たちに課したのである。(p.172-173)

☆『橋本式国語勉強法』 で、漢文をやるなら漢詩の暗誦がいいと言っていたから、ちょっと読んでみたいな。



●それは私が取材で訪れたアメリカ・ボストン郊外のフリースクール、サドベリー・ヴァイリー・スクールである。日本の施設と同様、登校拒否になった子供たちを迎え入れていたが、そこは究極のフリースクールと言っていいほど、とにかくすべてが自由だった。 (中略)
 通常の子供が弁護士になりたいと思うと、将来のために今の学校の勉強をしっかりやっていい成績を取ろうと考えるだろう。しかし、彼の場合は違った。弁護士の仕事そのものへの興味からスタートしたのである。 (中略) いきなり、実際の裁判のやりとり、判例などを自らの興味の赴くままに調べ始めたのである。今はそれが楽しくて仕方ないのだと言う。(p.181-183)

☆こういうスクールをいつか作ってみたい。体系的に学ぶという面では学校の方がいいかもしれないが、それよりも大事なのが学ぶ意欲だ。



●「心のゆとり」とは安易に実現できるものではなく、がんばって、がんばって上り続けなければ到達できない精神の高みの世界である。高い山に登ったとき、頂上で感じるあのゆったりとした満足感こそ「心のゆとり」である。(p.191-192)

☆まさにその通りだと思う。これは何も受験だけに限った話じゃなくて、仕事でもがんばった結果として、心のゆとりが生まれるものである。



●最初は、なかなか進まない授業に戸惑う生徒もいましてね。その時、話したのが、大事なのはスピードじゃなくて、「すぐに役立つことは、すぐ役立たなくなる」ということです。(p.215)(「<特別授業> 人生を充実させる8つの学び」より)

☆スピードは遅くてもいい。一歩一歩前に進んでいくことが大事。




【アクションプラン】
・『ただいま浪人』 を読んでみる。

・『白楽天詩選』 を読んでみる。「長恨歌」を暗誦してみる。




【評価】
評価:★★☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
実際に橋本先生に指導された方のお話が聞きたいときに。

 

【追記】 (131022)
神奈川県のPRビデオを見つけた。

神奈川県投資環境プロモーション動画「Fascinating Kanagawa」の紹介 (掲載日:2013年9月2日)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f490090/

「恋するフォーチュンクッキー神奈川県Ver. / AKB48[公式]」を公開! (掲載日:2013年10月18日)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f500062/





黒岩知事だけじゃなく、体操の白井選手も出てる?!

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2013年10月10日

橋本式国語勉強法

橋本式国語勉強法 (岩波ジュニア新書)
橋本 武
岩波書店
売り上げランキング: 169,493


橋本式国語勉強法
橋本 武/著 (岩波書店) 2012年 (初出は1968年)
840円+税



【概要】
〈銀の匙〉の国語授業』 で注目を集める“伝説の教師”が国語の学習法を伝授します。覚えるのではなく考える勉強、詰め込むのではなく自らの中にあるものを引き出す勉強、人生の心の糧となる勉強の喜びを見出しながら、結果として入試にも役立つ、真の国語力を身につけるための学び方です。(「BOOK」データベースより)

「灘校式勉強法/国語」(講談社 1968年)をもとに加筆修正したものである。



【動機】
橋本先生の国語授業に興味があったので。


【所感】
そんなにためになる情報はなかった。ひと昔前のオーソドックスな内容。
それもそのはずで、2012年出版なのだが、もととなったのは1968年、つまり40年以上も前に書かれた本である。



【抜粋】
●孔子が晩年になって易を読むことを好み、竹簡(竹のふだ)を綴ったなめし皮のひもが、三度も切れるほど繰り返し読んだという話は有名で、このために、本を繰り返し読むことを“葦編三絶”というようになりました。これほど打ち込んで読める本があるということはどんなにか幸せなことであり、あなたがこの幸運を持っているならば、あなたの人生はさらに深められていくことでしょう。しかし読書を始めたとたんに、精読によって人生の方向が決定づけられるような、作家なり本なりに出合うことはまず望めないでしょう。それを得るためにも、また精神的偏食に陥らないためにも、あなたの読書は多読から始めてほしいと思います。(p.28-29)

☆こういう本に巡り合うためにこのブログをやっているのかもしれない。



●自分の息のかかったことばを整理して、自分用の辞書を作ってみたらどうかと思います。その方法は簡単です。リーフノートの一枚ごとに五十音の一音を配当します。すなわち“あ”ではじまることばは“ア”の用紙に集め、その意味と、そのことばを抜き出した出展と、その用例を記入していき、ことばがふえた時には用紙を補充するようにしていきます。ことばの意味はできるだけ簡単にして、用例からその意味が理解できるようにし、用語例辞典といえるようなものを作りあげてみたら面白いでしょう。(p.39)

☆これはおもしろそうだ。出展も明記しておく。パソコンで作ると簡単に並べ替えられていいかもしれない。
自分の興味ある分野の専門用語集を作ったりしてもいいだろう。



●漢文の勉強は中国語の勉強ではありません。国語の勉強以外の何物でもないのです。古代に日本にもたらされた中国の文化を、私たちの遠い祖先が吸収して日本化し、日本の精神文化の糧としていった、その跡を私たちも勉強しようとしているのです。 (中略)

 漢字漢文を無視して、日本の文化を語ることはできません。 (中略) 漢文を学ぶのは、中国の古典を通じて日本を知るためです。(p.130)

☆これは意外と見落としがちかもしれない。日本をより深く知るために漢文を勉強する。
漢文を勉強するにはまず漢詩を暗誦しろと言ってるが、漢詩が一つも載ってない。こういうところでちょっと例でも載せておくとさらに興味を惹くのだがと思っていると、夏目漱石の 『草枕』 の一説が引用されていた。


●漢文の勉強をした者としない者とでは、こういう文章に対する親しみにも受け取り方にも、差が生じて当然です。(p.131)

☆たしかに、今までは漢文や漢詩が出てくると、サーっと素通りしていた。漢文を勉強すると親しみがもてるようになるかも。



【アクションプラン】
・漢文(とりあえず漢詩)をちょっと勉強してみる。




【評価】
評価:★★☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
受験対策としてはあまり使えない気がした。
時間に余裕のある人がじっくり国語力をつけたいってときに。
「国語の勉強は何をやったらいいか全くわからない」という人には指針にはなるかも。


posted by macky at 20:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 「銀の匙」関連 | edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月05日

灘校・伝説の国語授業 本物の思考力が身につくスロ−リ−ディング



灘校・伝説の国語授業
橋本 武/著 (宝島社) 2011年
1,300円+税



【概要】
先日101歳で天寿を全うされた伝説の元灘校国語教師・橋本武先生が初めてその授業の詳細を公開した本。

橋本先生が行う「スローリーディング」とは、『銀の匙』 (中勘助/著)を3年かけて読むもの。

教え子には、現東大総長(濱田純一氏)・副総長、前最高裁事務総長(山崎敏充氏)、弁護士連合会事務総長、大手ホールディングス社長ほか日本のリーダーたちが多数存在している。


副題は、本物の思考力が身につくスローリーディング。




【動機】
橋本先生の国語授業に興味があるので。



【所感】
前回、 『〈銀の匙〉の国語授業』 を読んだときに期待していたものと違ったと書いたが、私がイメージしていたのはこういう本だったのかもしれない。そう思わせてくれる本だった。

この本に書かれているほとんどの内容について興味があることだったのでとても楽しく読めたけど、中には興味がわかない人もいるだろう。自分が興味を持ったことに寄り道するというのが本筋なので、そういう人は自分で興味が持てることに寄り道すればいいと思う。

実際の授業では、興味を持てない人にも興味を持てるような話し方をなされるのかもしれないが、それは本書では完全には再現できない。だからそういう意味では、授業を再現する本というよりは、知っておくと役に立つ雑学的な本になっている。

寄り道の仕方も書いてあって楽しめた。
たとえば、なんで干支をやってるんだろうと思ったら、文中で「丑紅の牛」が出てきたからだと分かったり、それだけでもワクワクしてしまう。なるほど、ここから寄り道したのか。こういうところも普通に読んでたらさっと流してしまうだろうな、とか。



自分の子どもの頃を思い出してみると、小学校3、4年のときの先生がこういう先生で、例えば「魚偏の漢字を集めましょう」とか言ってた気がする。そしてその時に集めた漢字をいまだにほとんど覚えているから、この本を読んで、あぁ、あの先生もいい先生だったんだなぁと今さらながら気付いた。



【抜粋】
●節句とは、季節の変わり目などに、飾り物をしたりお供え物をしたりして、お祝いする年中行事のことで、このなかでも特に有名なものを五節句といいます。それが人日(1月7日・七草の節句) 上巳(三月三日・桃の節句) 端午(5月5日・菖蒲の節句) 七夕(7月7日・星祭り) 重陽(9月9日・菊の節句)の5つですが、それぞれの節句に行われる風習をより詳しく調べていけば、多くの国語に関する知識を身につけることができます。(p.28-29)

☆これはほんの一例だが、こういう感じで寄り道していく。
こういう知識ってどれくらいの人が常識として身に付けてるんだろう?
人日(じんじつ)や上巳(じょうし)という言葉は私も初めて聞いたが、ほとんどの人が馴染みがないのでは。



●京の夢大阪の夢=夢物語をするとき、言いはじめにつける言葉。(p.197)

☆これも初めて聞いた。


調べてみると、

小学生向きの諺です。 京の夢大阪の夢(きょうのゆめおおさかのゆめ) 【意味】 夢...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q149089584

ベストアンサーに選ばれた回答
katuo6_12さん

京の夢大坂の夢(きょうのゆめおおさかのゆめ)
夢の話をする前に唱える言葉。
夢の中では<立身出世>も<蓄財>も思うままである、というところから付けられた語。
昔話の「今は昔」に通じるもの。
江戸いろはガルタの「京」に書かれた言葉。
★「京の夢」は、公家になり官位を昇りつめる<立身出世の夢>。
「大坂の夢」は、豪商になり巨万の富を得る<蓄財の夢>。
いずれも、『盛者(じょうしゃ)』を目指そうとする希望。
盛者は権勢の盛んな人、栄えている人。
明治・・少年よ大志を抱け・・・
戦前・・末は博士か大臣か・・・
その時代の大志と夢です。・・・


なるほど、京の夢は「立身出世の夢」で、大阪の夢は「蓄財の夢」か。
それを知った上で寝る前に唱えて眠ると、楽しい夢が見られそうだ。



●健康法らしいものといえば、60年にわたって生酵母を愛飲していることでしょうか。
 お酒を造るための酵母をお湯で割ってジュースのようにして飲んでいるのですが、これでだいぶ体調が維持されているかと思っています。(p.204)

☆ご自身のいろはかるたでも、「な 生酵母愛飲つづけ六十年」と書いておられます(笑)
60年飲み続けるってすごいな。どんな味がするのだろう。




【アクションプラン】
・何か1冊決めて、「スローリーディング」してみる。やっぱり小説がいいのかも。ちょっと難しそうだなというレベルの小説。研究ノートを作ってわからない語句とかも徹底的に調べたり、寄り道して気になったことをどんどん調べていったり。

・その1冊以外はなるべく速読&多読で。(何でもかんでもスローリーディングしていては時間がいくらあっても足りない)



【評価】
評価:★★★★☆



【結論】
ずっと読んでいて気付いたことがある。
それは、「この時の主人公の心情はどういうものだったか」というのがほとんど無いことだ。
国語の授業、特に小説といえば、そればっかりだったような気がする。

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2013年09月24日

伝説の灘高教師が教える 一生役立つ学ぶ力

伝説の灘校教師が教える 一生役立つ 学ぶ力
橋本 武
日本実業出版社
売り上げランキング: 420


『伝説の灘高教師が教える 一生役立つ学ぶ力』
橋本 武/著 (日本実業出版社) 2012年
1,300円+税


【概要】
灘校一筋50年、そして人生100年の伝説の教師として語りつがれる橋本武が授業を通して、教え子たちに本当に伝えたかったこと。(「BOOK」データベースより)


【動機】
〈銀の匙〉の国語授業』 を読んだので。ついでに読んでみた。


【所感】
〈銀の匙〉の国語授業』 とほぼ同じ内容だった。読んだばかりだったので、目新しさはほとんど無い。
同書をうすっぺらくした印象。
というか、こちらの方が先に発行されたので、この本を元に肉付けしていったのだろう。



【抜粋】
●当時、師範系の学校か軍隊系の学校は学費がかかりませんでしたが、気弱な私にとって軍隊なんてとんでもありません。そこで、東京高等師範学校(のちの東京教育大学、現在の筑波大学)を目指すことにしました。(p.41-42)

☆橋本先生が教師を目指した理由が書かれている。現在の筑波大学はもともと師範学校だったのか。


●ただ当時の常識でいうと、全国の師範学校の頂点である東京高等師範学校を出たら、公立の学校に就職して校長、あわよくば各地域の教育行政のトップである視学(教育行政官)を勤め上げるというのが一般的な出世コースでした。(p.93)

☆今では東大合格トップで有名な灘中だが、当時は公立に比べると格下に見られており、長く勤めるところではないと世間では見られていたらしい。


●こうして子どもたちは、授業を受けるのではなく、自然と授業に「参加」していきました。(p.106)

☆『七田式超右脳開発トレーニング』 に出てきた「遊ぶのをみているだけじゃなく、実際に参加することで刺激になる」というネズミの話とオーバーラップする。



●平成23年の4月から、小学校5、6年生で英語の授業が必修化されました。これで、よりいっそう英語学習がはやりのようになっていますが、それより、すべての学問の基礎となる「国語力」を付ける方向に、もっと力を入れたほうがいいのではないでしょうか。(p.145-146)

☆何を教えていいかわからないので試行錯誤していますという現場の先生の声が最近多いが、何よりかわいそうなのはそういう先生に教えられる子どもである。英語に興味のある生徒は自分から学ぼうとするだろうし、それまではもっと母国語の教育を徹底すべきだという橋本先生の考えには賛成だ。

それは、斎藤兆史さんも 『日本人に一番合った英語学習法』 で力説している。

→ 日本人に一番合った英語学習法 その2 (英語学習は早く始めるほどよいのか?)



●常に何かしら考えるというのが私のくせ。ときにビールタイムですら、ひょんなことから思考の一時(いっとき)に様変わりします。(p.187)

☆『七田式超右脳開発トレーニング』 に出てきた「天才になるためには瞑想をよくすること」という話とオーバーラップする。






【評価】
評価:★★☆☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
〈銀の匙〉の国語授業』 を読んだことがあれば、読む必要はない。




■関連記事
日本人に一番合った英語学習法 その1
日本人に一番合った英語学習法 その2 (英語学習は早く始めるほどよいのか?)
日本人に一番合った英語学習法 その3 (受験英語は意味が無いのか?)
日本人に一番合った英語学習法 その4 (日本人に一番合った英語学習法とは?)

日本人に一番合った英語学習法 :amazon


天才の作り方

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2013年09月19日

〈銀の匙〉の国語授業

〈銀の匙〉の国語授業 (岩波ジュニア新書)
橋本 武
岩波書店
売り上げランキング: 809


『〈銀の匙〉の国語授業』
橋本 武/著 (岩波書店) 2012年
820円+税


【概要】
神戸の灘校で、中学3年間をかけて 『銀の匙』 をじっくり読み込むという驚くべき授業を続けてきた橋本先生の実践的授業。「国語はすべての教材の基本であり、学ぶ力の背骨」だという“伝説の教師”が、国語の学び方を伝える。「学ぶこと」の原点に気づかされる1冊。(「BOOK」データベースより)



【動機】
9/11にこの本の著者である橋本先生がこの世を去りました。

その前日の9/10にちょうど 『銀の匙』 を読み終えたところだったので、突然の訃報に驚きました。

橋下先生のご存命中にこの本を読もうと思ってたのに間に合わなかったのが残念です。

ご冥福をお祈りいたします。




【所感】
タイトルから、 『銀の匙』 を題材に国語授業をしてくれるのかと思っていたら、それはほとんどなく、
なぜ 『銀の匙』 を題材に授業をするに至ったかや苦労話などに紙面を割かれている。
いわば、橋本先生の自伝である。

そういう意味では、期待していたものと違ったが、
( 『銀の匙』 を横に置いて読み進めていったが、結局1ページも開くことなく終わった)

さすがに灘高で国語の授業を長年続けられただけあって、
いろいろと示唆に富む内容となっている。



【抜粋】
●最初の 『銀の匙』 授業の生徒は1950年(昭和254年)入学組です。いよいよこの学年からやろうというとき、その一年前から 『銀の匙』 研究ノート作り、どのように指導していったらいいのかを書き留めていきました。

(中略)

じつは全然わからない言葉や辞書をひいてもピンとこない言葉があったので、著者の中勘助先生にお手紙を出してお尋ねしたりしました(p.55-56)

☆研究ノート作りに1年も費やしてる。著者の中勘助さんに手紙で聞いたりしてて行動的だ。



●横道にそれるというやり方を初めから意識していました。一つの作品ですから、内容が限定されています。その作品の範囲内だけだったらば、生徒の受け止める知識の範囲が狭いままで終わってしまいます。そこに出てくる言葉を手がかりに、できるだけ横道にそれていけば、知識の幅を拡げることができる。『銀の匙』 という作品には、そのヒントが山ほどあるんです。 (中略) 1ページ進むのに1週間も2週間もかかるというようなことが生ずる。そのことをいま、スローリーディングといってますね。(p.62)


☆速読に対してスローリーディング。
速読(フォトリーディング)のやり方は大体分かってるけど、
横道にそれながら1ページに1週間も2週間もかけるようなスローリーディングは今までやろうとは思わなかった。
この本を通して、スローリーディングのやり方を体得したい。


横道にそれるということが大事。
興味がある方に向かっていく。

●「漢方医学」が出てくれば、大坂船場のお宮「神農さん」まで話題を広げる。(p.72)

☆「神農」といえば、最近も話題になっていた。福知山の花火大会爆発事故で、お祭りの露店商を取り仕切っているのが「神農」だからだ。「漢方医学」と「的屋」は関係あるのだろうか。こういう感じで横道にそれていく。



●大阪船場の薬種問屋街、道修町の一角に俗称「神農さん」というお宮がある。これは中国苦伝説中の帝王で、三皇五帝というわれるうちの一人で、人身牛首、民に耕作を教え、はじめて百草を嘗めて医薬を作ったといわれ、薬祖神としてあがめられる。正式の社名を「少彦名(すくなひこな)神社」というが、日本神話ではこの神が「大国主命」の国土経営に参画し、医薬・禁厭(マジナイのこと)の法を創めたとされる。(p.90)

☆昔、大阪で「どしょうまち」という所を教えてもらったことがある。口づてだったので、家に帰ってその場所を調べてみたが、道修町のあたりだというところまではわかったが、「どうしゅうまち」が「どしょーまち」に聞こえたのかな、それとも別のところだったのかな・・・と、不思議な感覚になったことがあるが、道修町と書いて「どしょうまち」と読むのか。

それにしてもこういう話はおもしろい。




【アクションプラン】
・スローリーディングで何かを時間かけて読んでみよう。寄り道しながら。



【評価】
評価:★★★☆☆
こんな人に、こんな時におすすめ:
速読の反対、スローリーディングに興味がある人に。



【結論】
寄り道は怖くない。むしろ、どんどん寄り道しろ!

1ページに1、2週間かけてもいいじゃないか!と思えた。

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2013年09月10日

銀の匙

銀の匙 (岩波文庫)
銀の匙 (岩波文庫)
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中 勘助
岩波書店
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『銀の匙』
中 勘助/著 (岩波書店) 1935年 (初稿は1913年) ←今からちょうど100年前!



【概要】
作家・中勘助の自伝。

前編が書かれたのは明治44年。作者が27歳のときである。
後編は翌大正2年の夏に比叡山で書かれた。

1999年に改版されているので
私が読んだのは旧版ということだ。



【動機】
『〈銀の匙〉の国語授業』 という本を本屋で見つけて興味を持った。
灘校で中学3年間をかけて『銀の匙』1冊を読みこむという授業を続けてきた橋本先生の実践的授業である。

最近、アニメ化されたということなので
これを機会に読んでみた。

齋藤孝の文庫百選。




【所感】
自分の少年時代と照らし合わせながら読んだ。
懐かしいやら、恥ずかしいやら、複雑な気持ち。

大人から見た子どもの世界ではなく、子どもからみた子どもの世界そのものといえるかもしれない。

病弱で勉強も出来なかった子どもがある日突然ガキ大将になり、勉強もクラスで1番になる。
何があったのだろうか?

読了後にアニメの「銀の匙」も見てみたのだが、
タイトルが同じだけでどうやら全く別の話のようだ。



【抜粋】
●私の生まれたのは神田のなかの神田ともいうべく、火事やけんかや酔っ払いや泥坊の絶えまのないところであった。(p.12)

☆神田といえば古本屋の町ということで落ち着いたイメージがあったんだけど、実際は違うのか。


●学課のうちでいちばんみんなの喜ぶのは修身だった。それかきれいな掛け図をかけて先生がおもしろい話をきかせるからで、 (中略) 私のなによりきらいな学課は修身であった。高等科からは掛け図をやめて教科書を使うことになってたが、どういうわけか表紙はきたないし、さし絵はまずいし、紙質も活字も粗悪な手にとるさえ気もちがわるいやくざな本で、載せてある話といえばどれもこれも孝行むすこが殿様から褒美をもらったの、正直者が金持ちになったのという筋の、しかも味もそっけもないものばかりであった。(p.79-150)

☆修身の本を手に入れたから近いうちに読んでみようかな。



●「先生、日本人に大和魂があればシナ魂があるでしょう。日本に加藤清正や北条時宗がいればシナにだって関羽や張飛がいるじゃありませんか。それに先生はいつかも謙信が信玄に塩を贈った話をして敵を憐れむのが武士道だなんて教えておきながらなんだってそんなにシナ人の悪口ばかしいうんです」(p.128)

☆日清戦争が始まった頃にこういうことをいうのは変わった子だと思われただろう。言ってることはまともだけど。




【アクションプラン】
・自伝(少年記)を書きたい。一気に書かずに少しずつ思い出したときにちょこちょこ書いていきたい。
自伝というと人生の終わりに振り返って書くというイメージだが、少年記だと今すぐにでも書ける。

・『〈銀の匙〉の国語授業』 を読んでみたい。 『銀の匙』 を題材にどのような授業をしたのかとても興味がある。

・『灘校・伝説の国語授業 本物の思考力が身につくスロ−リ−ディング』 を読んでみたい。

・『伝説の灘校教師が教える 一生役立つ 学ぶ力』 を読んでみたい。



【評価】
評価:★★★☆☆

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